しばやんの日々 (旧BLOGariの記事とコメントを中心に)

50歳を過ぎたあたりからわが国の歴史や文化に興味を覚えるようになり、調べたことをブログに書くようになりました。

鳥居は神社のものなのか

2010年06月07日 | 廃仏毀釈・神仏分離

鳥居は神社の入り口にあるもので、お寺に鳥居などはあるはずがないものだと子供の頃から思ってきたのだが、その考え方が正しくないことが分かってきたのはつい昨年のことだ。 

たとえば、聖徳太子の創建である大阪の四天王寺に行くとこのように西の入口に石の鳥居が建っている。



この鳥居は永仁2年(1294)に再建された、日本最古の石造りの大鳥居とされ、国の重要文化財に指定されている。



扁額には「釈迦如来 転法輪所 当極楽土 東門中心」と書かれているが、この意味は「お釈迦さまが説法を説く所であり、ここが極楽の東門の中心である」という意味である。
この扁額は見るからに新しく制作されたものであるが、ここに書かれている文字は昔から同じもののようだ。「法然上人行状画図」という本の第十六に四天王寺の鳥居が書かれており、扁額には、今と全く同じ文字が書かれているらしい。

以前このブログにも書いたが、吉野の蔵王権現堂の近くに鳥居が建っている。
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-85.html



上の画像が有名な「銅(かね)の鳥居」で、日本最古の銅製の鳥居でこれも国の重要文化財に指定されている。高さが7.6m、柱の径が1mで、東大寺の大仏さんを造る時に余った銅を用いたという言い伝えもある。また鳥居の柱は、仏の台座である蓮華座の上に立っているそうだ。
この鳥居の扁額には「発心門(ほっしんもん)」と書かれているが、この字は弘法大師の筆によるものと伝えられている。



この鳥居は聖地への入り口であり、俗界と聖地との境界を象徴する。
大峯山に入る修験者は、この門に手をかけて廻りながら、
吉野なる銅の鳥居に手をかけて、弥陀の浄土に入るぞ嬉しき」
との讃仏歌を三度唱えて修行の心を新たにして出発するそうだ。



日本の三大鳥居は安芸の宮島・朱丹の大鳥居(木造)と大阪四天王寺・石の鳥居、吉野・銅の鳥居であることを最近知ったのだが、3つのうち2つがお寺に関わるものなのである。

地図記号で使われる鳥居は神社を意味するのだが、そもそも鳥居とは何なのか。

鳥居の起源についてネットで調べるとWikipediaにかなり詳しく書かれているが、結論としては「諸説あるが、確かなことはわかっていない」のだが、延暦23年(804)に書かれた「皇太神宮儀式帳」という文献によると鳥居は「於不葺御門(うえふかずのみかど:上に屋根のない門)」として、「奈良時代から神社建築の門の一種としている」ようで、「8世紀頃に現在の形が確立している」と書いてある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A5%E5%B1%85 
では鳥居の起源について「諸説」としてどんな説があるのかというと、

インドの仏教やヒンドゥー経寺院に見られる門である「トラナ」が狛犬などと同じく仏教に付随して伝来したという説。

Wikipediaには「トラナ」の写真が出ていたが、これは確か鳥居に似ていると言えば似ている。



この画像は紀元前2世紀から紀元前1世紀頃に建設されたサンチのトラナだが、獅子像などが彫り込まれている。

また、中国で宮殿や陵墓へ続く参道の入り口に入口両側に置かれる「華表」が鳥居の起源であるという説もある。




上の写真はWikipediaの「天安門前の華表」の写真である。

中国には「牌坊(はいぼう)」という伝統的建築様式の門がある。神戸や横浜の中華街に、このような建物が確かにあった。




上の画像は、香港西貢区の「海鮮街」にある「牌坊」である。

他には日本古来のものだという説もあり、天照大御神を天岩戸から誘い出すために鳴かせた「常世の長鳴鳥」(鶏)にちなみ、神前に鶏の止まり木を置いたという説や、現在の雲南省とビルマとの国境地帯にすむアカ族の「精霊の門」には、上に木彫りらしき鳥が置かれたりしていることから、これが日本の鳥居の起源であるという説まである。



子供の頃に山で良く友人と遊んで仲間同士で陣地のようなものを作って入口に門らしきものを構えたのだが、陣地の中に入るメンバーを絞る目的で門らしきものを作る発想はどこの部族でもするのではないかと考えてしまう。

このような諸説がまじめに議論されているのなら、インディアンのトーテムポールが鳥居の起源だという説が出てきてもおかしくないではないか。
「皇太神宮儀式帳」の原文は誰でも次のURLで読む事が出来るが、7/76面の5行目に出てくる「於不葺御門(うえふかずのみかど:上に屋根のない門)」のところは、その大きさが書かれているだけのことである。
https://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/h248/image/01/h248s0007.html

この資料では、四天王寺吉野蔵王権現堂に鳥居があることを納得させるものではない。いずれも神仏習合以前に作られた寺院はであるが、なぜお寺に鳥居を建てたのだろうか。この2寺院にかぎらず、ほかにも鳥居のある寺院はいくつも存在するのだ。

つまるところ、鳥居とは「於不葺御門」、つまり屋根のない門と考えれば良いだけのことではないか。そう理解すれば、お寺に鳥居があっても何の不思議もない。

そういえば「門」という字は鳥居に似ているような気がする。

鳥居のことをいろいろ調べていると、青い鳥居のある神社が存在するようだ。ネットで画像を検索するといろんな神社が出てくる。この画像は、知多半島にある恋の水神社の鳥居だが、ちょっとチープな印象を受けるのは私だけだろうか。



やはり鳥居は朱色が良く似合うと思う。
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