とはずがたり

論文の紹介や日々感じたことをつづります

またまたマスク

2020-04-10 10:23:40 | 新型コロナウイルス(疫学他)
EBMの元祖である英国をはじめとして、様々なmedical practiceをしっかりとした臨床研究で検証して、確かなものだけを認めて政策にも反映させよう、というサイエンティフィックな態度は本当に尊敬しますし、科学者として正しいスタンスだと思います。でも巨額なコストがかかるのでなければ、「とりあえずやってみたらいいのでは?」という極めて日本的なストラテジーも私は良いと思っています。たとえば整形外科領域では、手術の後にイソジン入りの洗浄水で創を洗う、というようなことは日本では昔からよくやられていましたが、CDCガイドラインでは大規模な無作為化比較試験を経て2017年にようやく「推奨」となりました。それはそれでよかったのですが(しばしば慣習的なpracticeは「意味ない」と言われるので)、「イソジンなんか安いんだから害がなければやれば良いだろう」というのが日本のスタンスだったわけです。
さてこのBMJのANALYSISは感染予防のマスクをどう考えるかという論考です。これまでのマスクの有用性に関する研究の歴史が詳細に述べられており、大変勉強になります。でも頭のどこかで「損するわけやないねんから四の五の言わんでやったらええやん!」と(大阪弁で)思ってしまいます。まぁ結論は"should policy makers apply the precautionary principle now and encourage people to wear face masks on the grounds that we have little to lose and potentially something to gain from this measure? We believe they should."なんですが。。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿