カメラのデータを整理していて、ちょうど一年前のデータを発掘した。
上五島に来てすぐ、こちらの事情をあまりよく把握していなかった、
まだまだ青いころの自分。
自宅から、目的地にピックアップした日島の先端まで往復70kmちょい、
朝から一日走ってくるだけなら楽勝じゃん、ふんふーん
気持ちのいい4月中旬の朝。
荒川の手前、真手ノ浦を過ぎたあたりかな。
余裕があるから、このあたりはわざわざトンネル掘ってまっすぐになった道じゃなく、
あえての旧道峠越えなんかしていた。
ところが目的地に近づくにつれ、携帯電話の電波が入らなくなってGPSが死に、現在地がわからなくなっていく・・・
頭の中に、上五島の地形図はおぼろげに入っているんだけど、この時期は残念ながら道路まで把握していない。
さらに道路の勾配や路面状況のデータなどは皆無。
初見で走る土井ノ浦や石司、滝河原の入口あたりは精神的にきつかったな。
とはいえ、写真とる余裕とかはなくとも、精神的にはまだ元気。
標識や持って生まれた本能を頼りに、目的地に向かってほぼ一直線。
途中で好奇心に導かれて、有福教会やらに寄り道。
海の向こうは奈留の島
この時点で、ボトルの水は空っぽ。さっき見かけた自販機でジュース買えばいいや、とか甘いことを考えていた。
(自販機にたどり着いて「長年の御愛顧ありがとうございました」という貼紙に絶望したっけ)
さらに、補給食は初めから持参していないとか・・・一番近いコンビニがだいたい30kmむこうって・・・
日島の先でUターンして、向かい風に苦しめられながらも見たことがない道にひかれて月ノ浦とか大平とかに寄り道。
「迷ったときはキツい方」
自転車乗りってヘンタイだよな、とか思いながら確信犯的に若松島の周回コースに迷い込む。
・・・大平、月ノ浦、龍観山とか行ってると、当初の見込みを大きく上回って100km超すんだが・・・
若松大橋を龍観山の上から眺めながら、それでもあの橋までどこをどう走ればたどりつけるか、
それ以前にハンガーノックを回避できるか、この時点で目星が一切ついていないダメダメな自分。
なんとか若松の町にたどり着き、そこで週末も営業している農協のスーパーで補給することができ、
若松大橋を渡ることができた。
さらにそのあと、途中で職場の自販機でプリンを購入してカロリーを補充し、なんとか帰宅。
一年たった今、当時の気候天候・路面状況や社会環境と、
自分自身の走力や装備状況等からきつかったなあ、程度の感想で
下調べもなく往還できたのは巡り合わせだとわかる。
大風の直後の林道は木の枝や落石だらけで落車やパンクと隣り合わせ、
暑さ寒さに風の仕打ちのきつい時期なら体力も尽きたであろうし、
車両通行をきっと想定していない勾配やボロボロの路面を大過なく走るのに
・・・幸運も必要か。
いまは若松の農協もなく、自販機もいくつも撤去され、条件はますます厳しくなった。
この経験のおかげで、短い距離を区切って補給食や水を準備し、
ローディなのにグラベルに入り込むようなライドをしょっちゅうするようになった。
自分としては記念すべきライドだったな