歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

白露雨上がり

2010年09月09日 | 徒然 -tzure-zure-
ほんっとに、ひさしぶりに、
雨。

降ってくれました。


いつぶりだろうーーー。憶い出せないほど。
待ってました!
恵みの雨だ!

内心浮かれて、降り注ぐ様を、眺めていました。




待ちわびました、命の水 for free。

のどカラカラ、
ただ耐えるばかりの植物にとっては、
命そのもの。


雨は恵みです。これは、ほんとに。

田んぼなんか、こんなに雨が無くて、どうなっちゃってんだろう;、って、
心配になったり。他人事ながら。いや、他人事じゃないやね。


雨の次に来る すかっ!と晴れた朝は、

目にも明らか

植物たちが 生き生きと、
まっすぐ、立ち上がっています。


命の雨の次に来る、 すかっ!と晴れた朝には。

雨のあと特有の、
甘い緑の香りと、

あと、


妙な 「静けさ」が、漂っているような。

そんな気がしませんか?





雨のあとの
晴れた白い光を浴びる町は、
なんだか妙に、静かに見える。


、、なんだけど、


その静けさの 見えない奥で ふつふつと沸く、
“熱”のようなものを、感じる。


「さあて今から、動き出すぞ、、、!」という、
力のようなもの。

雨の降るあいだ、静かに溜めこんでいた 力 みたいなものが
いざ じわり立ち上がり むくりと動き出す直前の、

凪、のような、

本当は奥の方で動き続けていて、
本当は鎮まり返ってなどいない、

不思議な 静けさ。





  雨のあいだ
  息をひそめて まどろんでいた 木蔭の鳥たちが、
  ちよちよと また歌い出す。

  と、その前に、

  すうっと息を吸い込んで、

  、、、って、

  吸い込んでみたら、その空気が なんだか、
  なんとも 甘くて、
  なんとも やわらかくて、
  ミネラルで、たぷたぷしていて、 
  あまりに美味しい!

  とぷとぷの湖の水に触ったようで、
  陶然としてしまって、
  なんだかこれは、うっかり、心地好い、、。

  となったら、なんとなく、
  せっかくの その “ひと息”を、あっけなく 吐き出してしまう前に
  ちょっと、溜めておきたいかも。胸の中に。

  からだの中に。



、、、という、
鳥の気持ち。(妄想)





謎の鳥の気持ちの妄想は さておき


雨上がり特有の、
たぷたぷの湖のような、不思議な静けさ。

それが、
いつもいつも、気持ちが好い。


その不思議な静けさの中で、

いちばんに吸い込む、ひと呼吸目。

いちばん最初の、
いちばん まっさらな 空気。


それが、
嵐が持って来てくれる、はるばる南の海からの、
うれしい置き土産の ひとつ。









恵みの雨は、
場所によっては 災害になってしまって
軽率に 大手を振ったりして喜んじゃいけないのかも、しれないけれど。


正直申し上げて、

嬉しくて、たまらない。


今年は 梅雨さえ あんまり降らなかった。(東京は。)

夏はことさら、暑かった。(どこもかしこも。)

だからか、
雨が恋しかった。(少なくとも自分と、植物は。)


「雨が欲しい、雨が降ればいいのに」
って、
ひたすら待ち遠しくてたまらなかった。

なぜだか。



「嵐!」、というほどには、(東京上空では)荒れ狂わなかったけれど、

台風は 去りしなに



ムラサキの色を置いていった。


これも
嵐の来るたび 心ひそかに待ちわびている
嬉しい置き土産の、ひとつ。






まだ 雨の香りの漂っていた、
今日。


打って変わって ひんやり 鎮まった、

雨の次の日の、

今日の、世界。





暦の上では

「白露」を越しました。








帰り路はもう すっかり

夕暮れでもなく





火の焼け落ちて

暗がりに。


次の節目は、いよいよ

「秋分」です。






小さな さびしい ぽつんとした灯が

にじんで

あったかく見えるようになってくる。







湖のような やわらかな静けさ





ぽつんと

にじんで




ふいに

ゆらいで




どことなく

あったかく見えるように、なってくる。









どことなく
唐突でしたが


かくして、
やって来てしまったようです。


秋が。











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