まにあっく懐パチ・懐スロ

古いパチンコ・パチスロ、思い出のパチンコ店を懐古する
(90年代のパチンコ・パチスロ情報がメイン)

ドラマ「家なき子」(1994年)でのパチンコロケ

2012-01-14 18:08:02 | 90年代ドラマとパチンコ

90年代ドラマとパチンコに関する考察も、とうとう第10回目を迎えた。

ネタ切れ間近といいつつ、やはり当時のドラマとパチンコとの関わりは強い。

パチンコ・パチスロに、おおむね好意的だった当時のマス・メディア。バッシング一色の現在とは、大きく状況が異なっていた。

さて、記念すべき第10回目は、1994年(平成6年)にNTV系で放映された人気ドラマ「家なき子」(安達祐美)でのパチンコロケーションについて。

★企画:野島伸司

★脚本:いとう斗士八、高月真哉

★出演:安達祐実、保阪尚希、内藤剛志、小柳ルミ子、水野真紀、京本政樹、田中好子ほか

★放映時期:1994年(平成6年)4月16日~7月2日(全12回、土曜グランド劇場枠)

★エンディングテーマ:中島みゆき「空と君のあいだに」

★平均視聴率:24.7%

 

病気入院中の母と、暴力的な養父を持つ、恵まれない境遇の小学生・相沢すず(安達)。住む家もない貧しさゆえに、周囲から冷たい視線が容赦なく浴びせられる。しかし、そんな逆境にもめげず、彼女は愛犬「リュウ」(ピュンピュン号)と共に、たくましく生き抜いていく。

 

偽善や建前で生きる大人を、痛烈に批判した言葉…それが、「同情するなら、金をくれ!」という有名なフレーズである。この鮮烈なセリフは社会現象にもなり、この年の流行語大賞を獲得した。

 

すず役の安達祐実が見せた鬼気迫る演技に、誰もが驚かされた。ドラマ放映当時13歳だった彼女には、既に大人顔負けの貫録さえ漂っていた。もともとCM等で活躍していた彼女の人気は、本作の優れた演技によって不動のものとなる。

なお、すずの母親・相沢陽子を演じた田中好子は、2011年4月21日に乳がんで逝去している。田中さんのご冥福をお祈りします。

 

さて、小学生が主役のドラマに「パチンコ」が登場するのは、意外な感じもする。しかし、本作の重要なキャラクターである「女スリ師」がすずと最初に出会ったのが、実はパチンコ店だったのだ。90年代の野島伸司作品においては、このようなパチンコ絡みのシーンが意外に多い。

本作では、第5話「涙の約束!強欲スリ老婆の罠!」(1994年5月14日放映)において、パチンコ店でのロケーションが行われている。

第5話の冒頭、すず(安達)が、パチンコに興じる老婆(菅井きん)のバッグから財布を盗む。しかし、老婆に気づかれてしまい、すずは財布を掴んで逃走。パチンコ店の従業員達に追われた挙句、捕まってしまう。「盗んだ金を返せ!」と厳しく追及されると、すずはとっさの嘘泣きで難を逃れようとする。

 

(すずは、老婆のバッグから財布を抜き取り、一目散に店外へと逃げ出す。)

 

そこへ、財布を盗まれた老婆が現れるが、「出来心でやっただけだから」と、なぜか自分の財布を盗んだすずを擁護する。おかげで警察沙汰にはならなかったが、老婆の妙な態度に違和感を覚えるすず。この老婆、実は、田畑光江という名の「伝説の女スリ師」であった。

 

 

★ロケ地となったパチンコ店…小田急線・読売ランド前駅「パチンコランド」(川崎)

(ロケ当時の「パチンコランド」正面入口。この外観は1991年の大規模改装後の建物。)

 

(現在のパチンコランド。再度の改修工事により、外観はロケ当時と大きく変わった。)※H24.1.14撮影

 

(すず、光江、リュウの3ショット。このシーンはパチンコランドの裏口付近で撮影された。後ろに見えるドアが、換金所に向かう時に使う裏口である。)

 

(現在の裏口。改修後という事もあり、18年前の面影はすっかりなくなっていた。)※H24.1.14撮影

 

主役のすずは、「川崎市内の小学校に通う6年生」という設定であった。設定に見合ったパチンコ屋がロケ地に選ばれた可能性は、大いにあろう。或いは、収録が行われた「生田スタジオ」に近いパチンコ店という、きわめて単純な理由かも知れないが…。

 

★ロケで使用されたパチンコ台

菅井きん演ずる老婆が打っているパチンコ台は、映像からは特定が難しい。ただ、台枠ランプや上皿&下皿から、「マルホンの平成新要件デジパチ」という事は、辛うじて判別できる。

 

残念ながら、これ以上の特定は無理か…と思いきや、そうではない。

実は、ロケが行われた「パチンコランド」というホールは、私が1990年代前半にハイペースで通った「馴染みの店」である。菅井の手前にある白いジェットカウンターも、思い入れたっぷりの懐かしいアイテムだ(シマ中央に設置されていた)。

つまり、ロケ当時に店に設置されていた台を何とか思い出せれば、菅井が打った台の推測も不可能ではない。

まず、放映時期をみると、第5話は94年の5月に放映された。したがって、このパチンコ店でのロケが行われたのは、おそらく「1993年末~1994年春」辺りではないか。

で、その時期の「パチンコランド」の設置台を振り返ると、エスケープ2(大一)、アメリカンドリーム(三洋)、宝島(京楽)、F・フェスティバル1、F・パワフル3、F・パワフルV、F・ガールズ1、F・ビューティフル(以上、すべて三共)などが記憶に残る。当時は、三共のデジパチがメインで設置されていた。

因みに、スロでは、赤パネルのスーパープラネット(山佐、3-1号機)、ニューパルサー(山佐、4号機)、スーパーへヴィメタル(サミー、4号機)を置いていた。90年代前半は、山佐とサミーの台が入っており、ニューパルはビッグパルサーとの入替、スーパーへヴィメタルはアラジン2との入替で、それぞれ導入された。

では、肝心のマルホンの台はどうだったか…。実は、1994年初頭、この店に設置されていたマルホン台が2機種あった事を覚えている。それは、「ロックンビート」と「マンボウくん」。何れも、1993年に登場したカラフルなドットデジパチだ。

「ロックンビート」の大当り確率は1/359と低いが、特定の絵柄で当ると、次回までの確変に突入する「波荒台」であった。保留玉連チャンや朝一モーニング機能もあり、私はこの店のロックンビートを朝一からカニ歩きしていた。確か、背中のシマが6回ワンセットデジパチの「宝島」(京楽)だった。

(マルホン「ロックンビート」。確変絵柄は音符、ギター、マイクなど6種類。)

 

一方、「マンボウくん」は大当り確率1/317の連チャンデジパチ。大当り時の1/7で天国モードに突入すると、数珠繋ぎと保留連を絡めての爆裂状態が期待できた。

(マルホン「マンボウくん」。大当り絵柄にマンボウ、タコ、イカ、ヨットなど。)

では、ドラマで菅井きんが座っていた台はどちらだろうか。設置時期はほぼ同じだが、私の記憶では、ロックンビートは入口から見て左側のシマ、マンボウくんは隣列の右側のシマに置いてあった。一方、ドラマの映像を確認すると、菅井が打っているのは右側のシマである。

以上の状況から考えて、このシーンで菅井きんが打った台は、マルホンの「マンボウくん」で間違いないだろう。まぁ、知っていても、何の得にもならない情報ではあるが…。

因みに、すずが老婆から盗んだ財布は、うず高く積まれたドル箱の上のバッグに入っていた。激荒スペックのマンボウくんに、巧くマッチした演出である。

(すずが、老婆のバッグから財布を抜き取るシーン。)

 

さらに余談として、私がパチの面白さを覚えた1990年(平成2年)の夏頃、「パチンコランド」に設置されていた各機種を思い返すと、次の通りである。

・デジパチ…ファンキーセブン(西陣)、パールセブン(マルホン)、ダービー(京楽)

・権利モノ…スーパーロボット(西陣)

・一発台…ベータ(ニューギン)

・ハネモノ…スーパーブラザース(西陣)、レッドライオンアルファ(西陣)、パチンコ大賞13(西陣)、スタジアム(三洋)、め組一番(京楽)、プラトーンII(平和)

・スロット…アラジン(ニイガタ電子、2-2号機)、ビッグパルサー(山佐、2-2号機)

⇒改めてリストにしてみると、全体的に西陣の設置率が高い事に気づくだろう。当時は、こんな風に設置機種(メーカー)の偏りがあるのが普通だった。

それにしても、こんな素晴らしいラインナップの中、アットホームなパチ屋で楽しい時間を過ごせた事は、今やかけがえのない「財産」になっている。