週刊おやじローディー

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フクシマ赴任終了

2011-10-08 19:54:15 | インポート

人事異動が出て、フクシマでの勤務が10月をもって終了、本部勤務となる。

赴任先のフクシマは、自然に恵まれており、海の幸も山の幸もおいしかった。

土地の人も人情が厚くていいところでしたね。

あの3.11の大震災から半年以上が経過し、市民生活も落ち着きを取り戻しているように今は見える

でも・・・経済発展や効率を優先して失ったものは大きすぎる

僕が語っているのは、具体的に言えば、福島の原子力発電所のことです。

みなさんもおそらくご存じのように、福島で地震と津波の被害にあった六基の原子炉のうち、少なくとも三基は、修復されないまま、いまだに周辺に放射能を撒き散らしています。メルトダウンがあり、まわりの土壌は汚染され、おそらくはかなりの濃度の放射能を含んだ排水が、近海に流されています。風がそれを広範囲に運びます。十万に及ぶ数の人々が、原子力の周辺地域から立ち退きを余儀なくされました。畑や牧場や工場や商店街や港湾は、無人のまま放棄されています。そこに住んでいた人々はもう二度と、その地に戻れないかもしれません。その被害は日本ばかりではなくまことに申し訳ないのですが、近隣諸国に及ぶことにもなりそうです。

なぜこのような悲惨な事態がもたらされたのか、その原因はほぼ明らかです。原子力発電所を建設した人々が、これほど大きな津波の到来を想定していなかったためです。何人かの専門家は、かつて同じ規模の大津波がこの地方を襲ったことを指摘し、安全基準の見直しを求めていたのですが、電力会社はそれを真剣には取り上げなかった。なぜなら、何百年かに一度あるかないかいかという大津波のために、大金を投資するのは、営利企業の歓迎するところではなかったからです。

また原子力発電所の安全対策を厳しく管理するべき政府も、原子力政策を推し進めるために、その安全基準のレベルを下げていた節が見受けられます。我々はそのような事情を調査し、もし過ちがあったなら、明らかにしなくてはなりません。その過ちのために、少なくとも十万を超える数の人々が、土地を捨て、生活を変えることを余儀なくされたのです。我々は腹を立てなくてはならない。当然のことです。我々日本人は核に対する「ノー」を叫び続けるべきだった。それが僕の意見です。

以上、第23回カタルーニャ国際賞での村上春樹の授賞式スピーチからの抜粋です。