うわらば!!

会社の人が北斗の拳のアミバ様の話をしていたので。懐かしい。
あとDBZのギャリック砲とか。マニアック。

日本のIFRS(国際財務報告基準)対応に関する提言 の紹介

2011-02-06 23:09:47 | Accounting
※あくまで紹介と私見です。

▽国際財務報告基準 提言資料のご紹介

IFRS対応自体への提言を目にしたのは初めてな気がするので、ちょっと紹介。
たいてい、
・IFRSになると会社がどうなる、とか、間に合わせよう、とか、不安を煽る系か、
・日本基準との差異を説明するものか、
・具体的にこのようにしましょう、というプロマネ系のものはよく目にするのだけど、ね。

国土交通省所管で、外交や経済等の分野における政策研究・提言と、奨学基金の運営を行うシンクタンクである東京財団(初めて聞いたんだけど…wiki説明より)ってとこが出しています。
IFRS強制適用に異議あり―日本の会計戦略に関する提言
全文はこちら

概要はこんな感じ。(引用)
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1.現行のIFRS導入スケジュールは極めて問題。直ちにスケジュールを再設定せよ現在の上場企業強制適用の決定スケジュール(2012年を目途に判断、最速で2015年に強制適用開始)は強制適用の既成事実化につながる。直ちに白紙に戻すべき。また、米国基準の国内企業への適用終了期限(2016年3月期まで)も撤廃すべき。

2.IFRSの強制適用は不要、企業の自由意思による選択適用とすべきIFRSの強制適用は不要。IFRSの会計基準としての品質には理論・実務両面から問題があり、投資家のためにもならない。企業の自由意思による選択適用とすべき。仮にIFRSが有用な基準であれば自然に採用企業は増え、そうでなければ増えず、それで不都合はない。

3.IFRSの内容を変える方向性について「日本の立ち位置」を確立せよまずIFRSの中身に関する国民的議論と日本の立ち位置の確立が必要。その際の方向性は「会計の目的は、将来キャッシュフローの予測ではなく過去の業績の結果である」という考え方に立脚すべき。IFRSを業績重視の会計基準とするため、米国、中国等と連携し、IASB(国際会計基準審議会)に圧力をかけることが必要。
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△△紹介ここまで△△
▽▽以下所感や私見▽▽

▽そもそも強制的にアダプションする理由あるの??

そもそも適用するとメリットがあるというのは本当なのか、強制適用にする必要があるのか、スケジュール自体妥当ではないのではないか、Moving Targetで現在不完全なもの(各基準書の不整合部分は順次改訂されるとは思うけれど)を適用すると決めてしまってよいのか、仮に適用(任意にせよ強制にせよ)したとして適用除外に対する考え方や運用はどこが主体的に決めていくのか、適用するってことが既成事実化しているように見えるが、法的根拠はあるのか(仮に海外の機関であるIASBが定めた基準にに従わなかったからといって罰する根拠はあるのか)、等々いろんな、もっともな内容が書いてあったりします。
強制適用してしまうと、上場コストがさらにかさむ可能性もあり、Management Buy-Out(MBO)する会社がさらに増えてしまうのでは、という気もしたりします。ほんとうにIFRSにメリットがあるのなら、必要な会社だけ適用すればいいと思うし、EUだってカーブアウト(一部適用除外)しているし、それでもアダプションしてるって言い張っているんだから。

国際的に何かを決める場合、理想があっても、世界は主権国家による利害調整で動くことになっており、各国の戦略なり思惑なりに左右されるので、何も考えずにつっこんで受容したあげく相手の都合のよい条件を押し付けられてしまう結果になることだけは避けるべきであって、そこを金融庁はどう判断していくのか、気になっています。アメリカだってどうするのかまだ分からんしね。

▽特に気になったところ

特に提言を読んでいて気になった点は以下。
・公正価値って実務的に測れるの、恣意性はないの? そもそも公正って判断するのは経営者でしょう。取得原価の方がまだ客観的では?減損も評価減もあるし、問題ない気も。現在EUでもコンバージェンスしたもので上場できているし。
・経営者自身が自分の会社の将来価値を表す必要があるのか。実績をもとにアナリストがやりゃいい話なんじゃないの?
金融業中心のイギリスにとっちゃ金融商品中心だし税務基準独立でないからIFRSは比較的簡単に導入できるけど、ドイツやフランスは産業構造が違うので、必要な会社は必要最・低限やって、不必要な会社はIFRSのいらない取引所に上場することにした、とか。日本はどうするのか。
・当期純利益が表示されるから問題ないっていうけど、今はそうなっているだけであって、IFRSは過去の実績はどうでもいいっという思想なんだから今後どうなるか分からないし、もめているところでもあるし、IFRSのフレームワーク自体を変えようって話をしていかないと本当の意味でIFRSへの誤解の解消にはなっていない。
・今後会計基準における国家としての主権は維持されるのか?

▽よく見る雑誌やメディアについて

TPPにおける議論とちょっと似ているものもあるな。開国せよ、とか、グローバル化に乗り遅れるな、とかセンセーショナルに煽るのには気をつけないといかんと思う。


▽仮に強制適用されたときは

海外子会社含め、業務の共通化を図りたかったりシステムの統合をしたりコストセンターをスリム化したりする口実にIFRSを使うってのはありだと思うが…別に業務改善は必要だったらやればいいのであって財務報告基準は別個の話だしねぇ。
せめてドイツフランスの事例を勉強して、会社としての方針や意見をバシバシ言って、国にも何らかの形でもの申すことが必要になる、かも。
課題を主体的に参加して1つ1つクリアするしかないですねぇ。