Une petite esquisse

日々の雑事の中で考えたこと、感じたことを徒然に書き綴ります。

アイルランド観光案内(4)

2021年05月30日 | 旅の情報
ゴールウェイ ー ゲール文化が色濃く残る街


夕暮れ時のショップストリート

 アイルランドは北海道とほぼ同じくらいの大きさの島国で、北海道よりずっと北
に位置していて、サハリンやカムチャッカ半島と同じ緯度になるが、メキシコ湾流
が流れているせいか気候は比較的穏やかである。
しかし、強風が吹きすさぶ荒寥とした大地を見ていると、アイルランドこそが地球
の果てのように思える。
 アイリッシュ海側の東海岸は比較的肥沃な大地で、海岸線まで緑ゆたかな牧草地
が連なっているが、西海岸は大西洋の荒波に削り取られたような断崖絶壁がそびえ
たつ、険しい光景がいたるところにあり、アイルランドでしか見られない絶景のパ
ノラマが拡がっている。

 ゴールウェイはアイルランド西部の港町、中世にはスペインやフランスとの交易
で栄えた異国情緒をたっぷりと残す街で、コリブ川の河口には中世の城壁都市の面
影を残すスペイン門や防壁が残っている。


スペイン門


防壁跡




街頭ミュージシャン


ミユージツクパブ、キングスヘッド


伝統音楽演奏風景


夜のキーストリート

 ショップストリートから南西にキーストリートのコリブ川の河口までの、いわゆるラテ
ンストリートと呼ばれる繁華街が一番賑やかで、美味しい海鮮料理の店や、パブが軒を連
ねている。
いたるところで街頭ミュージシャンが演奏をしている姿を見かける。パブではアイルラン
ドの伝統音楽が生演奏で聴ける。
音楽を楽しそうに演奏している光景を見ていると、この国には音楽を育む環境が揃ってい
るように思える。


エアスクエアショッピングセンター


ケイティーズ・ギャラリー・クラダ・コテージ


内部は民俗博物館になっている


グラダリングの看板

 スペイン門からウルフ・トーン橋を渡って歩いて行き、分岐路を左に行くとクラダと呼
ばれる地区がある。昔はこの辺りは漁村で栄え、藁ぶき屋根の小屋が連なっていたが、時
代とともに漁村は寂れ姿を消していく。しかし、クラダの名前は王冠をのせハートを両手
で支えるデザインをあしらった指輪、「グラダリング」で名を残している。



データ:
ゴールウェイへの行き方
鉄道; ダブリン、ヒューストン駅から2時間30分。 36,65ユーロ
バス; ダブリン、セントラルバスステーションから2時間30分。15ユーロ
      (ハーフペニー橋の南側にもゴールウェイ行のバス発着所がある)
    ダブリン国際空港から 2時間50分~3時間30分。15,5ユーロ


アイルランド観光案内(3)

2021年05月20日 | 旅の情報
クロンマクノイズー初期キリスト教遺跡(アスローン)

 ダブリン、ヒューストン駅からアスローン駅まで約1時間30分。
アスローン駅を降りると駅前には何もない。街の中心まではかなり遠いが、大きく湾曲した坂道を歩いてい
った。
 橋を渡ったところにアスローン城がある。このアスローン城の中にあるツーリストインフォメーションで
クロンマクノイズへの行き方を尋ねた。


アスローン城

ガイドブックに書かれてあった、ザ・バイキング・シップは曜日が限定されていて、今日の出航はないとの
ことで、ボートの出発時間が早ければ明日にすればよいのだが、午後2時30分発とかなり遅いので、タク
シーで行くことにした。


シャノン川、ツアーボート

 クロンマクノイズにはアイルランドの初期キリスト教修道院の遺跡がある。
クロンマクノイズの修道院は545年に聖キアラによって建てられた。
大聖堂を囲むように10世紀から13世紀に建てられた、9つの小聖堂と円形の搭が建っている。
ビジターセンターではハイクロスのオリジナルを見ることができる


ビジターセンター、ハイクロスのオリジナル

 ハイクロスは十字に円を重ねたケルト独特の十字架で、キリスト教以前の太陽信仰のカタチを取り入れてい
る。側面には聖書の物語をちりばめたレリーフが施されていて、文字が読めない人でも絵を見て教義がわか
るようにされている。


オルークの搭


ラウンドの搭


大聖堂




遺跡風景


墓標

 クロンマクノイズには、もともとドルイド教を信仰するケルト人が生活していたが、聖キアラの説くカト
リックと融合し同化していった。
アイルランドのキリスト教は男女が共に生活し、結婚して子供を育ててと、カトリックの禁欲的な修道院と
は異なっている。
 バイキングやアングロ、ノルマンに何度も侵略されたが、そのつど復興を遂げてきたが、
1552年イングランド軍によって壊滅させられた。
アイルランドにおけるキリスト教の歴史を知るうえで非常に重要な遺跡である。


データ:
公共交通機関はない。4-9月のみシャノン川のザ・バイキング・シップで行くことができる。(往復18ユーロ)
聖メアリー教会前のタクシー乗り場からクロンマクノイズまで、往復、待機時間1時間で60ユーロ(要交渉)


お薦めのゲストハウス


 
 アスローン工科大学の近くで、街の中心からは遠いし分かり難いので、アスローン駅からタクシーに乗る
のが賢明。ホテルは清潔で広々として、ゆったり寛げる。
ホテルから駅まで車で送ってくれるなど、ホスピタリティを感じる。朝食も美味しい。

Heather View B&B
住 Auburn, Dublin Rd ,Athlone
Email: heatherviewbandb@gmail.com
www. Heatherviewbandb.com
朝食付き 50ユーロ(約6,500円)宿泊代は季節、曜日により違うので要確認。



アイルランド観光案内(2)

2021年05月16日 | 旅の情報
ダブリンーモダンで知性溢れる街 

 
オコンネルストリート

 空はどんよりしていて、薄っすらと寒かった。
グラスゴー空港を2時23分に出発したエアーリンクはダブリン空港に3時13分に着いた。
グラスゴーは雨が降っていた、ダブリンも雨だった。
 ダブリンの空港は風がきつく吹き、荒寥とした風景が広がっていた。
入国審査を終えて、16番のダブリンバスで約1時間、バスは街の中心地、オコンネルストリートについた。
 ダブリンはパリのような華やかさはないが、あか抜けた、モダンで知的な雰囲気の街である。
建物の佇まいを見ていると、この国が自分たちの文化を大切にしている事がよくわかる。
リフィ川南岸の最大の繁華街、テンプル・バーを歩いていると、どこからか音楽が聞こえてくる。
音楽が常に生活と共にあることが実感できる。


グラッタン橋


カラフルなレリーフ装飾の風情ある建物


オコンネル橋近くのエスプリ溢れるパブ


テンプル・バー


伝統的パブ ジ・オリバー・セント・ジョン・ゴガティーズ


演奏風景


夜のテンプル・バー


リフィ川の夜景


データ:
日本からの直行便はないのでロンドンで乗り継ぐことになる。
アムステルダムやパリ、フランクフルト、コペンハーゲン、イスタンブールなど、ヨーロッパ経由の便もある。

アドバイス:
見どころはダブリン中心部に集中しているので、ほとんど歩いて観光できる。
ルアス(路面電車)を使って、少し離れたヒューストン駅やギルメイナム刑務所、現代美術館まで足をのばすことができる。
ダート(近郊列車)に乗れば、アイリッシュ海沿岸の見どころに行ける。
郊外の遺跡にはツアーを利用するのが効率的で良い。

Leap card (リープ・カード)
ダブリン市内交通のIC型プリベィド式カード。購入時に5ユーロのデポジットがかかるが、運賃が約2割引きになる。
料金上限のシステムがあり、一日何回乗ってもバス、ルアスのみの場合7ユーロ、バス、ルアス、近郊列車を併用し
た場合でも10ユーロ以上はかからないので非常にお得。コンビニ(Spar)で購入可能。


アイルランド観光案内(1)

2021年05月12日 | 旅の情報
ニューグレンジ ー 謎の古墳群(ダブリン)


上空から見ればホットケーキのように見えるニューグレンジの墳墓遺跡

 ダブリンから北西に約60km、ボイン川流域に約5,200年前の先史時代の巨大な
墳墓遺跡がある。
 先史時代のアイルランドにどのような民族が居住し、ニューグレンジを誰が造ったのか
は不明であるが、ヨーロッパ各地の同時代の巨石遺跡と共通するものがあるので、ヨーロ
ッパ南部、スペイン、ポルトガル、フランス等から移住してきた民族だと考えられている。


ツアーガイドによる遺跡の説明


ツアー風景


古墳入り口、渦巻き模様の巨石


古墳側面


古墳裏面、渦巻き模様の巨石


綿密に積まれた石


墓室に続く羨道

 お椀をふせたような扁平円墳で上空から見ればホットケーキのような形状である。
墓全体の石や土の総重量は20トンで古墳は墓の中心まで一本の通路があり、通路と墓室
は巨大な石の柱で組み立てられている。墓室は巧みに組み合わされた石板で造られていて、
現在に至るまで雨水の侵入はない。
 墓の外壁には白い石英の石が積まれていて、この種の石は近辺からは採掘されない、
80kmも離れたウイックロウあたりから運ばれた。
 冬至の明け方、太陽光が長い羨道に真っすぐに入射し、部屋の床を短時間照らすように
建設されている。
 今から5,200年前、エジプトのピラミッド建設よりさらに1,000年も早く造築
されており、高度な天文学的知識と文化を持った民族が居住していたと推測できる。


ビジターセンター内の展示、巨石の運搬(復元模型)


石積(復元模型)


当時の住居(復元模型)


当時の生活風景


当時の集落(復元模型)


魔訶不思議な巨石の模様


ボイン川


アドバイス:
オコンネル通りにツーリストオフイスが何軒もあり、ダブリンからの「ニューグレンジとタラの丘の一日ツアー」に
参加するのが効率がよい。代金は入場料込みで大人36ユーロ~40ユーロ。