ヒトの受精胚研究は原則として受精後14日を超えては認められていません。また着床後の変化は子宮内で生じ、受精胚の子宮外での培養は困難であったため、分子レベルの詳細な解析はほとんど行われてきませんでした。今週号のScience誌に掲載された2つの中国からの論文では、3次元培養によってサル受精胚を20日まで試験管内で培養可能であることを報告しており、受精胚における遺伝子変化をsingle cell RNA-seqなどで詳細に解析しています。この期間に受精卵に発現する遺伝子は劇的に変化することが示され、ヒトの発生学研究にも有用としています。しかしこのノウハウを使えばヒト受精卵の長期培養も可能なわけであり、「可能なことは行われる」という(私の提唱する)原則に従えば、当然掟破りの研究が行われる危険性を孕む内容です。
Science. 2019 Nov 15;366(6467). pii: eaaw5754. doi: 10.1126/science.aaw5754. Epub 2019 Oct 31.
Dissecting primate early post-implantation development using long-term in vitro embryo culture.
Science. 2019 Nov 15;366(6467). pii: eaax7890. doi: 10.1126/science.aax7890. Epub 2019 Oct 31.
In vitro culture of cynomolgus monkey embryos beyond early gastrulation.
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