【いま、医療者として伝えたい事】
夜、電話相談を受けていると世の中の状況が伝わってきます。
(私はアルバイトで企業の電話健康相談の相談員もやってます。全国から相談のお電話を受けています。)
外出自粛の始まったころはいったん電話が鳴りやみました。
翌週くらいから、子供の自宅での事故(苦笑)の相談が増えました。
その次の週はおなかの調子が悪い、という人が増えました。
先週からは、のどの調子が悪い、という相談が増えました。
今週に入ってから、「風邪?コロナ?不安で仕方がない」という相談が急増中。相談の電話がなかなか切れなくなっています。
不確かな情報発信はできなかったので、あえて関連情報に触れることは控えていましたが、大体の方向性が私なりに見えてきました。
4月8日時点でお伝えしていることをシェアしています。ご参考になればうれしいです。
①初期対応は風邪でもコロナでもインフルエンザでも同じです
→発熱、悪寒、軽い倦怠感では鑑別はできません。
いずれの場合も「体を温かく保ち、温かい飲み物を飲んで、とにかく寝る」ことです。
食欲がない場合は、食べない。スタート時点で1~2食食事がとれなくても即脱水が悪化するわけではありません。
むしろ、食べて吐く、を繰り返すほうが脱水をすすめます。
飲み物もお湯がベスト。発熱時は胃腸の動きが落ちるので味のあるものは避けた方が胃腸が休まります。
②薬は上手に、効果的に使いましょう。
→すぐに解熱剤を使うのではなく、いったん熱が上がりきるまで待てるなら待ってください。
発熱は免疫力をあげる体のスイッチです。熱が上がりきるまでは節々の痛みやだるさがあります。
「さする」ことでまぎれます。(ただし、どうしてもつらいときは解熱剤を使いましょう)
熱が上がりきったサインは、だるさが軽くなって、ふわふわした感覚に変わったり、寒気が落ち着いてきたら、です。
③おうちでの感染予防対策
→コロナでも風邪でもインフルエンザでも、おうちでの感染予防対策は同じです。
1、換気と拭き掃除:窓を開けてしっかり空気を入れ替えましょう。
窓があかない場合は換気扇を回し、ドアを開けるなどして空気を通しましょう。
手の届く範囲を拭き掃除しましょう。
キッチンハイター、なければ台所用中性洗剤を薄めて雑巾がけしましょう。
2、室内でもマスクをしましょう
3、症状のある人と元気な人のお部屋を分けて極力接触は避けましょう
4、お互いにうがい、手洗いをしましょう :頻繁にうがいをする場合、うがい薬ではなく濃い目の塩水のうがいがおすすめです。
うがい薬は粘膜が荒れてしまうので外出から帰宅時、寝る前など一日1~2回まで。
それ以外は粘膜保湿効果の高い塩水うがいで粘膜を洗浄&保湿しましょう。
5、首周りを冷やさないようにしましょう
④翌日は大事をとって休みましょう
→万一熱が下がっていたとしても、出勤、外出はしないで様子を見ましょう。
午後~夕方に再度熱が上がる可能性はあります。
自宅にいるからと言ってパソコンなどを眺めていては休んだことになりません!
⑤受診は状況に合わせて。
→医療機関がしてくれることは、1、診断できる(かもしれない)、2、今つらい症状を少し和らげる薬を出してもらえる
ことです。受診してもすぐに病気が治るわけではありません。薬を飲んで症状が楽になっても治ったわけではありません。
楽になればしっかり体を休めることができる効果を期待して症状を緩和するのです。
手持ちの市販薬などで対処できそうならいったん市販薬で様子を見てもよいと思います。
※ただし、ひどい頭痛で薬が効かない、吐き気・咳が止まらない、顔色が悪い、だんだん朦朧としてきて様子がおかしいなど、
普通の風邪とは思えない状況の場合はすぐ受診する必要があります。
判断に迷う場合はかかりつけ医に電話で相談、または自治体の電話健康相談、生命保険や健康保険などに付帯している
健康相談サービスなどで相談してください。
新型コロちゃんには特効薬がありません。頼れるのはご自身の免疫力です。
この機会に、身体との上手な向き合い方を知りましょう。
普段の過ごし方や食事も見直しましょう。
そして何より、不安と上手に付き合いましょう。
不安がいけないわけではありません。慎重に行動できるのは不安だから、心配だからですから。
しかし過ぎた不安はご自身の免疫を落としてしまいます。
楽しいことを考えること、笑うことを忘れないで。
怖くて仕方がないときは大きな声で泣いちゃいましょう。
我慢が一番しんどいですからね。
終息した後に、「あれは大変だったね、やっぱり生活や生き方を見直して堅実に生きていかないとね」と言い合える日を、
おいしいご飯をみんなで「おいしいね」って笑って食べられる日を一日も早く迎られるように。