1994年(平成6年)にメーシー販売から登場した4号機「イブX」
当時、新宿南口の「グリンピース本店」「パチスロ・てんとう虫」、歌舞伎町の「日拓本店」「パチスロ日拓」(ビッグプレイ)などで打っていたので、どうしても本機をみると「古き良き新宿」の光景がリンクしてしまう。特に、「パチスロ日拓」は等価交換で営業しており、いつも一発逆転を目論んでは返り討ちにあったものだ。
当たり前の話だが、等価と7枚のホールでは、リーチ目がガセった時のショックの度合いが全く違った。ボーナスの波もかなり荒めで、等価なら「連チャン即逃げ」が常套パターンだが、なかなか巧く立ち回れないのが、スロバカ・パチバカの悲しい性であった(打っているだけで、楽しくなってしまう)。7が揃った時の派手なファンファーレ(キングオブカリブとは微妙に違う音色)やフラッシュも、何気に好きだった。
(右…新宿南口「グリンピース」正面入口、左…「パチスロてんとう虫」の2Fに通じる裏口階段前。どちらの店にも本機が入っていた。特に「てんとう虫」はユニバ直営だったので、当然といえば当然である。)
(コチラは、新宿南口「グリンピース本店」イブXのシマに貼られていた「リーチ目表」。「メダルの交換は、平日は11時、日曜・祭日は10時からです」との注意書きも見える。あの店では、平日に「全シマモーニング」などの美味しいサービスもあった為、即流しを防ぐ必要があったのだろう。「パチスロファンを夢中にさせるユニークなシンボルデザイン」のフレーズは、まさにイブXの特徴を謳ったものだ。また、15パターン例示されたリーチ目の下には、「業界初のBB:RB=1:0.7の絶妙バランス」「200通り以上におよぶ豊富なリーチ目」との文言もある。)
★認可時期…1994年3月
(トロピカーナ、クラブトロピカーナに次ぐメーシー4号機第3弾)
★ボーナス確率
Big Bonus
設定1 1/309
設定2 1/297
設定3 1/282
設定4 1/268
設定5 1/256
設定6 1/240
Reg Bonus
設定1 1/431
設定2 1/409
設定3 1/372
設定4 1/372
設定5 1/372
設定6 1/264
★小役確率
・バタフライ(2枚)…1/2.9(高確時)、1/8.1(低確時)※チェリーに相当するメイン小役
・イブ(女性)(6枚)…1/18.2(高確時)、1/165(低確時)
・リップ(15枚)…1/30.6(高確時)、1/2730(低確時)
・アイ(眼)(15枚)…1/11(低確時)、1/546(高確時)
※他の小役と違い、アイは小役高確率状態の時に出にくく、低確率状態の時に出易い
・ヒール(リプレイ)…1/7.2(高確時、低確時ともに)
(3号機以前のユニバからは想像だに出来なかった、独創的な図柄がズラリ)
・上段左から「7」、「バッグ」(BAR)、「バタフライ」、「イブ」(女性)
・下段左から「リップ」、「アイ」(眼)、「ヒール」(リプレイ)
(やはり意表を突かれた感のある、下パネルの金髪女性。3号機迄の無機質さとは対照的に、艶めかしさを感じる斬新なデザインだった。ただ、この女性、「年齢不詳」との評判も立ったが…)
※あまりに図柄やパネルのデザインが斬新・奇抜だった為、攻略誌「G」の新台紹介記事では、「(註)このページはパロディではありません」という注意書きが付されたほどだ。これは、「G」誌のライターだった金角・銀角のコンビによる「架空のパチスロ台」を紹介するコーナー(ニューマシン必笑ガイド)と、大いに関係があろう。「うたまろ」「パリジェンヌ」「ラブレター」「KIALA」「恋のカラオケ娘」など、実際にあったら楽しいだろうなと思わせる、懐かしき創作マシンの数々(コチラのコーナーには「このページはでたらめです」との註が付いていた)。イブXには、それらに引けを取らないほどの強いインパクトがあった、という事だろう。
★リーチ目
本機登場時のセールスポイントとして、先ほども触れた通り、「200通りを超える豊富なリーチ目」というのがあった。名機「ニューパルサー」(93年4月認可、山佐4-1号機)の人気を受けて、ユニバが初期4号機の「フラッシュ告知」から「リーチ目」主体のゲーム性にシフトしていた事を、如実に表している。
ただ、確かにリーチ目が多彩とはいえ、実際に「リーチ目」と呼べるのは半分の100通りほどしかなく(ガセ濃厚目を含めれば200パターン)、さらに類似パターンを一括りにすると「約50通り」となる。ニューパルと比べると、かなりシンプルな部類に属するリーチ目といえた。連チャン時は面白い様にリーチ目から7が揃うのだが、不調になると「これって、入ってるよね」と期待させる出目が平気でガセったりして、ツンデレ度はかなり高かった(リーチ目、ガセ目、リーチ目のガセについては後述)。
基本的には、両ボーナスのフラグが成立すると、上に挙げた8パターンの出目が、有効ライン上に並びやすくなる。これは、上記各出目が、内部的に「0枚小役」として扱われており、ボーナスフラグ成立後には0枚役のフラグが別途成立する為である。但し、これらの0枚役は内部でのみ処理される役であり、パネルには全く記載されていない。
※0枚役の組み合わせ…「7・7・リップ」「7・イブ・イブ」「7・イブ・バッグ」「バッグ・バッグ・イブ」「バッグ・イブ・イブ」「バッグ・イブ・バッグ」「イブ・7・イブ」「イブ・バッグ・イブ」の8パターン
このように、本機のリーチ目は、すべて「特定図柄の組み合わせによる一直線型」として管理されており、テーブル制御が織りなすニューパルの多彩なリーチ目群(山形、谷型、L字型等)とは全く異なる。むしろ、本機を製造したメーシーの先行機種「コンチネンタルIII」(3-1号機)のリーチ目(「7」や「箱7」を組み合わせた一直線形)の流れを汲んでいる、といえよう。
但し、これら0枚役の並びは、5ライン全てで有効とはならず、「上段、中段、右上がり」のみリーチ目となる。一方、「下段」及び「右下がり」の2ライン(NGライン)については、上記の目が出てもリーチ目とはならず、「ガセ目」扱いとなる。
※本機では、「リーチ目」と「ガセ目」は明確に区別する必要がある。「リーチ目」は、上記8パターンの0枚役が、上段・中段・右上がりに並んだ形を指す。一方の「ガセ目」は、たまたま0枚役と同じ並びの上記8パターンが、下段・右下がりに出たケースをいう。なお、本機では、小役取りこぼし等で「リーチ目」がガセる事があるが、「リーチ目のガセり」と「ガセ目」とは、やはり全くの別物である(少々ややこしいが…)。
(リーチ目やガセ目の一例)
(中段「7・7・リップ」は、ビッグボーナスのリーチ目。左中段7からのリーチ目はビッグ濃厚。)
(左「アイに挟まれたバッグ」からのパターンは、レギュラーのリーチ目。中段BARからのリーチ目はバケが多いが、形によってはBR共通のものもある。)
(中段「イブ・7・イブ」は、BR共通のリーチ目。見方によっては「バッグ・7・リップ」の右上がり形、或いは「リップ・7・リップ」の小V型だが、リーチ目としての意味は全くない。有効となる形は、あくまで上記の基本8パターンのみ。)
(左にバタフライ(払出あり、チェリーに相当)が付いた形でもOK。これはビッグのリーチ目となる。)
こちらは、いずれも「ガセ目」。一見強そうに見えるが、NGライン(下段&右下がり)の一直線形は、リーチ目と呼べない。ホールで何度となく「ハッ」とさせられた、イジワルな目だ。
★NGライン以外の「リーチ目」も、ガセる事がある。
「リーチ目」(上段・中段・右上がりに並んだ0枚役)も、決して「100%の鉄板目」ではない。あくまでも、「高確率のリーチ目」である。リーチ目は、「順押し」に限って有効となる。また、小役を取りこぼすなど特定の条件下では、ボーナスフラグ非成立時でもリーチ目が出る事がある。
これは、「フリッパー3」(94年6月認可、ユニバーサル4-3号機、本機より後の登場)の「ガセリーチ目フラグ」(フリッパー3では、毎ゲーム1/128でガセリーチ目を抽選していた)とは異なる。イブXでは、「ガセリーチ目フラグ」なるものは存在せず、変則押しや取りこぼしなど、リール制御の関係でリーチ目がガセるに過ぎない。
ここで、イブXの基本的なリール制御を説明すると、次のようになる。
(1)左リール…成立フラグ及び停止テーブルにしたがい、リール停止位置を決定(ビタ~4コマスベリ)
(2)中リール…何らかのフラグ成立時は、その図柄を引き込む制御(1コマ~4コマ)が働く。一方、図柄を引き込めない場合、「ランダム停止処理」が働く(⇒1/4でビタ停止、1/4で2コマスベリ、1/2で4コマスベリを選択)。また、何のフラグも立っていない「ハズレ」の場合は、7/8の確率で左枠内にある、いずれかの図柄をテンパイさせる制御(テンパイ処理)が働き、1/8でランダム停止処理となる。この時、テンパイさせる図柄には優先順位があり、ヒール>リップ>イブ>バッグ>アイ>7の順にテンパイさせようとする。
(3)右リール…フラグ成立した役が、左⇒中でテンパイしていれば、引き込み処理を行う。一方、成立役が非テンパイの場合、或いは右リールで引き込めない場合は、ランダム停止処理が働く。また、ハズレの場合も、ランダム停止処理となる。
このようなリール制御において、リーチ目(0枚役)がガセる原因としては、以下の3通りがある。
(A)変則押し…ハサミ打ち、中押し、逆押しなど変則押しをすると、リール制御はランダム停止処理となる。一応、払出しがある小役を避ける制御になっているが、払出しのない0枚役を避ける制御は働かず、結果としてリーチ目が頻繁にガセる。
(B)小役取りこぼし…順押しで小役を取りこぼした時、ランダム停止処理で選択されたスベリコマ数によっては、0枚役が上段・中段・右上がりに並んでしまう事がある。これは、目押し位置とリールのスベリコマ数が符合して、偶然に0枚役を揃えてしまう「悪い偶然が重なった」ケースといえる。
(C)ボーナスフラグも小役フラグも非成立である時、ランダム停止処理が働き、中・右リールがいずれも「ビタ停止」を選択した場合(選択率は1/4×1/4=1/16)。この時に、「下段or右下がり」のNGラインに0枚役をビタで狙うと、無制御状態となってそのまま停止する。一方、NGライン以外に0枚役をビタで狙っても、0枚役をかわす制御が働くので、ガセリーチ目は出ない。
上記(C)については、もともとリーチ目にならない「NGライン」に出た、「ガセ目」の説明にすぎない。実際に「リーチ目」の0枚役がガセるのは、(A)(B)の場合(順押しに限れば(B))である。要は、小役の取りこぼしが、リーチ目がガセる主な原因となる。よって、普段から左リールにバタフライを狙っていれば、ガセリーチ目の出現率も大幅に下がる。
★その他
本機の実戦は大半が新宿だったが、それ以外にも高田馬場、上野、向ヶ丘遊園などのエリアで実戦の機会があった(設置率はかなり高めであった)。上野・アメ横の「スプラッシュ・ニューセブン」(閉店)は、90年代末まで長らく本機を設置していた。また、向ヶ丘遊園の某店にあったイブXは、時として一撃3000枚クラスの連チャンをかます事もあり、某店の傾向から考えると「Bモノ」仕様であった事は疑いない。それから、小田急線・長後駅前の「ニューモナコ」にも、本機をはじめとするユニバ(アルゼ)系の各機種が置いてあった。そうそう、先日名前のあがった「パチンコABC」(さがみ野)の名前も、再び挙げておかねばなるまい。
(上野・アメ横「スプラッシュ・ニューセブン」(ギャンブリングホール)の赤いネオン。90年代・某パチンコ特集番組のオープニングショットより。アラブの宮殿を思わせる、派手な外観が特徴だった。)
懐かしいな‥