しばやんの日々 (旧BLOGariの記事とコメントを中心に)

50歳を過ぎたあたりからわが国の歴史や文化に興味を覚えるようになり、調べたことをブログに書くようになりました。

3度目の高山と円空仏を訪ねて丹生川から平湯温泉へ ~~ 岐阜・長野方面旅行一日目

2010年08月04日 | 岐阜県歴史散策

毎年真夏の暑い時期は、大阪を抜け出して涼しいところに旅行している。今年は、平湯温泉と濁河温泉に宿をとって、7月30日から二泊三日で高山から上高地などを車で巡ってきた。今回は旅行の初日のことを書こう。

高山は8年前と4年前に訪れたことがあるので、高山陣屋や高山屋台会館、櫻山八幡宮、日下部民芸館、吉島家住宅など誰でも行くようなコースはすでに訪問済みだ。今回は、高山でまだ見ていない所を訪問する旅程を組んだ。
大阪から名神高速、中部縦貫道を走って「松本家住宅」に着き、その隣の「ヒラノグラーノ」という店でピザを食べてから東山寺町(ひがしやまてらまち)の寺院を巡った後、円空仏で名高い千光寺や平湯大滝等をみる計画だった。



高山市の中心部は明治八年の大火で焼失し、日下部民芸館も吉島家住宅もその後再建されたものであるが、「松本家住宅」は高山市郊外にあったので焼失を免れた貴重な町屋の建物で、国の重要文化財に指定されている。開館しているのは土日のみのため、残念ながら中には入れなかったが、見るからに立派な建物である。



歩いてすぐ近くに日枝神社があるので立ち寄ったが、この神社の例祭が有名な「高山祭」の春の例祭(山王祭)で、秋の祭りは櫻山八幡宮の例祭である。



「ヒラノグラーノ」は「松本家住宅」と高山祭の「大国台」という屋台が収納されている建物に挟まれたイタリアンレストランで、築200年以上の町屋を改修したものだそうだ。 ピザが有名な店だけあって、パリッと焼き上げられたピザは確かに旨かった。

昼食を終えて、東山寺町のお寺を散策した。遊歩道が整備されているが、1.5km程度の遊歩道に13ものお寺と4つの神社が点在している。江戸時代初期に高山城主であった金森長近が、京都の東山に見立ててこの場所に寺院を移したということだそうだ。



上の画像は、一番大きな宗猷寺というお寺だが、威風堂々とした本堂の建物が気に入った。特に有名なお寺や神社があるわけではないが、高山の古刹を歩いて巡るのは楽しい。

東山寺町を1時間程度散策後、車で千光寺に向かう。



千光寺の歴史はかなり古く、伝承によれば仁徳天皇65年 (377年)頃に飛騨の豪族・両面宿儺(すくな)が山を開き、仏教の寺院としては、嘉祥3年 (850年)頃、真如親王(嵯峨天皇の皇子)によって建立され、最盛期には山上に19の伽藍や院坊が立ち並んでいたそうだが、永禄7年(1564)の武田軍の飛騨攻めの際に一山炎上してしまい、天正16年(1588)に高山城主金森長近により再建されたのが今の堂宇だそうだ。
江戸時代初期の僧、円空上人は12万体の造仏を誓願して鉈一本を手に全国行脚し、膨大な数の「円空仏」を残しているが、この千光寺に相当な期間逗留したと言われ、境内にある円空仏寺宝館には63体の円空仏が収蔵されている。


写真は寺宝館の入口にある立木仁王像で、以前は寺の参道の途中の立木に直接刻まれていたが、傷みがひどいために150年前に当時の住職が仁王門の裏に保存していたものだそうだ。寺宝館内は写真撮影禁止だが、この像だけは撮影可だった。


千光寺に来たら、円空仏だけでなく「五本杉」も是非立ち寄りたいスポットだ。上の画像が五本杉だが、一つの幹から五本の杉が空に向かって伸びている。

案内の立札によると、高さが50m、幹の周りが12m、樹齢1200~1500年だそうで、国指定の天然記念物に指定されている。存在すること自体が奇跡としか思えず、神々しさを感じて思わず手を合わせてしまった。

次に立ち寄ったのが「荒川家住宅」。荒川家は大谷村の旧家で、元禄期(1688~1703)から明治時代になるまでは、代々この地域の6か村の名主を兼ねていたそうだ。



写真の母屋は寛政8年(1796)、奥にある土蔵は延享4年(1747)の建築でいずれも重要文化財に指定されている。スタッフの方から一階の各部屋だけでなく、屋根裏部屋にも案内いただき、養蚕で使った農具や古文書についても説明を受けて勉強になった。

次は、「匠の館」に向かう。匠の館は明治時代に飛騨の名工・川尻治助が12年の年月をかけて建てた豪農の屋敷である。


川尻治助は高山市内の日下部民芸館を手掛けたことでも有名であるが、その腕の良さは日下部民芸館が明治期の建築物としては日本で最初に重要文化財に指定された建物であることで証明されている。そしてこの匠の館も平成19年に高山市の有形文化財に指定されている。



良質の材をふんだんに使い、重厚感たっぷりの梁組みや、名工川尻治助の大工道具類の展示なども非常に興味深かった。

次に、一日目の宿泊予定地である平湯温泉に向かう。温泉に入る前に絶対行くべき場所は落差64mの「平湯大滝」。この滝は日本の滝百選にも選ばれている。



前日の雨の影響もあったのかもしれないが圧倒的な水量で飛沫が凄く、滝に向かって立つと滝から300mは離れているのに眼鏡が水滴で曇ってくる。暑い時期に涼をとるには最高の場所だ。

平湯温泉でこの日に泊まった旅館は「愛宝館」。こじんまりとしたふつうの旅館で、風呂はも決して大きくはないが、内湯、露天風呂とも24時間のかけ流しの天然温泉で結構楽しめた。<続く>
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