週刊 最乗寺だより

小田原のほうではなく、横浜市都筑区にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

勝田山 最乗寺
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降りてくる友情

2010-09-28 00:15:06 | 仏教小話



写真は、客殿の玄関を入った正面の飾り棚においてある仏像。
小さいので見落とされがちだが、お気づきだった方もいらっしゃるかもしれない。

両側に阿(あ)・吽(うん)でお馴染みの仁王様。
正式には金剛力士像という。

内側の右には、昨年話題になった興福寺の阿修羅像。
そして左は、弥勒菩薩像。

菩薩とは、如来(仏)になる前段階で、悟りを開いて如来となるために修行をする位のこと。
弥勒菩薩は如来となることが約束されている菩薩。
そして今、天上世界の兜率天(とそつてん)というところで、衆生を救うために瞑想をされている。
その瞑想された姿を彫ったのが、写真の弥勒半跏思惟菩薩像。

弥勒菩薩はサンスクリット語で【マイトレーヤ】。
語源は「ミトラ」で、慈悲の「慈」という言葉と同じ語源であることから【慈氏菩薩】とも呼ばれている。

「ミトラ」には「友情」という意味がある。

それは下から見上げ、上から見下ろす関係では生じえないもの。
同じ目線で、同じものを見て、同じように感じることから生じるもの。

芥川龍之介の『くもの糸』にあるような、お釈迦さまが蓮の池の底に映る地獄を見下ろし、カンダタのために「くもの糸」を垂らす行為を「慈悲」と思ってしまうけど、それは違うということ。

兜率天で悟りを開くと、衆生救済のために、この娑婆世界へと降りてくる。
私と同じ苦しみを知るからこそ、兜率天から同じ目線となる場所まで降りてこずにはおられない。
だからこそ、その同じ目線で差し向けられる「慈悲」に、切れてしまう糸を垂らされるときにはない温かさを、感じることができるのだろう。

さて、その弥勒菩薩だが、兜率天から降りてくるのは56億7千万後の予定。
ちなみに、弥勒菩薩の前に兜率天にいたのはお釈迦さまで、2500年前に降誕済み。
どうやら、直接お会いするご縁はないようで…。

あっ、写真の仏像は荏田駅近くの島忠のガチャガチャの戦利品。
1回300円也…面白い世の中になったものだ。



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