充電日記     

オフな話で一息を。

なぜ再版が嫌われるのか・・・

2022年07月03日 | 
・長友千代治編『重宝記資料集成』には、次のような編集方針がある。
 
 底本選定にあたって留意した点は、以下の通りである。
 ①印刷本では、初版よりも後版・増補版・改正版によることとし、(以下略)

・なにゆえ、そのような方針を採るのかの説明はない。したがって、その本意を知ることもできない。だから想像するほかないのだが、修訂が加えられた、よりよいテキストを選んだということなのだろうか。もちろん、誤りが訂正されることもある。

・一方では、初版や、同じ版のなかでも初刷りには、編集サイドの当初のもくろみが現われるのが普通だろう。ただ、版権に抵触するなどして、当該箇所を削除・差し替えなどすることもある。社会的な正義につくことができたとも言えるが、「もくろみ」は覆い隠されることになるのだ。

・もちろん、初版の方が未熟なこともある。で、単なる再版というより再編集をほどこしたものが、よりバランスのとれた、優れた書籍に様変わりする例もまたある。

・『詩文重宝記』(元禄7)なんかは、明らかに編集破綻していて、前半部が詳しく、後半部は端折られている。『増補詩文重宝記』(享保18)はその点立派。ちゃんと克服できている。

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