Une petite esquisse

日々の雑事の中で考えたこと、感じたことを徒然に書き綴ります。

都教委の奢り

2012年02月28日 | 社会学/社会批評
 朝日新聞、2月20日の記事に、東京都教育委員会は早稲田大学法学部の入試の選択科目<政治・経済>の問題に「君が代」不起立問題が取り上げられたことに対し、都立36校に対し受験者数の報告を求めた、と書かれている。
 問題文は「卒業式や入学式で君が代を斉唱するときに、教員に対し起立することを命じ、起立しない教員を処分する処置の合憲性が争われている」などとし、「教育に強制はふさわしくないか」と締めくくっている。
 担当者は「受験生や保護者から入試問題に対する問い合わせがあった時に対応するため」と述べているが、どのような問い合わせを想定し、なんと答える為に調査したのか。
この調査はどの部署の誰の発案なのか、実際に調査するまでに、どのような裁可のプロセスがあったのか不思議でならない。
 都教委幹部は「問題を分析するとともに、問題があれば対応が必要かどうか検討する」と述べているが、問題があれば、どのように対応するのか、何らかの働きかけを早稲田大学にすることは「大学の自治」を侵害することになりはしないか。
 新聞記事にも書かれているが、一私大の入試問題に反応する都教委の姿勢は軌道を逸して、余りにも幼稚である。
玉川大学の小松郁夫教授はこのような調査をするのであれば、「目的を明確にすべきではないか」と話している。
この都教委の調査の目的は受験者数ではなく「受験者の氏名」ではなかろうかと考えられる。そして、このような調査は戦前の思想調査と特高警察の弾圧の歴史を思いおこさせる。
 2月27日に、市民団体が都教委に要請を行った。3月12日に回答をするとのことであるが、この無用でぶざまな調査に対して、どのような回答がなされるのか興味深いものである。