Une petite esquisse

日々の雑事の中で考えたこと、感じたことを徒然に書き綴ります。

ベトナム、ラオス、ミャンマーのおいしい話

2020年06月26日 | 旅の情報
「アジアの屋台でごちそうさま」 浜井幸子著  

  

 いつかラオスの旅エッセーを書きたいと思っているが、滝や洞窟には関心がなく、「象さん」にも関心がない、トレッキングや
カヌーなどの水上スポーツにも興味がない、料理となれば「美味しい」以上の言葉は浮かばず、おまけにラオスの宗教となると
サッパリわからない、まるで達磨さん状態(手も足も出ない)でエッセーなど書きようがない。
ところがこの本は「食うことだけに」限定して書かれている。「あ~、喰べまくりだけでエッセーがかけるのか」と妙に納得して
しまう。おいしい旅エッセーである。
 ベトナム、ラオス、ミャンマーの喰いまくりの記録で、3つの国の料理の違いが微妙に詳細に表現されている。
屋台料理を軽妙なイラストと料理図鑑のような写真付きで「これでもか~、これでもか~」と説明している。
こと細かく料理の素材から作り方まで解説されていて食に対する表現力の豊かさに驚かされる。読んでいて食べた気分になるのが
不思議である。
 出版は1998年と今から22年前で、為替レートなど実情に合わないこともあり、「あれ、メオ族ではなくモン族ではないの?」
と言ったところもあるが、内容的には新鮮で22年後の今でも充分通用する。
 見知らぬ土地で、現地に溶け込み、地元の人たちと積極的に交流する様子が描かれている。このバイタリティと開放的な性格は、
自閉症的な旅をする我が身と比べて、うらやましい限りである。
何よりも、エッセーの内容に「嘘」が書かれていないのがよい。

「アジアの屋台でごちそうさま」 浜井幸子著
発行所 情報センター出版局    1500円+税

ラオスを理解するための、お薦めの本

2020年06月25日 | 社会学/社会批評
「ラオス豊かさと『貧しさ』のあいだ」  新井綾香著




 国際NGOでの3年8ヶ月にわたる自らの経験をもとに、綿密な記録に基づいて書かれており、ラオスの農民、貧困層の視点から、
ラオスの置かれている実情がヒシヒシと伝わってくる。
 中国、ベトナム、日本などの企業が進出し、ラオス政府による開発事業が急増、その結果、森林や農地の収用の問題が発生する。
保護林が伐採され、ダムが建設されることで、魚が獲れなくなり、洪水がひどくなり稲作をあきらめざるをえなくなる。
田んぼには米以外にも魚、カエル、イナゴ、タニシ、ウナギやナマズが生きていて、村人の生活を支えていたのに獲れなくなる。
灌漑水路の土崩れがひどくなり補修に費用がかかり、電気代が高くなり、電気代が増え続けることなどで生活が成り立たなくなる。
村人が長年築いてきたセーフティーネットが崩れていく。
 森林や農地の喪失、川の汚染や流れの変更により漁獲量の減少など事業のツケは村人に長期化にわたり悪影響を及ぼす。
巨大開発事業や投資事業により特定の人には利益をもたらすであろうが、村人が得られる利益はごく僅かである。
 ラオスは豊かな自然資源に恵まれ、人々はお互いに助け合って暮らしてきた。村人同士の助け合い、分かち合いの精神が息づいてきた。
村人は物質的に豊かに暮らしているとは言えないが、飢餓や戦争のない社会で、心豊かな生活を営んでいた。
貧困削減という名目のもとで、開発事業が進められ、村人が追い詰められ、さらに貧困は深刻化していく。
「貧困は外部からの開発によってもたらされている」というタイトルの文言が良く理解できる。
2010年に初版発行で、ここ10年が過ぎ去った、環境破壊、貧困はさらに進んでいると考えられる。

『ラオス豊かさと「貧しさ」のあいだ』  新井綾香著
発行所 コモンズ  1700円+税

ルアンパバーン観光スポット(10)、ラオス

2020年06月21日 | 旅の情報
Garavek
Traditional storytelling theatre
トラディショナル・ストーリテリング・シアター



ここが「garavek]

 さびれた裏通りを歩いていると、「garavek」の看板が目に付いた。
「古代都市ルアンパバーンは誰が作ったかご存じですか。ルアンパバーンの歴史を知りた
いならGravekが最適です。ルアンパバーンの物語を伝える民話や伝説を紹介します」
と英語で書かれていた。
 英語でルアンパバーンの歴史を紹介する、外国人観光客向けのシアターらしい。
面白そうなのでチケットを購入した。




語り部のシーパイとケネ奏者

 薄暗いシアターの中で、語り部のシーパイがルアンパバーンの歴史を語り、ケネ奏者が時
折ケネを奏でる。まるで琵琶法師が奏でる平家物語の弾き語りを聞いているようである。


ルアンパバーンの民話と伝説が描かれたタペストリー










 興味深い雰囲気であったが、英語はさっぱり聞き取れず、時々、みんなが笑いだすので、何が
可笑しいのか分からないのにあわせ笑い。つらいものです、状況も分からずあわせ笑いをするのは。
 ルアンパバーンの民話や伝説に興味がある人は是非ラオスを理解する意味でも鑑賞して
ください。

※シーパイの話す英語は早口で、かなり癖があるので、ある程度のリスニング能力が必要。
 日本語の解説パンフレットがあれば良いのにと思った。

データ:
住所 :  Kounxoua Road、Luang Prabang
      クンスワー通り
開演時間: 18:30~19:30 祝祭日休み
料金 :  50,000キープ(約640円)
      18:00~会場にてチケット販売(予約可能)

ラオスの危ない綱渡り(2)

2020年06月14日 | 社会学/社会批評
ラオス高速鉄道建設を中国が放棄か





メコン川に架かる高速鉄道の橋桁(ルアンパバーン) 2020年3月2日撮影

 かつてラオスを植民地化したフランスはインドシナ諸国を鉄道網で結ぼうと計画したが
工事があまりにも困難で断念した。中国が主導するラオスの鉄道建設工事は2010年10月に
計画に着手、2014年に完成予定だったが、中国側で汚職事件が発覚し、工事は無期限延期
となっていた。
 2016年に突如、工事が再開され、2021年に完成が予定されている。
 鉄道は中国の昆明からラオス国境のボーデンを通りルアンパバーンを経由して首都ヴィ
エンチャンに至る427、2kmを結ぶ単線である。将来的にはタイのバンコクからマレー
鉄道へ接続し、シンガポールまで追伸を計画している。北京からシンガポールまで鉄道での
通行が可能になる。
 鉄道工事が急ピッチで進められ、中国語の看板が林立し、大きなゲートの下を中国語表記
の大型トラックが砂埃をあげ、ひっきりなしに出入りしている。深緑の山肌が削られ黄土が
無残に露出している光景が眼に入る。自然環境への悪影響をかえりみず、中国式に強引に工事は
すすめられている。
 3月初旬、ルアンパバーンを訪れた折、メコン川に架かる高速鉄道の橋桁を見て工事は順調に
進んでいるように思えたが、「中国が鉄道建設を放棄し、ラオス人労働者への賃金支払い
が滞っている」とのニュースが入ってきた。
 アメリカ政府系の放送局「ラジオ・フリー・アジア」が伝えるところによると、ラオスで
新型コロナウイルスの感染が確認されて以降、雇用主の中国人が突如姿を消して中国へ帰り、
連絡が取れない状態である。賃金が未払いのままで、ラオス人労働者が生活に困窮をきた
している。ラオスの国家鉄道局に問い合わせても回答のない状態が続いている。
 ラオス中国高速鉄道計画は習近平が推し進める巨大経済圏構想「一帯一路」の南進版とい
える、この鉄道建設により中国は南洋に通じる交易路などを確保できることになる。
 開発事業によって土地を収用された住民は安い補償額しか得られず、代替地は農業に適さず
農業を放棄せざる状況にある。
 鉄道開発により森林が伐採され、水源が枯渇し、動植物の生態系が破壊されて生活が出来なくなる。
貧困削減対策の開発事業によって、さらに貧困は推し進められていく。


ルアンパバーン観光スポット(9)、ラオス

2020年06月07日 | 旅の情報
ラオス伝統薬草サウナ&マッサージ

 ラオスは国土の約7割が高山地帯で自然が手つかずのまま残っている、みずみずしい自
然の中で有機野菜が採れ、薬草が豊富に育つ。朝市でも新鮮な野菜や薬草(ハーブ)が売
られている。
 医療にも薬草が使われ、関節炎や腰痛に効果があるとされていて、薬草サウナはラオスの
街の至る所で目にすることができる。ラオスに来たら薬草サウナは絶対に外せない。
 ドラム缶に水とさまざまな薬草を入れ、薪で煮立て、その蒸気を太いパイプでサウナルー
ムに送り込む。「原始的かしら?」のキャッチフレーズの結婚相談所があったが、こちらの
薬草サウナもけっこう原始的である。
 高級ホテルのスパ&マッサージを思い描いている人は驚くかも知れないが、こちらの伝
統薬草サウナも本家本元である。
 薬草の蒸気で心身ともにリフレッシュできる。日本のサウナと比べて低温で熱くなく、最
初は物足りなく感じるが、ジワジワと汗が流れてきてゆったりとした気分になれる。
 休憩所にヤカンとコップが置いてあり、ヤカンの中に薬草茶が入っていて、自由に飲める、
苦くてお世辞にもおいしいとは言えないが、デトックス効果があると言われている。

レモングラスサウナ&伝統マッサージ
Lemongrass Sauna & Traditional Massage

 観光エリアの中心、シーサワンウオン通りの路地を入っていくと、サウナの看板が目に付
く、趣のある二階建ての木造建築で隠れ家的な雰囲気である。ガイドブックにも記載されて
いる有名なサウナであるが、利用者は地元の人がほとんどで、以外にも外国人の観光客は見かけない。


レモングラス薬草サウナ&伝統マッサージ外観


休憩所


脱衣箱


サウナルーム

データ:
    住所 シーサワンウオン通り
       王宮博物館から半島部に歩いて約3分、カム・レストラン(Khmu Restaurant)の
       向かいの路地を入る。

    サウナ       20,000キープ(約250円)
    マッサージ 60分 50,000キープ(約620円)



ラオス赤十字薬草サウナ&マッサージ
Lao Red Crosse Herbal Sauna & Massage


赤十字サウナ&マッサージ外観
 
 ヴィスンナラート寺院の向かい、小奇麗な感じで、欧米系の観光客が目に付く
ラオスの学校見学などのツアーの催行も行っている。

データ:
    住所 ヴィスンナラート通り
       ヴィスナラート寺院とガソリンスタンドが目印

    サウナ       15,000キープ(約185円)
    マッサージ 60分 50,000キープ(約620円)