みなさんこんにちは。
今日は年少組の親子遠足がおこなわれました。空も清々しく晴れ渡り、よかったですね。これもひとえに皆さんの日頃のおこないのよいためでありましょう。実は私も今日は珍しくほんの少しだけ遠足に参加してきました。いつもは園で留守番していることが多いのですが、園長の代わりに様子を見に行って(10時半の片付けの後に遅れて行き)、お弁当だけ食べてまたすぐ帰ってくるという極端に短い参加でした。本当は子どもたちともっとかかわりたかったのですが、時間がなくて残念でした。それでも、たまに園を離れた場所で子どもたちと活動するのは楽しいものです。紫雲寺記念公園はご存知の方もいらっしゃると思いますが、海岸沿いの静かで緑豊かな場所にあり、遊具も幼児向きで親子遠足にはもってこいの場所であります。皆さんもぜひ一度いかがですか?近くには温泉もたくさんあるのでお勧めです。
ところで、今朝園庭で遊んでいると年長の女の子二人が私のところへやってきて言いました。
「せんせい、お米の粒がいっぱい落ちてるんだけど」
「ほら、こんなに」
そう言って二人は手のひらをひろげ、私の目の前に差し出しました。見ると、もみ殻にくるまったままの米が5~6粒、仲のよい兄弟みたいに並んでいました。
「これがお米なんでしょ?」
「そうだね、この中にお米が入ってるんだよ。ためしに剥いてみよう」
そう言って一粒もらい、もみをつめの先で丁寧に剥いてみました。中からはまあたらしい玄米がつやつやと光沢を放ちながら出てきました。二人は私の手のひらの中を真剣に覗き込みました。
「うわーほんとにお米になってる。すごーい」
「おいしそう、食べれるのかな?」
「もちろん、食べれるさ。できたてほやほやの新米だからね。少しかたいけど、噛むと甘い味がする」
「炊いてなくても平気なの?」
「汚くない?」
「汚くなんかないさ。もみ殻に包まれていたんだから。どれ、先生もひとつ食べてみよう」
そう言うと私は今剥いたばかりの玄米をひょいっと口に放り込み、ゆっくり奥歯で噛み砕いてみました。二人は神妙な顔で見ていました。
素朴で、自然な甘みがあり、まっとうな米の味がしました。太古の昔から私たち日本人が大切に育て、主食にしてきた食物。
「おいしい?」ひとりが訊きました。
「うん。すごーくうまい。涙が出そうなくらいだ」
「じゃ、私も食べてみよっと」もう一人が言い、ふたりはそれぞれ一粒ずつ口に入れました。
沈黙。
「どう?甘い味がするでしょ?」私は訊きました。
「うーん、甘い。ほんとうに」
「うん。おいしいね。早く稲刈りしなくちゃね」
「じゃあさ、カレー作るために落ちてるやつ全部拾ってとっておこうよ」
一人がそう提案すると、もう一人がにっこりとうなづき、二人はそれから地面に落ちている米を一粒一粒丁寧に拾い始めました。そんな姿をほほえましく眺めていると、二人は立ち上がって言いました。
「あのさ、黙って見てないで先生も手伝ってよ。カレー食べたいでしょ?」
「手で剥くの手伝ってくれない?これ結構大変なんだから」
言われるがまま私はしばらく彼女たちと一緒に米を拾いました。
それから三人でどれくらい拾ったでしょうか。地面に落ちた米粒は意外にたくさんありましたが、半分くらいは殻だけで中身がありませんでした。きっと鳥や虫たちが食べてしまったのでしょう。ささやかに実った稲を私たちは鳥や虫たちと分け合っているのです。しかもその稲はほかでもない、われらしんじんの年長児たちが手塩にかけて作ったのです。そう思うと、私は感慨深い思いでいっぱいでたまらなくなりました。不覚にも突然まぶたに涙があふれ、こぼれおちそうになりましたが、なんとかこらえました。見上げると、十月の空はどこまでも澄んで青く輝いていました。そしてこの二人の子どもと経験したこの一瞬の出来事を心に刻みたいと強く思ったのでありました。
「せんせいちゃんと拾ってる?」
「休んじゃだめでしょう?」
二人に諭されて我に返り必死で拾いつづけるかんかいじゅうでありました。泣いている場合ではないのです。
やがて、別の誰かに呼ばれて私はその場を離れなくてはならなくなったのですが、彼女たちはその後もしばらくそこで米を拾っていました。二人の胸の中に何か大切なことが伝わっていれば良いなあと私は思います。お待ちかねの稲刈りは来週末に行われます。カレーパーティーが今から楽しみですね。
いま十月の空のもと、米を拾う子どもたち。
さて、明日からは三連休となります。みなさんのご予定はいかがですか?私は久しぶりに妙高と黒姫を訪ね、大好きな森をあてもなくさまよって来ようと思っています。
怪我や事故には十分気をつけられ、良い連休をお過ごしください。
今日は年少組の親子遠足がおこなわれました。空も清々しく晴れ渡り、よかったですね。これもひとえに皆さんの日頃のおこないのよいためでありましょう。実は私も今日は珍しくほんの少しだけ遠足に参加してきました。いつもは園で留守番していることが多いのですが、園長の代わりに様子を見に行って(10時半の片付けの後に遅れて行き)、お弁当だけ食べてまたすぐ帰ってくるという極端に短い参加でした。本当は子どもたちともっとかかわりたかったのですが、時間がなくて残念でした。それでも、たまに園を離れた場所で子どもたちと活動するのは楽しいものです。紫雲寺記念公園はご存知の方もいらっしゃると思いますが、海岸沿いの静かで緑豊かな場所にあり、遊具も幼児向きで親子遠足にはもってこいの場所であります。皆さんもぜひ一度いかがですか?近くには温泉もたくさんあるのでお勧めです。
ところで、今朝園庭で遊んでいると年長の女の子二人が私のところへやってきて言いました。
「せんせい、お米の粒がいっぱい落ちてるんだけど」
「ほら、こんなに」
そう言って二人は手のひらをひろげ、私の目の前に差し出しました。見ると、もみ殻にくるまったままの米が5~6粒、仲のよい兄弟みたいに並んでいました。
「これがお米なんでしょ?」
「そうだね、この中にお米が入ってるんだよ。ためしに剥いてみよう」
そう言って一粒もらい、もみをつめの先で丁寧に剥いてみました。中からはまあたらしい玄米がつやつやと光沢を放ちながら出てきました。二人は私の手のひらの中を真剣に覗き込みました。
「うわーほんとにお米になってる。すごーい」
「おいしそう、食べれるのかな?」
「もちろん、食べれるさ。できたてほやほやの新米だからね。少しかたいけど、噛むと甘い味がする」
「炊いてなくても平気なの?」
「汚くない?」
「汚くなんかないさ。もみ殻に包まれていたんだから。どれ、先生もひとつ食べてみよう」
そう言うと私は今剥いたばかりの玄米をひょいっと口に放り込み、ゆっくり奥歯で噛み砕いてみました。二人は神妙な顔で見ていました。
素朴で、自然な甘みがあり、まっとうな米の味がしました。太古の昔から私たち日本人が大切に育て、主食にしてきた食物。
「おいしい?」ひとりが訊きました。
「うん。すごーくうまい。涙が出そうなくらいだ」
「じゃ、私も食べてみよっと」もう一人が言い、ふたりはそれぞれ一粒ずつ口に入れました。
沈黙。
「どう?甘い味がするでしょ?」私は訊きました。
「うーん、甘い。ほんとうに」
「うん。おいしいね。早く稲刈りしなくちゃね」
「じゃあさ、カレー作るために落ちてるやつ全部拾ってとっておこうよ」
一人がそう提案すると、もう一人がにっこりとうなづき、二人はそれから地面に落ちている米を一粒一粒丁寧に拾い始めました。そんな姿をほほえましく眺めていると、二人は立ち上がって言いました。
「あのさ、黙って見てないで先生も手伝ってよ。カレー食べたいでしょ?」
「手で剥くの手伝ってくれない?これ結構大変なんだから」
言われるがまま私はしばらく彼女たちと一緒に米を拾いました。
それから三人でどれくらい拾ったでしょうか。地面に落ちた米粒は意外にたくさんありましたが、半分くらいは殻だけで中身がありませんでした。きっと鳥や虫たちが食べてしまったのでしょう。ささやかに実った稲を私たちは鳥や虫たちと分け合っているのです。しかもその稲はほかでもない、われらしんじんの年長児たちが手塩にかけて作ったのです。そう思うと、私は感慨深い思いでいっぱいでたまらなくなりました。不覚にも突然まぶたに涙があふれ、こぼれおちそうになりましたが、なんとかこらえました。見上げると、十月の空はどこまでも澄んで青く輝いていました。そしてこの二人の子どもと経験したこの一瞬の出来事を心に刻みたいと強く思ったのでありました。
「せんせいちゃんと拾ってる?」
「休んじゃだめでしょう?」
二人に諭されて我に返り必死で拾いつづけるかんかいじゅうでありました。泣いている場合ではないのです。
やがて、別の誰かに呼ばれて私はその場を離れなくてはならなくなったのですが、彼女たちはその後もしばらくそこで米を拾っていました。二人の胸の中に何か大切なことが伝わっていれば良いなあと私は思います。お待ちかねの稲刈りは来週末に行われます。カレーパーティーが今から楽しみですね。
いま十月の空のもと、米を拾う子どもたち。
さて、明日からは三連休となります。みなさんのご予定はいかがですか?私は久しぶりに妙高と黒姫を訪ね、大好きな森をあてもなくさまよって来ようと思っています。
怪我や事故には十分気をつけられ、良い連休をお過ごしください。