破李拳竜・日記

ここでは私・破李拳竜が行ってきた仕事やお遊びとかの日記を、つらつらと載せてあります。

神秘!幻想崩壊・・・

2006年11月30日 23時06分11秒 | Weblog
格闘技は、「競技スポーツ」のカテゴリーに当てはめると不思議なものだ。普通、たとえば「野球」と「テニス」が戦うといったって、競技自体が違うので戦いようがないし、ルールでどうにかして試合したとして、その試合でテニスが野球に勝ったところで「テニスのほうが野球より強い!」という事にはならない。ところが格闘技の場合は、「相手を倒す」事が直接競技目的になっているから、「姿三四郎」の昔から、「柔道対空手」「プロレス対ボクシング」といった異種格闘技戦が成り立ってしまうのだ。
  それで、相撲、柔道、空手、プロレス、ムエタイ、ボクシング、世界中の格闘技の中で一番強いのは何だ?というのが最大の関心となり、長年のロマンであったが、1993年アメリカ・デンバー州で行われた、「目潰し、噛みつき以外はOK」というルールのまさに究極の戦い「アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC大会)」で様々な格闘技選手が出場し戦い、当時まったくの無名であった「グレイシー柔術」が連勝してしまった事で、一番強い格闘技は何と「寝技」だったという結果が出て、ある種格闘技へのロマンと神秘性が消えてしまった感があった。

  ・・・し、しかしまだ「気功」や「合気道」の達人ならまだそういう場で戦っていないぞ!そーゆー人達が戦ったらどうなる?と、最期の神秘性のロマンが残っていた。しかしそういった達人達は、「我々が行っているのはあくまで『武道』であり、リングなどに上がって試合する者ではない!」と、拒否されてきた。
  合気でバッタバッタと投げ飛ばすにも、いくつかのパターンの「型」に元づいて相手の打撃に対応して投げているので、相手が一流の空手やムエタイ選手の打撃であれば、いかに合気の達人でも対処するのは困難かと思われる。もちろん、それをやってのけられる達人もいるが、相手が何を仕掛けてくるか分からない「対決」の場ではどうなるか?それはまったくの未知の領域だ。

  それに現在行われている格闘技の「試合」は、中世ヨーロッパの貴族達が行っていた「デュエル」=つまり「決闘式」が原型にある。互い平等な条件の元、正々堂々と戦うというものだ。これが日本武道の「死合」となると、宮本武蔵の決闘に象徴されるように、戦う場所の「地の利」を利用して太陽を背にしたり、砂や水を相手の目かけたり、隠し持っている武器でトドメを刺したりといった事も容認しなければならないから、武道家の戦いというと、本当に勝負は「運」となるだろう。

  
  と、ところが!!!そういった達人の中で何と!「自分を『プライド』のリングへ上げてくれ!」と格闘技の試合希望して、自分のプロモーションビデオを自らTV局に送り付けていた「気功・合気」の達人がいたッ!しかも指一本触れずに弟子達を次々と吹き飛ばし、副業で整体業や心霊治療業を営んでいるという、おお~ッ!!!まさに絵に描いたような達人だッ!その名は 札幌の「大東流合気道」老人気功師・柳龍拳師範(65歳)!。

本人の道場のホームページを観ると、以下の事が書かれている。

◎武術エネルギーの証明のため「総合格闘技」の「プライド」に出場を強く志願し、多方面に折衝中。一流人との対戦を希望。21世紀以降の史上初の武術革命が生涯の目標である。

◎筋力、スピードを完全に消すエネルギー革命を確立し、指導中である。

◎ノールールーにて他流試合を200戦行うも無敗のままである。誰とでもノールールーで他流試合を行うことを宣言中である。

  「私は喧嘩200戦無敗。自分は本物、他所は偽物。PRIDEに出たい。私ならヒクソン・グレイシーに勝てる唯一の男だ!ヒクソンよ逃げるな! 50万円で挑戦者募集!負けたら看板を降ろす。」とまで豪語している!おおッ凄い自信だ!これは期待大の達人だ!

  そうしたら、無名のアマチュア格闘家に本当に挑戦を申し込まれてしまい、実際に試合する事になってしまった!本人大慌てかと思いきや自信満々で対戦を快諾し、逆に相手を挑発したりもしている。こりゃ凄い自信!一方の対戦相手の選手は以下のプロフィール。

岩倉 豪(イワクラ ツヨシ総合格闘家)36才

身長 165cm 体重 76㎏
武道暦 SAW2年 空手歴10年 谷柔術1年 グレイシーBHドラクリーノジャパン2年
現在 バルボーザ柔術 所属

だそうで、11月26日、「きたえ~る武道場」にて、試合は18時~20時の間で行われた。

  試合のルールは、柳氏本人が
「◎他流試合をご希望の方は、50万円が必要になります。(負けた場合返金する)気功エネルギー証明のため、異種格闘技の試合をいたします。すべてノールールで行います。結果はすぐわかります。負けたら看板を下ろす!」
とまでNETに書いているくらいなので、
「制限規制なし、ギブアップか、又はK・Oのいずれかの完全決着ルール!」
で、観戦無料で公開試合が行われた。

   で、・・・結果はどうなったか?その模様がNETにUPされ動画配信されていたので、私が観た限りでの印象を含めて実況してみると・・・
  開始の合図と同時に柳師範が両手を上に挙げて、おおっ、本当に気を発するかのようなポーズ!まったく相手を恐れず、余裕しゃくしゃく、達人の貫禄十分だ!これはひょっとするかも・・・?そして左右からまるでハエを追っ払うみたいな感じの、掌打とも思えないような神秘の動き?
  が、次の瞬間岩倉選手が柳師範の体を掴んだ瞬間、岩倉選手の膝蹴りが腹に、パンチが柳師範の口にヒット!柳師範は尻餅をつくように倒れ、立ち上がってからも口元を押さえてなんかスゲー痛そう。岩倉選手もちょっとやりすぎたかな?といったためらいの様子。しかしレフリーの「ファイト!」の声で試合続行されると、岩倉選手はためらいながらも柳師範の左袖を掴むとパンチとキックのの連打を柳師範の顔面に浴びせ、とーぜんというか、柳師範はダウン、そのままうずくまり動かなくなった。レフリーから「ダウン!」を取られ、岩倉選手の勝利が告げられたが、殴る蹴るの暴行を受けた老人気功師という図式になってしまったので、岩倉選手は心配になりすぐさま柳師範の元へ駆け寄ると、道場生に抱き起こされた柳師範はそのまま仰向けに倒れ気絶、救急車で病院へ運ばれた模様・・・。
 

  ・・・あ~あな結果になっちゃたかな?実力測定の場である「試合」に出てきた老人を評価すべきだが、パンチを喰らうまでは自信満々な態度でまったく相手を恐れる様子はみられなかったので、本気で気功エネルギーで勝てると思っていたのだろう。なにしろ道場では弟子達が、指一本触れず自分が気功エネルギーを発すると、次々と吹き飛んでくれていたのだから。それで岩倉選手のパンチを食らって初めて「あれ?ちょっとヘンだぞ?」と気づいたんじゃないかな?
  最初に柳師範が両手を上に挙げて「気」を発射しようとした時、相手の岩倉選手、空気読めよな~と言いたくなるような内容でした。柳師範が気を発する前に打撃を仕掛けたのは岩倉選手の戦術なので、合理的な行い方だ。あるいは左右からまるでハエを追い払うみたいな掌打とも思えないような神秘の動きをした時、気を発していたのかも知れないが、岩倉選手には通用しなかったのかも?。

                          
翌日の柳師範のサイトには
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柳 龍拳の他流試合は相手のパンチが顔面にヒットし出血がひどく、セコンドがストップした事による、レフリーストップ。 岩倉氏の勝ちとなりました。
彼は、パンチ(打撃)に大変工夫が見られ、素晴らしいセンスを持っていると思います。ますます研究して頑張って下さい。
当方としましては、将来的に再戦したいという希望は持ち続けてゆきたいと思っております。その時は宜しくお願い申し上げます。万全で望みたいと思います。
又、大勢の方々が観戦しに来てくださって、来てくれた事に対して深く深く感謝いたしております。ありがとうございました。
柳 龍拳
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と書かれていた。「レフリーストップ」と書いてるけど、ちゃんとレフリーが柳師範のダウンを認めた上で、岩倉選手の勝利を告げていたんだけどね。・・・そして、「負けたら看板を下ろす」宣言はHPから削除されていた。

  まあ、大東流合気柔術に気功をミックスさせ、おまけに心霊治療業までやっている、合気道の源流となった「大東流合気柔術」+「気功」+おまけに「心霊」という、かなりトンデモ武術のようで、技術的には問題アリのようで、「大東流」の歴史を語ると大変長い歴史話になるが、柳師範のHPには、甲斐の武田信玄の家臣・大東久之助が生み出したものと書いてあるが、これは明治期に武田惣角という人物によって世に出た事から源流は甲斐の武田家なのだろうと解釈したのかも知れない。
 本来「大東流合気柔術」の源流は、鎌倉時代の武将・新羅三郎源義光が流祖で、会津に伝承され、会津藩の御留め流=つまり門外不出の秘密武術となっていたという歴史がある。柳師範のHpには
 「会津系の大東流と当流とは全く関係ありません。」
とは出ているが。
  しかし本人が「インチキ」を自覚していたら、本当に対戦相手に勝負を挑まれたらヤバイと感じて対戦相手と裏取引し、両者良い形で勝負が決まるように「八百長試合」を申し出ると思うのだが、試合内容を観た限りでは、柳師範はパンチを喰らうまでは自分の技術を信じ、自分の技術に絶対の自信を持ち、純粋にあくまでも「本気」だったように感じられる。
  試合後「老人相手に何て事したんだ!」と勝った岩倉選手がバッシングを受けているようだが、その岩倉選手を柳師範はー
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柳 龍拳の希望に岩倉氏が応じてくれたことに対し感謝しております。
柳 龍拳の年齢が65才ということで世間的には無理と思われますでしょうが、当人は40代のつもりで闘いに望んだわけですので、ただ年齢だけを取り上げて岩倉氏を責めるようなメール等は一切お止めいただきたく存じます。
勝負は時の運でありますので、高齢だから負けたというのではなく、未熟だから負けたのです。
ですからこれは私からのお願いですが、岩倉氏は責任を感じないでください。
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 と、擁護して負けを素直に認めた柳師範の潔さには、私は好感を持っている。

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2 コメント

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Unknown (fukuhara)
2006-12-01 00:13:04
破李拳先生、日記定期的に頑張っておられますね!
レオは燃えました。先生に科特隊のリーダーを演じて
頂きたい今日この頃・・・実相寺監督、アリガトウ!
って感じです。
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お久しぶりです (破李拳竜)
2006-12-02 21:34:43
 fukuharaさん、お久しぶりです。新作の人形モノ作品も拝読させて頂ました。更に続編が読みたいです。
  私が防衛チームのリーダーになったら、ミスした隊員には精神注入棒で体罰させたり、昔の軍隊に逆行させてしまうでしょう(笑)
  実相寺監督、宮内先生に合掌です。
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