松江人の日帰り登山

私のモットー SIMPLE IS THE BEST

この1冊 『高橋瑞物語』 田中ひかる 著

2022-01-25 | 本と雑誌

明治を生きた男装の女医(副題)

高橋瑞みず (1852-1927)は三河国鶴ケ崎村(現在の愛知県西尾市鶴ケ崎町)で西尾藩士の六男三女の末っ子として生まれた。11歳のとき父が、そして母も亡くなり、結婚と離婚を繰り返し、それから瑞のどん底時代が始まる。本人はこのころの事を語らず、資料も少ないので伝記として書けないため、物語として話が進んでゆく。女が生きていくためにと学んだ産婆(助産婦)から医師になろうとするも、明治時代は医学校に入学できるのは男子のみ。内務省に直訴したり、女人禁制の医学校校門に立ちつくしたりした結果、女子にも道が開かれ、明治20年(1887)試験に合格、日本で荻野吟子、生沢いくざわ クノに次いで3番目の公認女医になる。ドイツへ学びに行ったこともあって医院を訪れる人が多かったというが、60歳になると持論どおり医者を辞めてしまう。
瑞は体格が骨太、酒も煙草も好み、思い立ったら直ぐ行動にうつし、男衣装で肩をゆすって歩くような気骨ある男勝りの人だった。瑞は戸籍上の名、医師になってからは瑞子と名乗った。明治の時代にいかに多くの女性が活躍したか、瑞もその一人であるが、今はすっかり忘れられてしまっているのは残念なことである。世田谷区のお寺に漢文の「高橋瑞子彰功之碑」があり、文中に「女傑」の文字が彫られているという。

中央公論新社刊 '21/2 第3版 1,800円+税

 

 

 


真山へ

2022-01-19 | 日帰り登山

真山 しんやま 256,2m ~鳥の子山 とりのこやま 252m 
1/19 曇り時々雪 出発地松江市法吉町 真山登山口付近 約40m

山の直ぐ近くにソフトビジネスパーク島根の工業団地が出来て建物が立ち並び、嵩山の山腹には中電鉄塔が目について眺めが悪くなり登るのを止めていたが、10年ぶりに真山の雪景色を見たくなり、青空が雲間からのぞいたので出かけてみた。
セコム山陰の裏手にある真山林道に入ると登山口。向かいに駐車用空き地があるのでここへ車を置き出発。山道は赤土の登山道で、傾斜のある雪解けの濡れた道はとても滑りやすく歩きづらい。真山は尼子氏再興を図る山中鹿介が尼子勝久を押し立てて毛利軍と戦った城のあった山で、悲劇の舞台として知られている。鹿介の像を立てる筈だった台座と勝久の記念碑がある。山頂(古文書には新山)の三角点は記念碑の後ろにある。山頂近くなるにつれ雪が降り出し、道も白くなる。約30分で山頂に着く。下山は稜線を縦走することにして北に向かって奥へ。
今日のコースは白鹿谷を挟んで真山山塊を一周するコース。アカハゲ山の先に谷へ下る道(道標あり)があるが道が分からず、鳥の子山の先にある分岐まで行き、左へ下った。中電の鉄塔管理道でもある。下山した所は白鹿上池横の真山林道。斜面に中電の標識がある。ここから左へ(東方向)歩いて行けば真山登山口に戻れる。所要時間は積雪で慎重に歩いたので1時間40分くらいだったと思う。縦走コースには小ピークが幾つもあり、谷を挟んで真山を左手に見ながらの下山となる。真山や白鹿山(150,0m)の歴史を知れば登山も楽しくなる。


真山登山口


工業団地の向こうには嵩山と和久羅山 大山は雲の中


尼子勝久公之碑


手前の樹間に見えるのが西持田町にある松江市ゴミ処分場施設


いつもなら赤土が見えるアカハゲ山


鳥の子山山頂


真山林道にある下山口


しまねシンフォネット高校オーケストラ演奏会

2022-01-17 | 演奏会

  第22回定期演奏会  1/16 プラバホール

今年の参加校は安来高・益田翔陽高・出雲高・松江東高・松江北高の5校。弦楽器を学ぶ若者が少ないために高校に入ってから楽器を使う生徒が多いそうなので、曲を間違えずに弾くのが精いっぱいという演奏だったが、一番良かったのは3人で演奏した安来高。2曲目の〈BELIEVE〉ではピアノ伴奏に女子生徒2人が歌を披露、声もしっかりしていて心に残った。今年の合同演奏は吹奏楽部が加わらなかったが、イギリスの人気宗教曲作曲家で指揮者でもあるジョン・ラターの《弦楽のための組曲》から4曲披露。当地では聴く機会がないラターの曲を聴けたのはうれしい。ミュージカル『キャッツ』から〈メモリー〉も良かったが、ラストにコントラバス1本とは低域不足でちょっと寂しかった。本当はオルガン(パイプ・オルガン)が欲しいところ。
新型コロナの影響だけとは言えないが、今年も聴きに来る人が少ないのは残念だった。10数万人松江市民の皆さん、聴きに来て応援してほしい。


安田要害山へ

2022-01-03 | 日帰り登山

安田要害山 やすだようがいさん 281.2m ~ 母塚山 はつかさん 275m
1/3 晴れ 出発地:安来市伯太町安田関 長台寺駐車場 約60m

天候の悪い毎日だったが今朝は青空が見えている。県道101号線を東へ、鳥取県境に近い長台寺に車を置いて本堂裏の登山口から山に入る。時刻は11時ごろなので下山者とすれ違う。陽射しは暖かいので手袋を外して歩く。雪が消えているので歩きやすいが、この山は尾根歩きの直登道。尼子時代(戦国期)に城があった山で、七曲がりのような所も2か所ある。また、札所巡りが行われたので、山の道端には一丁地蔵のような石仏を多く見かける。32分で山頂。大山はほとんどが雲に覆われているが米子市街はよく見える。山頂から広めの道を引き返すと坊床(地理院地図には「防床」とある)から上がっている林道があるので、この道を東に下って行くと、途中左に「母塚山」と書かれた道標があるのでこの道に入る。県境を歩く道である。先程要害山で会った3人の親子に再び出会った。積雪があって引き返してきたようで、ちょっと軽率。 
道は狭くなり、階段状の山道は次第に雪が積もっている所が多くなる。といっても道は地面が見えるが、濡れているので滑りやすい。アンテナ塔を過ぎて東屋の建つ展望台に行ってみるが眺めは期待外れ、樹々が邪魔している。要害山から展望台まで50分くらい。もう一つある展望台の駐車場には車無しの人影無し。雪のため、鳥取県側は自動車通行禁止になっているかもしれない。
引き返し、「母塚山」の道標のある所まで戻り、林道を左に下って廃屋の見える坊床を通って寺に戻った。奈良時代、長台寺周辺には幾つもの寺院が建っていた。母塚山から寺まで1時間30分かかったと思う。今日は天気が良くてのんびり歩いた。出会った登山者は8人ほど。雲はいつの間にか消えて青空広がる空になっていた。


要害山中腹の八幡成 


要害山山頂の説明板


要害山山頂の三角点


山頂から見下ろした安田関集落


母塚山山頂の「古事記伝説の地」説明板 正面の道が安田要害山へ向かう


南部町・大山の景色


人住まぬ元坊床集落



CDを聴く アンドリュー・ロイド・ウエバー 『シンフォニック・ベスト』

2022-01-02 | CD

原題は、ミュージカル曲からの『交響組曲(SHMPHONIC SUITES)』

イギリスの作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバー(1948-)が作曲し大ヒットしたミュージカル作品をアンドリュー自身が新しく組曲にアレンジし、録音したCD盤。
ミュージカル《エビータ》はアルゼンチン大統領夫人になったエバ(愛称「エビータ」)を題材にしたもの。気前の良さから国費を使い果たし、国の経済を混乱させた張本人で、もと映画女優であった。〈アルゼンチンよ泣かないで〉の曲だけは知っている。ハリウッドの光と影を描いた《サンセット大通り》は戦後間もないころに公開された同名の映画に基づいたもの。これも〈サレンダー〉〈ウィズ・ワン・ルック〉だけはサラ・ブライトマンのCD盤で聴いたことがある。
最後の《オペラ座の怪人》は世界的に大ヒットしたのでご存知の方も居られると思う。初演は1986年、今もなおロンドンやニューヨークでロングランしているミュージカル。フランスの作家、ガストン・ルルーの同名小説をもとにしたもの。これだけは2枚組の初演時オリジナル・キャスト盤を持っていて、サラ・ブライトマン(1960-)の素敵な声を聴くことができる。彼女は今や60歳を過ぎていて、新盤も最近は出ていないようだが。アンドリュ―の曲はどれを聴いても心に残る美しい曲ばかりである。
《オペラ座の怪人》は35周年を迎えた。新型コロナで演奏の機会がなく苦しんでいる演奏家も多く、その一助にでもと、ロンドンにある最古の王立劇場(現在はミュージカル専用劇場らしい)シアター・ロイヤル・ドルリー・レーンの改修工事終了直前にレコーディングされたもの。同劇場の専属演奏者を含め総勢81名の大編成による録音。写真で見るとスピーカーが2組、マイクスタンドが多数。劇場のためか壁面にオルガン(パイプオルガン)が見当たらいので、1組は舞台に設置されたオルガン用に使われているようで重低音が聴ける。CDケースは3つ折りの紙製だった。デッカ・レーベル。

ユニバーサル・ミュージック '21/4録音 '22/10発売 3作品 69:28 2,421円(輸入盤 通販)
              サイモン・リー(指揮)
              アンドリュー・ロイド・ウェバー・オーケストラ