(C)堂上まさ志、秋田書店
かつて「プレイコミック」(秋田書店)という青年漫画誌に連載されていたパチンコ漫画である。現在も連載されているかどうかは、ちょっと分からない・・・。
私がパチンコにハマリ始めた頃(1990年)は、とにかくパチンコに接している時間が楽しかったので、実際にホールで打つだけでは飽き足らず、攻略誌や漫画・TVなど、パチンコ・パチスロ関連のメディアに対しても、非常に興味を持っていた。
中でも「パチンコ漫画」というものの面白さに取りつかれて、書店やコンビニに行くと、たいがいのパチンコ漫画誌を買っていた記憶がある。部屋の隅には何十冊という古雑誌がいつも山積みになっていたのを思い出す。
当時、よく買っていたパチンコ雑誌を思い出してみると「パチンコ漫画777」「パチンコスーパー777」(竹書房)、「漫画パチンカー」「パチンカーワールド」(白夜書房)、「劇画パチンコクラブ」「パチスロコミック」(笠倉出版社)なんかが思い浮かぶ。90年頃はまだ現在ほど多くの漫画誌が出ていなかったと思うが、とりあえず「パチンコ」と名の付く雑誌には目を通そうと、一度に4,5冊の漫画を買うこともザラだった。
さて、今回紹介する「銀玉マサやん」は、パチンコ専門誌ではない一般の漫画誌に連載されていたのだが、実はこの作品を知った最初のきっかけは、なにかエロ系の漫画はないかとコンビニで探していたところ(笑)、「お元気クリニック」とかいうオッパイの大きな女性ばかりが出てくるエロ漫画がこの雑誌に載っていた。で、下心マンマンで買って帰って読んでいたら、たまたまこの「マサやん」も連載されていたのだった。
まぁ、きっかけは多少不純ではあるが、このマサやん、読んでいて非常に痛快で面白い内容だったので、以来ずっと読み続けることとなった。パチンコ店で起こる様々な人間模様が中心に描かれており、攻略的要素も紹介されてはいたが、それ以上に、人情味溢れるマサやんの「男気」というものが随所にちりばめられていた「名作」だった。
スーパーコンビ、ビッグウェーブなど当時流行の一発台や、花満開、エキサイトジャック、春夏秋冬、アレジン、バレリーナ等々、登場する台もさまざまだった。なかなか大当りの来ない「ハマリ台」にマサやんが挑み、真剣勝負で顔を「鉛色」に変色させ、あたかも銀玉の化身となって見事に大当りさせるという、定番のパターンも登場した。
(C)堂上まさ志、秋田書店
余談だが、銀玉マサやんの作品中には、イメージショットとしてパチンコ店や商店街の挿絵がたびたび出てくる。よく見ると、この挿し絵は東京・練馬の武蔵関駅周辺がモデルになっている場合が多い。当時、作者の堂上氏が武蔵関に大きな思い入れがあったのかな…と、ふと思ったりもする。
後に、ダンカンが主演のVシネマにもなったが、どうも原作とはかけ離れた安っぽいコメディ作品に成り下がっていた印象がある。まぁ、本作がVシネの原作になるくらい「中身の濃い」作品であったことは、疑いない事実なのだが…。
どうも、最近のパチンコ漫画は「攻略至上主義」というか、「情報優先」ばかりが目立ち、こういった「マサやん」のような泥臭い人間模様を描いた作品はあまりないように思う。この風潮は、おそらく某・有名オカルト漫画家の作品あたりから作られてきたと考えているが、そういった「小手先の」作品ばかり載っている雑誌には、正直あまり興味が沸かない・・・。