2012夏の撮影行まとめ(第3回 秋田篇)

2012-09-01 | 撮影地メモ
◆◆秋田内陸縦貫鉄道◆◆
行き先の候補に秋田を挙げてから、秋田の観光地、という観点で調べていたときに見つけたのが、この秋田内陸縦貫鉄道。秋田には由利高原鉄道という、同じような第3セクターの鉄道があるが、行動拠点からの秋田空港へのアクセスを考えた場合、秋田内陸縦貫鉄道の方が良さそうだという観点からこちらを選択した。
仙台からは秋田新幹線こまちを利用して角館に移動。角館では2泊の予定の行程。角館滞在2日目に丸一日かけて撮影を実施した。
撮影の目的は風景よりも、鉄道自体。特に印象的な鉄橋を通るところを撮影したい、と思った。それを基本として、空いた時間で風景の写真も撮影できればよい、と思った。
経営状態が元々よくなく、「いつ廃止されるのか?」という話がたびたび話題になっている路線でもあり、一日の運行本数も少ない。可能な限り効率よく撮影するため、計画は綿密に立てた。概略としては、スタート地点の角館から途中の駅まで乗り鉄し、折り返して、何箇所かの駅で降りて撮影を実施、角館に戻る、という計画。降りる駅は近くにフォトジェニックな鉄橋のある萱草(かやくさ)駅と比立内(ひたちない)駅、もう一つは乗り鉄しているときによい駅があれば、と思ったが、実際に乗っていて、羽後中里(うごなかざと)駅がよいと思ったのでそこを追加した。切符に関しては、土日に発売しているホリデーフリーチケットBが1000円とお得だったので、これを利用することにした。
朝9:00角館駅発→10:41阿仁合(あにあい)駅着。阿仁合駅周辺で撮影。
11:35阿仁合駅発→萱草駅着。撮影ポイントに移動。撮影を実施。次の駅、笑内(おかしない)駅まで徒歩で移動。移動中も撮影。笑内駅付近で撮影。
14:15笑内駅発→比立内駅着。撮影ポイントに移動。撮影を実施。比立内駅に戻る。比立内駅付近で撮影を実施。
16:41比立内駅発→羽後中里駅着。羽後中里駅付近で撮影を実施。
18:03羽後中里駅発→18:29角館駅着。
撮影ポイント
・阿仁合駅の裏を流れる川の川辺


・萱草-笑内駅間の鉄橋(電線が残念すぎる)


・笑内駅周辺


・比立内駅周辺


・比立内-奥阿仁(おくあに)間の鉄橋


・羽後中里駅周辺


また、特定のポイントではないが、以下は、路線のあちこちで撮影が可能だ。
・車内から、トンネル越しに見えるもう一つ向こうのトンネル
・水田地帯越しに見える緑濃い山並み

◎反省点等
鉄橋に関する撮影はいずれも成功とは言いがたい。現地の情報不足、が主たる原因なのだが、ここでも電線に悩まされた。2箇所の鉄橋は、いずれも同じ川に架かっていて少し離れた道路橋から撮影を行ったのだが、道路脇に電線が通っているのである。後で調べて気づいたが、萱草-笑内駅間の鉄橋については、橋の川岸側(笑内側)に行けば、どうも、電線無し、で撮影は可能なようだ。しかしもっとよいポイントは、15メートルくらいは下を走っているもう少し小さな橋。もっと言うなら、川の中。比立内-奥阿仁間の鉄橋に関しては、川岸側に移動してしまうと、かなり見た目が変わってしまうので、どう撮るかについては現地で最終判断をした方がよいかも知れない。今回は、前者については、時間的な余裕が無い状況だったため、「電線越しはやむなし」として実施。後者については電線の間を抜くようにして実施した。
あと、上記二つの鉄橋では、車内からの見晴らしがとてもよいので、観光客向けに徐行する。そのため、シャッタースピードを気にする必要はほぼ無い。しかし、笑内駅で急行列車(笑内駅は通過)する急行列車を撮ろうと、準備していたのだが、絞り込んでいたため、予想外にシャッタースピードが下がってしまい、列車が大きくぶれた状態で写ってしまった、、。逆に言うなら、ぶらすならもっとちゃんとぶらした方がよかった。

◎残課題
この周辺は水田地帯なので、四季はそれぞれに特徴がある風景の撮影ができると思う。特に冬は雪が積もる地域でもあるようなので、機会を作って行ってみたい。ただ、、鉄道の存続そのものが危ぶまれてもいるので、行くなら早いうちがよいのかもしれない、、。

◎その他
鉄道で、車掌ではなくいわゆるキャビンアテンダントが同乗する列車と言うのは、秋田内陸縦貫鉄道で初めて経験した。そのキャビンアテンダントの方は車内販売も実施していた。とにかく、鉄道存続のため、やれることは全部やっていこう、ということなのだろうと思う。
朝9時発の列車に乗ったとき、地元のコーラスグループの方々が10人程度乗っていた(ちなみに年齢は私よりもだいぶ上)。いきなり合唱を始めた時にはちょっと驚いた。その中の一人の方が私に「どこからいらしたんですか?」と声をかけた。「大阪からです」と答えると、少し驚いて「遠いところからありがとうね」と言ってくれた。乗客の数については、もう長い間ずっと厳しい状況が続いている。しかしその存続については、多くの人が気にかけているように感じられた。



◆◆角館武家屋敷界隈◆◆
秋田滞在3日目。角館駅前周辺をスタート地点として、まずは西へ。桧木内川(ひのきないがわ)を渡り、少し北上。すぐ北側にある橋を渡り、2、3分も歩いて信号のある交差点を左に曲がると、武家屋敷の通り。まずはざっと北の端まで行き、そこから折り返して、時間の許す限り。
武家屋敷通りといっても、すべてが見学可能なわけではない。全体ではおよそ20軒ほどだろうか。しかしその半分くらいは、実は末裔の方々(かは定かでないが)が住んでいる普通の住居だったりする。「非公開」という看板が掲げられていて、敷地内には車が止まっていたりする(笑)。一般の民家なので見学不可と言う、至極当たり前の話。
しかし実は、残る見学可能な武家屋敷のうち、ひとつだけ末裔の方が住んでいる家がある。それが、屋敷の中では一番北側にある石黒家。私はここで思いのほか長い時間をすごした後、青柳家(広大な敷地内にある建物の中をそれぞれに改造して、それぞれを小さな博物館にしている)、岩橋家、河原田家、小田野家、と順に回った後、昼食をいただき、武家屋敷通りを後にした。
撮影ポイント
・石黒家。ここはたたみの間にも上がることができるので、いろいろ撮りようがあると思う




・青柳家の庭


・河原田家の庭。ここは小田野家の庭につながっている


・小田野家の庭と室内。畳の間に上がることはできない。



庭は、外側に向かって撮っても、壁やうっそうと茂る木が、近代的なものが見えそうでも隠してくれるため、角度によっては面白い。

@反省点等
観光というものには正直あまり興味がない私にとっては、正直言って私向きの場所ではないかもしれない、と思って訪れたが、予想以上に良かった、というべきで、取り立てて「残念」な思いは無い。
特に石黒家はすばらしかった。現在お住まいの方は12代目の方だそうだが、可能な限り、住み続けていただきたいと願う。勝手なお願いだが。

◎残課題
通りには桜もあるし、各家にはもみじもある。なんか魅力的なものがたくさんあって、ずるいなあという気はするが、風情があってよいと思う。そのすべての季節に訪れることは難しいかもしれないが。