ねぎやんのしま人のたわごとパ-ト2

視覚障碍者、ねっしーのあれこれ日記・・・

双眼鏡のこと

2012-04-12 19:52:00 | ノンジャンル
その昔、コンの原子炉双眼鏡云々と言う記事を書いたことがあります。

たまたま今、またアホーで出品されているらしく、それについて問い合わせがありましたので、当時の経緯と私が何故原子炉監視用双眼鏡と言ったかを再度こちらに書かせていただきます。


真偽のほどは私には分かりません。
各自、ご自身の責任において判断して下さい。

私に「原子炉監視用じゃないよ」とか、「そんな怖い物見て見ぬ振りするのか」とか、今さら言われてもどうにもなりませんので。



では、以下当時の記事をそのまま記載いたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以下本文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ニコンのすっげーブツ、原子炉監視用双眼鏡、俗称「近くしかみえねーぜ」8x30!!


 




この双眼鏡は私の友人がそもそも興味本位でオークションにて落札した物、外観は普通の8x30E型まんまなんですけどねぇ。。。内輪で「なんだこりゃ?」と論議をカモした楽しい双眼鏡です。

ちなみに友人とは「素人の双眼鏡」と言うホームページを運営している大先輩の双眼鏡使用者です!

ただこの方が私を先生先生と言うのですが私の方が素人なので恥ずかしくて(笑)

 

で、左のトップカバーに見慣れない文字が・・・「S.D1.5m~6m」???なんだこりゃ!?

またそれをさらに謎めかせるシリアルNO・・・560009

 

一体何なんだろう?みんなで到着するのを楽しみにしていました。で、到着と共に早速この方がインプレをしてくれましたが、それを聞いて思わず笑っちゃいました(あっごめんなさい!)

 

「ぴっ、ピントが6m以上あいませ~ん(涙)、この1.5m~6mってピントの合う範囲でした・・・(大泣)」

 

近くしか合わない双眼鏡?なんだそのトンチンカンな設定は?・・・昆虫を離れて拡大?んなバカな。みんなで色々と考えましたが一向に解明不能状態。

 

光軸もズレているようで遠くを見るとめまいに襲われますと話していました。つまり本当に内向に軸ずらしをした近距離専用なのかはたまた何かを開発しようとして作って途中でやめたレア物なのか?期待と謎は深まるばかりです。

 

そして友人より「何とかしてくれ~」と言う悲鳴と共に私の元へやってきました。

 

どれどれ・・・ほっ、ホントだぁ、近くしか見えない。遠くを見るとめまいがする。こりゃすげー双眼鏡だなと。

 

で、まずピントリングが壊れていたので後日発注する事にして光軸を見てみると上下がかなりズレていました。遠くを見ると内向ではなく外向にズレています。まずはここから直しましょう。

 

光軸ズレの原因は即分かりました。そもそもピントリングが壊れていること自体通常使用ではあり得ない事ですから・・・前所有者が直そうとしてバラしたのでしょう。しかも難しい上陣笠からやったようです。陣笠を外して傷がついていたのでまず間違いなさそうです。

 

って事はアームを無理にいじった可能性があります。真鍮の軸にダイカストのアームが付いているのですが、これが折れている物を良くみかけますが、みな素人さんがやったのでしょう。

 

異種金属通しの接合部は腐食しやすく食い付きやすいのです。CRCなどで浸透させて一日経ってから少しずつ外しましょう。もちろん隠しネジを外す事は忘れないように。

 

もっとも下陣笠からドライバー突っ込んで廻せば接眼部もろとも外れますがね。陣笠にドライバーを入れる穴が無いニコンなどはシールで隠してあるだけです。カッターの刃を当てれば簡単に剥がれると思います。

 

さてさて、で、外して再度組み直したらしっかりと光軸は合いました。やっぱりな!

 

組み上げたら再度内部を軽く掃除するために下陣笠からネジを外す通常の方法でやりました。で、一体どこの部分が普通の双眼鏡と違うのでしょうか?

 

一つ一つ見ていくと・・・接眼部(アイピース)は一般のありふれたエルフレ(アリフレとでも言いましょうか?笑)でした。つまんなーい、内部も同じく普通。。。残るは対物、で外して蛍光灯で焦点距離を確認したら・・・あらら短い、なーんだ!それじゃ普通の対物を取付ければ普通の双眼鏡になるのかな?やったら普通に無限遠が見えるようになりました。

 

対物枠はその代りしっかりしたダブルエキセン環で通常よりもかなり精度の良い物と見受けられます。

 

さーて、これからが問題です。大体のしくみは分かった物の一体この双眼鏡は何のために有るのでしょう?ピントリングを頼むついでにニコンに聞いてみることにしました。

 

因みにこのような部品はニコンに直接以来するほうが良いような気がします。自分で交換するのが前提ですけどね。

 

で、電話して聞いてみると簡単に答が出てしまいました。

 

「それは他の部署でやっている原子炉を監視するための専用双眼鏡です。原子炉は常時詳細に見る必要がありますが、近づけません。炉心板や炉心棒、冷却水設備など重要な部分は近くで拡大する必要がありますが直接は無理なので隔離室からこの近距離用で覗くのです。」

 

なるほど・・・でもだったら別に1.5mはわかるけど6mはいくらなんでも近すぎない?つーか普通の双眼鏡で良いのではとの問いに「使い辛いんです。あそこまで近くに合わせるには無限遠を切り捨てなければ無理でしたし現場ではこれの方が使いやすいんだそうです。収差については上下はダメですが内向外向はそんなに厳しくなく見やすい位置としています。」

 

この答えで全て解決してしまいました。

 

お騒がせな双眼鏡でしたがとてもおもしろい物でもあります。このような特化した製品は一般の人には「近くしかみえねーぜ」で終わってしまいますが、プロの現場では命を懸けていますので、私たちがホビーで持っていてもなーんも価値は見いだせないのでしょう。

 

しかし、この双眼鏡が渡った事により双眼鏡の奥深さを再認識させられてしまいました。遠くを見る物ですがその遠くとは何キロも先ばかりでは無く手の届きそうな所でも間にガラスの壁があればそれは遠いと言うのですね。

 

専用双眼鏡を作れるのもやはり日本ならずとも世界を代表するニコンならではと関心しました。

 

友人のご厚意に感謝致します。

 

 


..............ここまで.........