随縁記

つれづれなるままに、ものの歴史や、社会に対して思いつくことどもを記す

みずほ証券の大量誤発注

2005-12-10 12:15:46 | 経済
みずほ証券による大規模な誤発注事件は、インターネットによる株式投資の「ディトレーダー」によって、人為的ミスが大混乱を引き起こし、わずか16分という時間に300億円もの損失を引き起こした。

株数と価格を入力ミスして、初値67万2千の株を、わずか1円という、飛んでもない価格で、しかも、発行済み株式数の40倍以上の売り注文数となった。

人は誰でも単純なミスを犯しやすい。ところが、コンピユーターの「異常数値入力」の警告は、入力者によって簡単に無視されている。
これはプログラムの問題だろうが、ちょっとした事でも「警告表示がでる」ようになっているから、「またか」と簡単に無視されたのであろう。

担当者が、ジェイコムの株価が瞬時に、値幅制限の下限である57万2千円の値を付けて、初めてミスに気がつき、あわてて「1円の売り値」注文の取り消しに必死になったが、東証のコンピューターが「1円の売り値」の取り消しをプログラムで拒否した。
何度試みてもコンピューターが、取り消しを拒否した。
担当者は、頭に血が上っているから、冷静な判断が出来なくなっていたのだろう。
もし、そばに誰かいて、
「なぜ、東証のコンピューターが、(1円の売り注文)の取り消しに応じないのか」
と素朴に疑問を持ち、東証に電話を一本入れれば、取り消し方法はすぐに分かった筈である。

 みずほ証券による大量の「1円の売り注文」の誤発注で、ジェイコムの株価は瞬時に値幅制限の下限である57万2千円の値を付けていた。東証のシステムでは、値幅制限内の価格でしか取り消し注文は出来ない仕組みになっているという。
 もし、東証に取り消し方法を確認して、取り消し注文の価格を(57万2千円)と入力していれば、誤発注はその時点で瞬時に取り消され、ここまで問題は拡大しなかっただろう。

 インターネットの掲示板に「ジェイコム株がすごい事になっている」という書き込みが行われ始めたのは、僅か3分後頃から始まっている。
 みずほ証券は、誤発注に気がついた時点でも、まだ東証に報告してジェイコムの株の取引停止を要請しなかった。
 面子にこだわったみずほ証券は、事実上「空売り」となった大量のジェイコム株を、自ら大量に買い集めを始めた。このため、誤発注の大量売り注文から、わずか16分後には一転してストップ高の77万2千円を付けた。

この経緯を「ディトレーダー」達は、冷静にインターネットを通じて情報を交換しあい、互いに「誤発注だ」と知りながら売買に便乗し、わずか十数分から30分で「幾ら儲けた」と自慢しあっている。
そしてプロの証券会社も「誤発注」と認識しつつ、冷静に「空売り」に応じて、ジェイコム株を買っている。
米証券モルガン・スタンレーは、発行済み株式総数の31・19%(4522株)を取得しているし、野村證券も6.9%(1000株)を取得している。

証券会社であれば、当然ジェイコム株の発行済み株が1万4千株で、市場に流されている株数が3千株しか無いことは承知していたはずである。
つまりは、仲間の証券会社でも、みずほ証券の誤発注とわかっていても、それを利用するしたたかさを持っていることが判明した。

この誤発注の証券会社が、みずほ証券でなく小さな証券会社であれば、最終的に決済不能となる恐れが高いから、大手証券が手を出すことはなかっただろう。
みずほ証券の、今回の単純な入力ミスと、情報開示の遅れで大混乱を引き起こしたツケは、なんと300億円もの損失となっている。
みずほ証券の、2005年3月期の連結決算利益の税引き後利益は、280億である。株主資本は3,918億円あり、みずほコーポレート銀行の子会社であるから、倒産の心配はない。

みずほ証券が、情報開示を遅らせたため、誤発注証券会社の経営が危うくなるとの思惑が生じ、無関係の証券会社の株も売り浴びせられる始末で、大混乱に拍車をかけ、混乱がさまざまな憶測を呼んで波及し、日経平均株価は300円以上も値を下げた。
みずほ証券は、東証や親会社のみずほ銀行、農林中金へは、誤発注の一時間後には報告されていたが、正式に公表したのは6時間半も後であった。
東証や当事者の、みずほグループの危機意識の甘さが問題を拡大させたといえる。

そして最大の問題は、最終的にジェイコム株の発行済み株式総数の、なんと7倍の10万株に、ディトレーダー達の買い手が付いていることである。
みずほ証券は、13日までにすべての買い手に、株券を渡さねばならない。市場に実際ある株数は3千株で、必要な株数は10万株となっている。
決済手段は、買い手の投資家に、一律に現金を渡す「差金決済」になるだろう。
ジェイコム株の最高値と、最安値との間には、20万円の開きがある。どの値段を元に決済すればよいか、判断が難しい。

みずほ証券は、投資家の取得価格に一定額を上乗せすることで、投資家の理解を得たいとしている。
東証としては、この異常事態にたいして、投資家に事実上の選択の余地のない強制的な決済措置をとることになる。最終的な決済価格は、株式売買の決済を保証する公的機関の日本証券クリアリング機構が決めることになる。
同機構は、天変地異やその他の特別な事情で、株券の不足が生じて決済が難しくなった時は、強制的に決済ルールの変更ができる権能を有している。

いずれにしても、誤発注に便乗して、一儲けを企んだディトレーダー達の思惑も、言うほどの儲けにはならない見通しだ。
人の不幸につけ込んでの一儲けは、やはり後味が悪いだろう。
ほどほどで、手を打つべきだろう。






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1 コメント

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Unknown (なお)
2005-12-10 16:42:14
初めまして

ミスってこわいですよね

まさに一寸先は闇みたいなところ

ありますよね

人生どうなるかだれも分からない

と思いますが

体だけは大切にしたいものですね

年末お体に気をつけてお互い過ごしましょうね

ぜひ遊びにきてください
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