愛媛・松山、スポーツで町おこし

2008年06月05日 18時57分20秒 | ニュース
http://business.nikkeibp.co.jp/article/podcast/20080604/160278/

Jリーグと商店街がタッグ組む
2008年6月5日 木曜日 酒井 栄子

 スポーツを通して商店街の活性化を図っている町がある。愛媛県松山市中央商店街だ。2006年にJ2に昇格したJリーグの愛媛FCとタッグを組むことで地域活性化を軌道に乗せようとしている。


 「市街戦」。穏やかならないフレーズを掲げて昨年6月23日に実施したのが、試合の模様を商店街の中で生中継する試みだ。対戦相手ベガルタ仙台の地元・仙台で行われた公式リーグ戦を松山市の商店街2カ所の特設会場の大型画面と、中央商店街の全域で流している映像で上映した。

 「パブリックビューイング」と呼ばれるこのイベントは、FIFAワールドカップなどでもおなじみだ。応援するチームが国外やフランチャイズから遠く離れた場所で試合をする時に地元にいながらにして応援するために生中継映像が上映されることが多い。

 この愛媛FC主催のパブリックビューイングは、スカイパーフェクト・コミュニケーションズの協力で実施され、商店街アーケード内と駅前広場に設けられた約400人分の座席、立ち見を含めゆうに1000人を超える観衆を集めた。

 会場一帯がチームカラーのオレンジ色に染まり、サポーターによる応援コールも相まって商店街はさながらスタジアム、戦いの場と化した。


 商店街の活性化——。実はその前に、愛媛FC自体が人気の伸び悩みに直面しようとしていた。愛媛FCはJ2に昇格して今年で3シーズン目を迎える。松山が野球王国というハンディもあり、昇格初年度の盛り上がりが一段落した昨年、スタジアム観戦者の減少傾向が見え始めていた。

 その苦戦の原因の1つにスタジアムの立地の問題が挙げられている。愛媛FCの本拠地ニンジニアスタジアム(2008年よりネーミングライツ導入で改名)は、松山市中心部から路線バスで30分、往復1000円の運賃がかかる不便さがネックとなり、これからファンになる人たちに来場を促すのは容易ではない。

 愛媛FCも地元メディア・企業、交通機関、自治体などから支援を得て様々な施策を試みているが即効性を求めることは難しい。一般の小売業と同様、ファンがファンを呼ぶ口コミ展開が必要だ。

 そこで考えたアイデアが、松山市の中心街で行うパブリックビューイングだった。友達や家族を誘いやすい中心部の商店街で買い物ついでに試合の醍醐味を味わってもらえば、観戦の楽しみを体験してもらうことができ、スタジアムへ誘導するきっかけになる。

 一方、松山市中心部には、松山城、道後温泉、新装なった坂の上の雲ミュージアム、伊丹十三記念館など新旧の名所が多い。とりわけ最近人気なのが、坂の上の雲ミュージアムだ。司馬遼太郎の作品『坂の上の雲』にちなんだ博物館だ。『坂の上の雲』では正岡子規ら松山出身の3人の主人公を中心としながら、日本における近代国家の形成を大きな時代の流れの中で描いた。司馬人気も手伝って、全国から観光客が集まっている。このように観光資源と商業施設がコンパクトに固まっている利点を生かすため、以前から松山市商店街組合や行政が密接に連携してこれら観光資源を「売り」にした街づくりを行ってきており、中央商店街の賑わいは他の同規模の地方都市とは一線を画している。

 しかし、事態は一変する可能性がある。商店街から車で15分ほどの距離に四国で最大のショッピングセンターが開業したためだ。商業としては相当な競争が生じることが予想され、商店街関係者は危機感を募らせている。商店街に人を呼び、回遊してもらうには店舗とその品揃えの魅力に加え、絶え間なく開催・提供される様々なイベント・コンテンツといった仕掛けが必要だ。

 そこで本年も5月3日に今度は市の中心街を想起させる「お城下決戦!」というフレーズで再度商店街全域でのパブリックビューイングを開催。同時に一般から募集した愛媛FCのラッピングバスのデザインコンテストの結果発表・表彰式を実際の大型観光バスを商店街アーケードに乗り入れて行うなど複数のイベントとも合体。連敗が続いていた愛媛FCが3−0と快勝したこともあり、大変な賑わいを生んだ。今後、毎週、数万人が訪れるという夏季の土曜夜市における開催を含め、商店街におけるパブリックビューイングを恒例化していくことが検討されている。


 愛媛FCと松山市中央商店街がタッグを組んだのは、両者の思惑が一致したからだ。もともと松山市中央商店街は全国に先駆けて法律では認められていないアーケード内懸垂幕広告を特区として可能にするなど全国の商店街組合、商工会議所などから視察が絶えない先進の取り組みをしてきた。

 今回のスポーツを通した地域活性化には、ある組織の存在が不可欠だった。中央商店街の4商店街振興組合が出資、設立した「株式会社まちづくり松山」(日野二郎社長)だ。良好な市街地を形成するためまちづくりの推進を図る事業を行う会社として全国にさきがけて設立され、中でも商店街アーケード内の道路空間を活用した映像発信事業に力を入れており、経済産業省が民間活力を市街地活性化に生かす「道路空間活用まちづくりモデル構築事業」のモデル事業になった。商店街のアーケードを活用して、映像広告などの発信による収益事業を行い、その収益をまちづくり事業に充当するものだ。近年各地で取り入れられているエリアマネジメント広告の先駆けとも言える。

 まちづくり松山映像事業部の田中功統括マネージャーは「スポーツが嫌いな人はいない。スポーツの躍動感はビジョン放映することで街全体を活気づける」と説明する。

 昨年6月のパブリックビューイングの試みは、Jリーグの情報ポータルサイト、J’s Goalでもトップ記事で取り扱われ、複数のクラブ、またそのホームタウンの自治体から問い合わせが入った。本年度から全国のJリーグチームのホームタウンの街頭ビジョンにおいて毎月更新される試合のハイライト映像が流され、当月のホームゲーム開催の告知がなされるようになっているが、Jリーグ最後発の愛媛がこれに先行して1つの方向性を示した。

 この試みは波及効果を生んでいる。松山市役所が中心市街地・商業の活性化につながる活動に支援金が拠出される制度を愛媛FCをサポートする有志のグループに紹介、彼らが中心となって正式な愛媛FC後援会としての法人格取得に動き始めた。この後援会では全国に在住する多数の愛媛県ゆかりの人たちに働きかけ、郷土愛媛への、愛媛FCへの想いを支援金として集め、愛媛県内でのサポート活動の資金とする予定だ。また、今年は北京オリンピックの年。サッカー日本代表の試合だけでなく、すでに愛媛県出身選手の出場が決まっているマラソン、ボート、レスリングなどのパブリックビューイングも商店街ビジョンで行う方向で検討が進んでいる。スポーツ全般をコンテンツとして活用することで商店街に賑わいを創出し、同時に郷土愛に訴えることで愛媛FCの応援につなげてもらおうという試みだ。

 もちろん、愛媛FCと商店街とのタッグは、これにとどまらない。アーケード内にミニサッカーコートを設営して行うキッズサッカーイベント、スタジアムでの応援に使うフラッグの作成教室、同じオレンジ色があふれるハロウィーンにひっかけて行うスタンプラリーとパレードなど、いずれも中心街で愛媛FCおよびサッカー観戦の楽しさの認知を高めることを目的として開催している。最近でも4月4日から3日間開催された松山春まつり(お城まつり)では、4月6日に選手のサイン会だけでなく、スポーツゲームイベントを開いた。

 もともとJリーグは、地域密着を標榜して生まれた。地域のファンを大事にし、地域で愛されるスポーツ活動を行うことが大方針である。それぞれのホームタウンで商店街など地域の組織・団体とタッグを組みスポーツを通して地域活性化を行うことは、Jリーグの基本理念からすればJリーグ各チームの責務とも言える。

ハリウッド映画など2000作、テレビ向けに有料配信 TSUTAYA

2008年06月05日 11時29分59秒 | ニュース
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=AS1D0408M%2004062008

音響・映像ソフトレンタル・販売最大手のTSUTAYAは6日、テレビ向けインターネットサービス「アクトビラ」で映画や海外テレビドラマの有料配信を始める。高画質のハリウッド映画を中心に来年中に計2000作品をそろえる。NHKも年末からアクトビラやケーブルテレビ大手JCOM向けに放送番組の供給を計画しており、テレビ向け動画配信サービスが本格化する。
 TSUTAYAは6日から「アクトビラ」に設けた専用ページ「TSUTAYA TV」を通じ、「トランスフォーマー」「HEROES/ヒーローズシーズン1」などハリウッド映画と海外テレビドラマの配信を開始。6月中にも200作品まで増やす。価格は洋画で1作品735円が中心となる見込み。テレビドラマシリーズをまとめて購入すると割り引くプランも用意する。
[2008年6月5日/日本経済新聞 朝刊]