われらしんじんのこども

真人幼稚園の子どもたちの日々の様子や、
  楽しいエピソードなどをお伝えしています。

『すてきなおんがくたい、はるのうみへ』 まえだかん

2006-03-28 11:30:00 | Weblog
 春一番のあたたかい風が吹いたある朝、ウサギのぴょん子さんはひとりで家を出て、西に向かって歩き始めました。
 ぴょん子さんが歩いていくと、かわらの公園でぞうのぞうじろうくんとくまのくまごろうくんに会いました。
「やあ、ぴょんこさん、いい天気だね」くまごろうくんが言いました。
「そうねとってもいい天気。ところでふたりとも、こんなところで何しているの?」
 ぴょん子さんが言いました。
「あんまり天気がいいから、川をながめながらひなたぼっこしていたんです」
 ぞうじろうくんが言いました。
「それならわたしといっしょにいかない?」
「えーっ!どこへー?」ふたりは声をそろえて言いました。
「海よ」ぴょん子さんはこともなげに言いました。
「うみ?」と、ぞうじろうくん。
「うみ!」と、くまごろうくん。
「いいね」
「うん、いいね」
「さ、はやくいくわよ!」
 そうして三人は海に向かってすたすたと歩き始めました。

 三人が海に向かってすたすた歩いていると、ライオンのライアンくんが自転車に乗ってむこうからやって来ました。
「やあ、みんなおそろいでどこへいくんだい?」ライアンくんは言いました。
「おれたち、これから海へいくんだ」くまごろうくんが言いました。
「へえ~、それは楽しそうだね」
「あなたもいっしょに行かない?」ぴょん子さんが言いました。
「みんなで行きましょう」ぞうじろうくんが言いました。
「よーし、それなら出発だ!」ライアンくんはにっこり笑って言いました。
「ところで、海はどうやって行けばいいんだろう?」くまごろうくんが言いました。
「そうですね、考えてもみなかったですね」ぞうじろうくんは言いました。
「おひさまのしずむほうに歩いて行けばいいのよ」ぴょん子さんが言いました。
「この川にそって歩いていけば、そのうち海にでるよ」ライアンくんが言いました。
「なーるほど」ふたりは大きくうなずきました。
 そうして四人は川ぞいの道を海に向かっててくてくと歩いていきました。

 四人が川ぞいの道を海に向かっててくてくと歩いていると、ねずみのちゅーたくんとさるのもんきちくんが川のほとりにならんですわり、魚つりをしていました。
「おーい、みんなどこへいくんだーい!」ちゅーたくんがさけびました。
「海へいくところだよー」四人は声をそろえて言いました。
「へーっ、それは楽しそうだね」ふたりは顔をみあわせて言いました。
「あなたたちもいっしょに海へ行きましょうよ!」ぴょん子さんが言いました。
「うん、いいアイディアだね。今日は魚がちっともつれなくて、たいくつしていたところだったんだ」もんきちくんが言いました。
「それならさっそくでかけよう」くまごろうくんは言いました。
「これで全員そろったね」ぞうじろうくんは言いました。
「魚つりなら海でもできるしね」ライアンくんがクールに言いました。
 そうして六人は川ぞいの道を海へ向かってタッタカタッタカ歩いていきました。


 しばらく歩いていくと、川に大きな橋がかかっていました。


 またしばらくいくと、小さなヨットがとめてありました。


 もう少しいくと、どこからかカモメのむれが飛んできて、六人の頭の上でぐるぐるとまわりながらさかんに鳴きました。


 どれくらい歩いたでしょうか。はじめはおしゃべりをしたり、みんなで歌をうたったりしながら楽しく歩いていた六人ですが、いつまでたってもなかなか海にたどりつかないので、だんだんと言葉もすくなくなり、さいごにはだれもがだまってもくもくと歩いていました。
 やがて、だれかがつぶやきました。
「海のにおいがする」
 みんな鼻をくんくんと鳴らして、においをかいでみました。
「ほんとだ!海のにおいがするね」
「さあ、みんないくわよ!」そう言って、ぴょん子さんがとつぜん走りだしました。
 それにつられて、五人も走りだしました。


 海だ!
 とうとう、すてきなおんがくたいの六人は海につきました。はるのうみは、ぽかぽかあたたかく、波もおだやかで、とてもしずかでした。六人は浜辺にならんですわり、さっそく海をながめることにしました。
 それからどれくらいの時がたったでしょう。だれかがふと思いついたように言いました。「せっかく海に来たんだから、ここで演奏会をしようよ」
「うん、いいね」べつのだれかが言いました。
「春の海にきかせてあげましょう!」ぴょん子さんは言いました。
「そうだ!そうしよう!」みんなは声をそろえて言いました。
「でもぼくたち、だれも楽器を持ってきてないよ」
「そうだね、魚つりのさおしか持ってない」
 もんきちくんとちゅーたくんが言いました。
「歌なら楽器がなくてもうたえるけれどね」
 ライアンくんが言いました。
「だいじょうぶ、楽器ならこの砂浜でさがせばいい」
 くまごろうくんが言いました。
「ん?」
 みんなはびっくりしてくまごろうくんを見ました。
「そうよ!かいがらやりゅうぼくで楽器を作ればいいのよ!」
 ぴょん子さんはそう言うと、足もとに落ちていたかいがらをひろって重ね、カリカリッとこすり合わせてみました。みんなはじっと耳をすませてみます。
(かりっかりっかりっかりっ、こりっこりっこりっこりっ)
 それはまだだれも聞いたことがないような、すてきな音でした。
「いい音だねー」

 それから六人は浜辺を歩きまわり、落ちていたかいがらやりゅうぼくをひろい集め、どんな音が出るかじゅんばんにためしてみました。
 さて、どんな楽器ができあがったかというと、
「ぼくはかいがらのカスタネット!」と、ちゅーたくん。
「ぼくはりゅうぼくの木琴!」と、もんきちくん。
「わたしはかいがらの笛よ!」と、ぴょん子さん。
「ぼくもかいがらでギロ!」と、ライアンくん。
「おいらはりゅうぼくのウッドブロック!」と、くまごろうくん。
「わたしはちょっと大きいけど、りゅうぼくのクラベス!」と、ぞうじろうくん。

 そうして、みんなは波の音を聞きながらそれぞれの楽器を奏で、歌をうたい、海辺の演奏会を開くことにしましたとさ。
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3学期の終業式

2006-03-20 16:45:00 | Weblog
 本日、無事に3学期の終業式を終えることができました。保護者の皆様にはこの一年もまた大変お世話になり、ありがとうございました。
  
 明日から短い春休みとなりますが、子どもたちにはしばし心と体を休め来たるべき新年度にむけてたっぷり英気を養って頂きたいと思います。
 18年度一学期の始業式は4月8日(土)、入園式は10日(月)です。
  
 それではまた会う日まで、ごきげんよう!


【お知らせ】
あす21日(火)は18年度新入園児のための第2回一日入園がおこなわれます。教職員一同、心よりお待ちいたしております
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退園する子どもたち

2006-03-20 16:07:18 | Weblog
 3学期末をもって退園する子どもたちが、終業式の中でお別れの挨拶をしてくれました。それぞれがいろんな場所で新たな出発をされることと思いますが、どうぞお元気で。お近くにお越しの際は、真人幼稚園にも遊びにいらして下さい。
 またお会いできる日を楽しみにしております。
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第38回 卒園証書授与式 (あお組)

2006-03-19 01:48:00 | Weblog
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第38回 卒園証書授与式 (そら組)

2006-03-19 01:47:00 | Weblog
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第38回 卒園証書授与式 (ばら組)

2006-03-19 01:45:51 | Weblog
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大いなる日に

2006-03-17 12:27:30 | Weblog
 いよいよ18日には第38回卒園証書授与式が、20日には終業式が行われます。この1年もまたたくさんの出来事があり、それらひとつひとつを乗り越えながら、どうにか無事に終えることができそうであります。大きなけがや事故などもなくこの日を迎えられますことをまずは何より喜びたいと思います。これもひとえに保護者の皆様のご理解とご協力の賜物と、教職員一同心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 われらしんじんの子どもたちは、この1年もほんとうによく遊び、よく見聞きし、わかり、すくすくと伸び伸びと、たくましく成長を遂げてくれたように見受けられます。ほんとうに素晴らしい子どもたちであります。子どもの持つ力の偉大さにいつもながら圧倒され、教えられた1年でありました。私はつねづね大人として、あるいは教育者として彼らに何かを伝えなければと願ってはいますが、実は教えられ伝えられているのはこちらのほうなのです。キャリアを重ね、年を追うごとにその思いは強くなっていくようです。
子どもはその小さな心と体ぜんぶを使って私に大切なことを投げかけてくれます。その中身に大人と子どもの差はありません。大人だから高尚、子どもだから稚拙ということはないのです。そしておそらく私にできることはただ彼らが全身全霊で投げかけてくるそれらを必死で受け止め、投げ返してあげることだけなのです。
 この子どもたちのさらなる成長と、明るい未来の訪れることを、切に願うしだいです。

 さて、おしまいにこの卒園式・終業式をもってしばしお別れしなければならない皆様に、ひとことお礼を申し上げます。これまで様々な行事や日々の活動においてたいへんお世話になり、ありがとうございました。どうぞ卒園されても、真人幼稚園のことを忘れずにいつでも遊びにおいでください。私たちはいつも心待ちにしております。
 また転勤などで遠方へ行かれる方もおられることと思いますが、どちらへ行かれましてもどうぞお元気でご活躍ください。

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『すてきなおんがくたい』の贈呈について

2006-03-17 12:25:00 | Weblog
 このたび、17年度の終わりにあたり、童話『すてきなおんがくたい』が小冊子となって発行されました。これは私がこれまでに書いた「すてきなおんがくたい」、「すてきなおんがくたいとおじいさん」に新たに「すてきなおんがくたい、はるのうみへ」の一遍を追加して三部作とし、それらの文章に子育て相談講師の坂井アイ子先生が素敵な挿絵を書いてくださってできた、ささやかな絵本であります。アイ子先生とはいつもいろいろな場面でコンビを組ませて頂き、さまざまな仕事をさせて頂いてまいりましたが、文章を書く仕事においてもこんな形で一緒に仕事をすることができて、私としては大変嬉しく思うしだいです。これまで書いてきた多くの文章は言わば「ひとりの世界」ですべてが成り立ってきたものですが、このたびのアイ子先生との絵本作りは私に新たな作品作りの可能性を示してくれました。「ひとりの世界」で完結していた文章に自分以外の人の手による絵画(視覚的な意味づけ)が加わると、まったく別な新たなものが出来上がるということを、ありありとした実感として感じることができたのです。これは正直に言って素晴らしい感覚でありました。十代の半ば頃からかれこれ20年くらい詩や小説を書き続けてきたわけですが、それらはごく控えめに言っても「どこまでもどこまでも果てしないくらい独りぼっち」な作業でありました。それはそれで意味があることなのですが、絵本作りにはそれとはまったく別な楽しさ、どきどきするような面白さがありました。それは例えるならば、科学の実験みたいなものと言えるかもしれません。私の文章とアイ子先生の絵とが真っ白な紙の上で劇的な科学反応を起こすのです。それらはやがて細胞分裂をくりかえし、時に爆発し、収束し、そこに新たな世界が生まれる。それは文章を書いた私自身の資質や想念をはるかに凌駕して、まったく新しいものに生まれ変わる。なんと素晴らしい体験でしょう。

 はじめてこの冊子を作ってみたいと打ち明けたとき(それはちょうど二作目を書き始めたころだった)、アイ子先生は二つ返事で挿絵を描くことを承諾してくださいました。アイ子先生にはこれからわたしがやろうとしていることの意味や方向性が手に取るようにわかるらしく、確信に満ちて引き受けてくださったのです。お忙しい中、絵筆をとる労をおとりいただいたことに、この場を借りて改めて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。先生の絵の持つ魅力に引っ張りあげられながら、私は私の書くという技術を通してこんなふうに形に残せることを、幸せに思っています。
 そして、少なくともこれが今日現在における、私のベストです。付け加えることはありません。わたしがつねひごろ子ども達とかかわる上でぜひ伝えたいと思っていることが、ここに書かれています。そして私にこれらを書かせたのは、まぎれもなくこの素晴らしい子ども達との数え切れぬほどの出会いと別れがあったからこそであります。
 ともに生き、ともに歩んだすべてのしんじんの子ども達に、この物語を捧げるしだいです。そして願わくばどうかこの中のひとつでも、読んでくださるすべての皆様の胸に響くものがあれば、これに勝る喜びはありません。


(なお、乱丁本などがございましたらお取り替えしますのでお申し出下さい。)
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「ありがとうの会」

2006-03-15 23:21:00 | Weblog
 皆様ご機嫌いかがですか。
 本日は、年長組の保護者の皆様と子ども達が催してくださった「ありがとうの会」が真人幼稚園の運動場で和やかに行われました。教職員すべてがお招きを頂き、私もありがたく参加させていただきました。心温まる素敵な会を開いてくださり、感謝の気持ちでいっぱいであります。本当にありがとうございました。係のお母様がたをはじめ、保護者の皆様のあたたかいお心遣いに、胸が熱く高鳴り何度も涙があふれそうになりました。ここまでご準備くださるまでにさぞや大変な労力を払われたこことお察しいたします。

 年長組の子ども達は間もなく卒園を迎えるわけですが、本当にすばらしい成長を遂げてくれたように思います。よく遊び、よく学び、後輩達をしっかりとリードし、見事な年長児達でありました。きっと小学校へ行ってもますます活発に、伸び伸びと真人の子どもらしく活躍してくれることでありましょう。
 そんな年長組の子ども達と同じ時代に生き、共に過ごして来れたことを、私は心から誇りに思うしだいです。

 卒園式まであと3日となりましたが、悔いの残らぬよう、子ども達との時間を大切に過ごしてまいりたいと思います。


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卒園生を送る会(1)

2006-03-14 12:30:02 | Weblog
 皆さんいかがお過ごしですか。
 春の淡雪、なごり雪は情緒があっていいものだなと、平原綾香の歌う『なごり雪』などを聴きながら週末はぼんやり窓の外を眺めて過ごしておりましたが、夜が明けて週があけた月曜日には情緒を通り越して大寒波になってしまいました。春うららから一気に真冬へ逆戻りして風邪など引かれていませんか?

 さて、いよいよ今学期も残すところあとわずかとなりました。今日は運動場に全園児と全教職員が一堂に集まって「卒園生を送る会」がおこなわれました。年中、年少組の子どもたちは年長児たちへの感謝の気持ちを込めてそれぞれ学年ごとに順番に歌と言葉を贈り、手作りの記念品を贈呈しました。
 本日はその様子をお伝えいたします。画像は全部で21枚です。

 年長組の皆さん、今までほんとうにありがとうございました。

  
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