風景写真は引き算、は本当か?

2012-12-29 | 撮影のこと
風景写真は引き算、という言葉がある。広々とした風景をそのまま撮るだけだと、撮り手が何を撮りたかったのかよくわからなかったりするので、不要な部分をどんどんそぎ落としていく、そのことを引き算という言葉で表現している。
けれどもこれは、やりすぎると構図がシンプルになりすぎることもある。風景の一部に寄り過ぎて、何に注目していたのかはわかるが、それだけしか写っていないという、、、。

風景写真は引き算、という言葉を初めて聞いたころから(?)、この意識は頭の片隅にはいつもなんとなくあって、気づいたときには何とかしようと試み、それなりに撮影しているつもりではある。しかし、なかなかよい結果を得ることはできず、そもそもこのアプローチは私には合っていないのではないか?と感じている。
まず何かを発見したら、思い切り寄って撮ってみる。そこに「足し算」をしていくアプローチ。むしろこの方がよいのではないか。

写真の撮り方にはとても大雑把に言って、パンフォーカスで撮る場合と、主要な被写体のみにピントを合わせ、それ以外はぼかすという二種類の撮り方がある。
ここまで書いてきて思ったが、風景写真は一般に前者=パンフォーカス、「思い切り寄って撮る」撮り方は後者、である。もちろん、実際にはその場その場で違ってくるが。

、、、まとまらない。もう少し試行錯誤が必要らしい。
とりあえず、、パンフォーカス時の足し算と引き算、ボケ表現時の足し算と引き算、この良し悪し、メリットデメリットを実感していく経験を必要としている状況かも知れない。

Canonet

2012-12-24 | 機材のこと
Canonetというカメラがある。ネットで調べてみると、、発売されたのは1961年。当時のCanonetと同じようなスタイルのカメラからすれば、かなり衝撃的な価格設定がされたらしく、発売から2年半で100万台ほど売れたらしい。その後もJunior、S、QL17、QL19、QL19E、、、などの改善版?が発売されている。
、、で、今、私の手元に1台のCanonetがある。


正直なところ、こういうものをジャンク屋とか、オークションで購入する趣味はない。ではなぜ手元にあるかと言うと、父が若い頃使っていたものをたまたま押入れの中から発見したからだ。その頃、たまたま、Nikon D90を使い始め、カメラには強い興味を持っていた時期だった。そうでなかったら、おそらく見つけていても、そのまま放置したかも知れない。父にもらってもいいかと尋ねると、いいよ、とのことだったので、もらうことにした。
全く以って素人の私には、コンディションの判断ができなかったので、古いカメラの修理にも対応できそうなショップを探した。その中でうちからのアクセスが一番良さそうなところ、、ということで、「カメラの大林」に持ち込んだ。やはり、その時点ではちゃんと動作していなかったのだが、1万5千円、これでCanonetは生き返った。

使ってはしばらく忘れ、また思い出しては使って、しばらく忘れ、、、ということを繰り返している。で、昨日、1年ぶりくらいで使ってみた。
Canonetは135のフィルムを使うので、フィルムの入手に関しては全く問題はない。が、、私自身、135のフィルムのカメラを使ったことがなかった。なので、フィルムの装填の仕方からして、「えーーっと、どうやるの?」という状態だった。
そういう基本的なところから、レンジファインダーでのピント合わせや、露出の合わせ方、など、何か操作をするたびに「あれ?これ、どうやるの?」「あ、そうだった」など試行錯誤の繰り返し。でもその試行錯誤が、新しく手に入れたおもちゃで遊ぶような感じで、なかなか楽しい。敢えて使い方を覚えず、こういう付き合い方をする方がよいのかも知れない。
なんと言っても、フィルムは中判、大判といったものではなく135。フィルム自体はデジタルカメラに対して、大きなアドバンテージを持っているわけではない。Canonetを使うということは、冷静に見ると、フィルムカメラでは一番使われているであろうフィルムを、ちょっと使いにくいカメラで使うことに他ならないわけで。
、、、でもちょっとだけメモ。
正しい情報かどうかは定かでないが、とりあえず、私の使い方のメモ。
・フィルムの装てん時。最初のうち、巻上げがうまく行かないことが多い。ここはじっくりと時間をかけ、何度か裏ぶたもあけて調整し、巻上げがちゃんとできるまで待った方がよい。
・写る範囲はファインダーの中に表示されている枠の中。
・露出は、適正範囲でないとシャッターが切れない。ファインダー内の赤ランプ点灯はおそらく、露出オーバー。
・逆光での撮影は、ほぼ不可能
・レンジファインダーのピント調節は、カメラを縦にしているとやりにくいので、横で距離を合わせてからやる方がよいかも。

余談。
・現像したフィルムの置き場に困っている。
・ヨドバシカメラでフィルムのスキャンをすると、フジのフィルムを使っているせいかも知れないが、フジのSP3000というスキャナが使われるらしい。
・スキャンした画像を見ると、どうも緑かぶりしているような印象を受ける。一度プリントして、比較してみた方がいいかも知れない。

マクロレンズで葉っぱを撮影する

2012-12-16 | 撮影のこと
今日、とある植え込みで、色鮮やかな赤い葉っぱの植物を見つけたので、マクロレンズで撮影してみることにした。
マクロレンズ=AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED。
正直言って、かなり、安易な気持ちで撮影を始めたのだが、思ったとおりになど全く撮れず、早々に閉口する羽目になった。
マクロレンズは基本的には寄って使うもの。で、寄ると、さらに絞り開放とかで使うと被写界深度は極端に薄くなる。しかし、裏を返せば、それこそがマクロの魅力、でもあるのだと思う。被写界深度が薄くなれば、ピントの合う範囲は極端に狭くなる。つまり、撮影者が注目しているところはここだ!とわかりやすく伝えることができる。これは一月くらい前だったか、同じくマクロレンズを使って撮影していたときに感じたことだ。
何でもいいからとにかく、ピントを合わせるところを決める。そうすれば撮影そのものはうまく行くはず。、、、そのはずだった。
で、撮った一枚がこんな写真。


ピントを合わせたのは、左下の葉っぱの先辺り。でも、合っているかどうかは見たところちょっと微妙な感じ。
マクロレンズを使った屋外での撮影で、風は大敵の一つである。葉っぱは、風で簡単に揺れる。特についている枝が細いと、たいしたことない風で、びっくりするほど揺れる。そして、元の位置に戻ってくれる保証は無い。
がんばって、がんばって、がんばって、、。がんばって、ピントを合わせても、ゆるい風ひと吹きで全部やり直しである。ほんっと、正直嫌になる。
上の写真も、最初は絞り開放で撮ろうとしたが、あっけなく心が折れて、少し絞って撮っている。それでもこんなもの。
屋外でこういう撮影をするときは、なるべく風が吹かない日、風が通りにくい場所、あるいはなんらかの風をさえぎる手段をもってやるべきだと思った。

紅葉も風景の一部に過ぎない

2012-12-08 | 撮影のこと
紅葉の時期には紅葉を撮る。
しかし、「紅葉を撮る」と言っても、紅葉の写真と言っても色々ある。葉っぱ一枚のどアップ、少し引いて数枚、枝一本分、小さな木一本分、大きな木一本分、周辺の何かと絡めて、あるいは風景写真の点景として、さらには小さな山なら山全体とか、、。
撮影するときに「風景を切り取る」と言うことを意識し過ぎると、画角はどんどん狭くなる。もちろん、その場合、撮り手が何を撮りたかったのか、何に心が動いたのか、という点はわかりやすくなるものの、一方でそこはどこなのか、どういう場所なのか、と言ったことはわかりづらくなる。例えばこんな写真。


空の青と紅葉のオレンジ、黄色とのコントラスト。それはそれとして、まずまず美しくは見える。しかし、ここはどこ?どういう場所?という情報は全くない(ちなみに撮った場所は比叡山延暦寺の根本中堂のそば)。もちろん、写真にそういう情報が必ず必要と言うわけではないので、これはこれでよし、という見方もあると思う。
具体的な情報をバーン!と見せるような写真は、それはそれで「何か間違っている」気がする。しかし、上の写真のように、ここはどこである、情報を完全に排除した写真は、うがった見方をすれば「そういう情報を示唆するものを絡めて、うまく構図を作る作業において、妥協したのではないか?あるいは、その作業から逃げたのではないか?」というとらえ方もできる。と言うか、私自身、そういう感覚を持ってしまう。

上のような写真は全くダメとは思わない。ただ、単なるイメージの写真、あるいは、数枚あるうちの一枚としてであればOKかも知れないけれども、これ一枚で「どうだ!」という写真にはなりえない、と思う。
紅葉と撮ると言っても、紅葉は風景の一部に過ぎないのだ、というところからスタートしないと、どこか消化不良な感じが残る、今日この頃である。