経済学・統計学 オンライン指導

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マクロ経済学: 経済成長理論

2020-02-21 15:14:33 | 日記

マクロ経済学基礎 目次

まともに説明しようとすると相当長くなるので、ポイントだけまとめました。

基本は生産関数: 生産 = 技術 × f(労働・資本) Y=Af(L,K)

これから、 経済成長率 = ➀技術進歩率 + ②労働増加率 + ③資本増加率

      自然成長率 = ➀+②、 保証成長率=③

      さらに、③ = 貯蓄率 ÷ 必要資本係数 (たまに 貯蓄率 × 資本生産性)

※公務員試験の場合、ここまでの算式さえ理解すれば計算問題はほぼ解けます。文章問題の場合は以下の新古典派・ケインズ派の論点の違いがよく出題されます。

一般職  2020.40  2019.40  2017.39  2016.40  2015.40

特別区  2020.30  2019.30  2017.30  2015.27

 

新古典派

市場での価格の調整機能が働くため、成長率は安定的です。保証成長率=自然成長率となる成長を均斉成長と言います。

均衡成長では 自然成長率=保証成長率 となり、新古典派は市場によりこれが達成されていると考えます。

前提としては コブダグラス型生産関数 Y = A・L^^α・ K^^β で 規模に関する収穫一定 α+β=1 、また 資本と労働は代替可能であるとしています。

また、一人あたりの消費が最大化する定常状態を黄金律と呼びます。ここでは、資本の限界生産力=自然成長率となります。

 

ケインズ派(ハロッド=ドーマー・モデル)

市場の価格調整機能は完全でなく、資本・労働の代替性も否定しているため、成長率は不安定と考えています。

 


2019年GDP マイナス成長

2020-02-17 21:48:27 | 日記

2019年10~12月期のGDP速報値が公表されました。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/toukei_2019.html

四半期でー1.6%、消費税増税による影響が大きいようで、家計消費がー2.9%となりました。

年率にするとー6.4%とかなり大きな数字となり、マスコミでも大きく報道されています。これは大げさにしても、2019年通期を単純に足し算しても、-0.4%のマイナス成長です。

 

内閣府の公表数字には寄与度も掲載されているので、GDP支出面の式にあてはめてみます。

Y国内総生産=C消費+I投資+G政府支出+X輸出入

-1.6% = ー1.7% -0.5% ー0.1% +0.5%

マイナスの数字ばかり並んでいます。輸出入の+0.5%も輸入減少によるもので、実体としては消費が減っています。

 

GDPデフレーターは+0.6%で政府目標値にはほど遠く、生産面ではなく消費マインドの問題と解釈できそうです。人口は減少に転じ、高齢化が進んでいることも大きな要因とは推測されますが。

そういう状況なら政府はもっとバラまき政策をやってもいいかも知れません。国債発行により国民一人あたり30万円支給とか。いい実験にもなるとおもうので、(選挙前に?)一回くらいやってもいいんじゃないかと思います。

 

 


ミクロ経済学: 公共財

2020-02-17 13:39:01 | 日記

ミクロ経済学基礎 目次

 

公共財の特徴は 非競合性・非排除性 です。

・非競合性: 一般的な財と違って、同時に複数の人が消費できます。

・非排除性: 一般的な財と違って、利用者を限定できません。

公共財の具体例は道路・公園です。上記の特徴は、具体例にあてはめてみるとよく理解できます。

 

したがって、需給均衡点の求め方も一般的な財とは異なります。

(例)消費者 a,b について以下の逆需要曲線(限界評価曲線とも呼ばれます)とする。 

   Pa =10-Qa、Pb =20-Qb

   公共財の生産のための供給曲線(限界費用)は MC=4Q とする。

   

   公共財は同時に誰でも利用できるので、Q=Qa=Qb

   ⇒ 社会全体の限界評価曲線 P=Pa+Pb=30ー2Q

   ⇒ 需給均衡点 P=MC ⇔ 30-2Q=4Q ∴Q=5、P=20

 

※ここに注意

公共財は PをQで表し、∑P(一定供給量のもとでの限界評価の合計)を求めます。

一般的な財の場合の市場全体の需要曲線は、QをPで表し、∑Q(一定価格の下での需要量の合計)を求めます。

 


金融緩和とマクロ経済学

2020-02-16 12:30:20 | 日記

リーマンショック以降、株価は上下しながらもかなりのペースで上昇してきました。

この十年間で、日経平均は2.5倍、ダウ平均は3倍になりました。

最近の状況では、中国新型肺炎の影響で急落しかかりましたが、日米中欧の中央銀行の連携プレーによる流動性供給によりもとに戻りました。中国ではカラ売り規制のおまけもつきました。

マクロ経済学的に考えると、中央銀行による流動性供給の目的は、IS-LM分析において、LM曲線を右側へシフトさせ、金利を下げ、支出(→生産)を刺激することです。

ゼロ金利と言われて久しく、金利はもうこれ以上下がりません。投資に与える影響はほとんどなさそうです。消費は? 経済成長率はショボいのですが、若干のプラスが続いており、名目貨幣供給が増加することで少しは刺激されているのかもしれません。しかし、物価は上昇せず「過剰生産力」を吸収するには至っていません。

肝心の財市場にはあまり狙った効果は出ていませんが、金融市場には大きな影響が出ています。株価は相当上昇しました。ただし、経済学的には 国が豊かである ⇔ 国民所得が大きい の舞台は財市場であって、金融資産が大きいというのはまた次元の異なる話です。

金融資産が大きければ、所得と同じく消費を刺激するというのが「資産効果」でこの効果も確かに否定はできません。現状のもとでは、金融緩和は財市場の投資・消費を増やす効果より金融市場の資産価値を増やす効果のほうがはるかに大きいといえそうです。

それでも、各国中央銀行は景気維持のために金融緩和を継続しそうです。金融市場ではバブル、財市場ではデフレという状況を解決するには、新たな解決策が必要に思えます。

 

 

 


マクロ経済学: インフレーション

2020-02-16 12:04:48 | 日記

マクロ経済学基礎 目次

ここではインフレ需要曲線・インフレ供給曲線について説明します。

 

・IADーインフレ需要曲線: Y=Y-1+ β(m-π) + γg

 Y当期の国民所得 Y-1前期の国民所得  β,γ正の定数 m名目通貨供給増加率 π物価上昇率 g:実質政府支出増加率

 Yとπの関係ですから、曲線は右下がりとなります。π以外の変数が動けば、IAD曲線がシフトします。

 β(m-π) は金融政策(LM曲線)、γgは財政政策を示しています。

 

・IASーインフレ供給曲線: π=πe + (Y-Yf)   πe 期待インフレ率、Yf 完全雇用国民所得

 景気が過熱すればY>Yf、物価は上昇するという意味です。→ディマンド・プルインフレ

 Yとπの関係ですから、曲線は右上がりとなります。π以外の変数が動けば、IAS曲線がシフトします。

 

※ 合理的期待 ⇔ π=πe、人々はインフレ率を正確に予測します

※ 適合的期待 ⇔ π=πー1、人々は前期と同じインフレ率が続くと予測します

※ 長期均衡 ⇔ Y=Yf・π=πe(=π-1)、国民所得もインフレ率も定常状態(変化しない)

(インフレ率が図中ではPですが、文中ではπです)