BCGワクチンが新型コロナウイルス感染を防止するのではないか、という話が以前からネットを賑わせており、慌てて投与するというような方もいて、小児に必要な分が確保できないという問題にもなっておりました。今回イスラエルからBCGワクチンの投与・非投与で感染率を比較したという報告が出ました。イスラエルでは1955年から1982年までの間national immunization programでBCGワクチンもルーチンで投与されていたようで、カバー率は90%だったそうですが、1982年以降は移民のみの投与になっていたそうです。ということでPCR検査を行った集団から 1979年から1981年に生まれた人 (39-41歳 BCG plus) と1983年から1985年に生まれた人 (35-37歳 BCG minus)の2群を抽出して比較することでBCGの効果を検証しました。イスラエルでは咳、呼吸苦、発熱などの症状がある人を対象にPCRを行っているとのことです。結果としては全部でBCG plus群3064人、BCG minus群2869人が対象となり、PCR陽性者はそれぞれ10万人あたりに直すとBCG plus群121人vs BCG minus群100人で、差は10万人あたり21人(95% CI, −10 to 50人; P =0 .15)ということで予想通り(?)効果なしという結果でした。ちなみに重症者は両群とも1人ずつ、死亡者は無しでした。まぁ直前に投与したのであればtrained immunityの効果もあるかもしれませんが、数十年前に投与したワクチン(しかも獲得免疫を変えるわけではない)が今日でも有効性があるとは考えにくいので、納得と言えば納得ですが少し残念な気もします。
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of factors that may influence vaccine effectiveness
and safety
J.B. Milstien & J.J. Gibson
Bulletin of the World Health Organization, 6 (1): 93-108 (1990)
にイスラエルで接種されたBCGはGlaxoとあります。
日本や台湾のTokyo172とは違うので当てになりませんね。