Une petite esquisse

日々の雑事の中で考えたこと、感じたことを徒然に書き綴ります。

村上春樹「ラオスにいったい何があるのですか?」を読み解く <連続シリーズ>(12)

2019年08月06日 | 社会学/社会批評
検証:アマンタカホテル (12)

「でも僕は今回仕事の関係で・・・(省略)・・・アマンタカというとびきり豪華なリゾートホテルに泊まらせてもらった
・・・(省略)・・・美しく静かで、どこまでも清潔で品が良く、広大な緑の中庭があり、まるで別天地のようなところだ。
大きなスイミングプールとチャーミングなレストランがついている。」
(文藝春秋刊、単行本P161)






 ルアンパバーンで最も大きなシェントーン寺院に匹敵するぐらいの広大な敷地を持ち、
アマン・リゾーツが運営する超セレブ御用達のホテルで、
中庭を囲むようにスイートタイプの客室が並んでいる。
大きな囲いの中に、手入れが行き届いた緑の芝生があり、
竹の塀で目隠しされていて、中の様子は覗いできない。
 村上春樹大先生が、お泊りになられたホテルを一目見たいと思い、
皇居に参列する面持ちで赴いた。
2ヶ所入り口があり、それぞれ制服を着た、屈強なガードマンが2人ずついて、
正面入口から入って行こうとしたら追い出され、「見学したいんですが
(I would like to see the inside of hotel.)。」と話したが、
ダメと制止された。
せめてホテルの写真を撮ろうとしたら「ダメ!ダメ!」と一喝された。
ホテルの写真を撮ろうとして、威圧的な態度でダメと制止されたのは初めてだ。
至る所に、監視カメラが設置されていて、セキュリティーは万全だ。
 ルアンパバーンでは一泊30ドル~35ドルあれば、充分なホテルに宿泊できる。
村上が書いているような、簡単なゲストハウスなら10ドルも掛からない。
それでも、平均月収が28,000円に満たない、ラオス人にとっては結構な金額だ。
 アマンタカホテルの宿泊費は、一泊1,050ドル~2,750ドルと
超ウルトラセレブだけが宿泊でき、一般庶民にとっては無縁の世界だ。
村上春樹自身が言っているように、別天地のようなところである。
 宿泊客は一見、上品で教養がありそうだが、
「俺たちは特権階級だ。お前らとは違う。」と言った
鼻持ちならない顔つきの人たちである。
出版社丸抱えの、金に飽かした贅沢三昧の旅をして、
はたして庶民目線の旅エッセーが書けるのか?と思うが、
なる程、このようはホテルに泊まるから、上から目線の、
人を見下した文章が書けるのかと妙に納得してしまう。


アマンタカホテルを南東に少し歩いて、マノーマイ通(Manomai Rd.)を右に曲がったところに
「アッサリン食堂がある。」ここのラオス料理は本当に美味しい。
斜め向かいの食堂は「閑古鳥」が鳴いているのに、ここは地元の持ち帰り客であふれている。
是非、アマンタカホテル見学の折は、立ち寄りご賞味ください。(無料広告)


アッサリン食堂


調理風景


海鮮焼き飯  約190円

豚レグライス 約190円 スープも美味しい

イエローヌードル海鮮焼ソバ 約190円

 ちなみに、私がいつも宿泊するのが、ナムカン川沿いにある「サイナムカンリバービュー」ホテル。
一泊朝食付きで3,000円から4,200円、多少設備は古いが、
朝の托鉢を見学するのにベストポジションのたった20歩、ナイトマーケットに行くのも近い。
 何よりもナムカン川のこんな素晴らしい眺めを見られるのは、このホテルだけ。
メコン川沿いにしろ、ナムカン川沿いにしろ、ほかのホテルはたいがい、木で視界が遮られる。
乾期はホテルの前に竹橋が設置され、観光名所となるので、
パンツ一枚でバルコニーで寛ぐわけにはいかない。(無料広告)


サイナムカンビューホテル、風情あるコロニアル調の木造建築


ホテルからの眺め

乾期のみ設置される竹橋。