破李拳竜・日記

ここでは私・破李拳竜が行ってきた仕事やお遊びとかの日記を、つらつらと載せてあります。

「コアラ課長」撮影日誌

2006年01月18日 00時16分25秒 | Weblog
  目下またまたまた、私が主演した着グルミどうぶつ映画「コアラ課長」が公開されました。
 、「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」みたいな歌のオープニングを観ると、かわいいどうぶつ会社のアニメみたいで、コアラが課長やって、うさぎが社長やって、かえるが店長やってるという、ありえない気が狂った世界感のドラマですが、実はホラー物という、想像を絶する展開のサイコアラ・ホラー映画です!(・・・やっぱ「いかレスラー」の河崎実監督作品だから。)

 と、いう事で前回に続き、今回は撮影日記。撮影は去年の6月に行われた。

2005年
6月23日(木)
  今日から撮影スタートの、「コアラ課長」クランクインの日。
 渋谷パンテオン跡地に集合。ロケバスで品川のビルへ移動。きくち英一さんと再び共演。野村宏伸氏がきくちさんの部下役。コアラが刑事たちに取り調べうけるシーンより。そのあと大井町へ移動、コアラを尾行する野村氏のシーン。街中を歩くコアラ課長の姿に道行く人々「!」と驚愕だが、野村氏シリアスに尾行する刑事の演技。河崎監督曰く「コアラさえ出ていなければ角川映画だ。」
 昼食の休息事、野村氏と雑談。私が「『花燃える日々』良かったですよ。」と言うと野村氏少しビックリ!野村氏といえば数々の角川映画や「教師びんびん物語」などが代表作だが、「花燃える日々」を話題に出して来た人間は私だけだろう(笑)。この作品は明治期を舞台に、沢口靖子演じる女子柔道家が主人公のドラマなのだが、野村氏は講道館の四天王の一人と呼ばれた実在の人物・西郷四郎を演じ、必殺技「山嵐」を授けるという役どころだった。この後明治期のドラマは売れないという風潮が流れ、番組が短期で終わってしまったのが悔やまれる。
 昼食後タイアップのローソンに行きカエル店長のシーン、中川翔子ちゃんがワン・カットだけのカメオ出演。彼女とは、「兜王ビートル」「電エース」に続いての共演。彼女だけ唯一、コアラが課長やって、かえるが店長やっているという異常な世界感に疑問を持つという正常な神経の人間の役だ(笑)
 夕方そのまま川崎・黒川の田舎に行き、野村氏がコアラの故郷で過去を調べるシーン。これまた監督曰く「『砂の器』のような渋いシーン」。
 夜、喫茶店でエリローズ君とコアラの出会い撮って終了。・・・明日の撮影もあるので、家へは帰らず製作会社の「サムシング」事務所に泊めてもらう。「サムシング」とは2000年の「恋身女子校生パティ」から長く一緒に仕事をしてきたが、現場だけの付き合いだったので、事務所に来たのは今回が初めてだ。


6月24日(金)
  本日はいきなりクライマックスのアクションを撮影。朝からはイマジカで裁判シーンの撮影。コアラの故郷の人々が集まっているので楽屋も賑やかだ。なぜかこのシーンの演出はミュージカル仕立てで、歌に合わせて村人達が踊ったりする。コアラにスポット・ライトが当たり、シェイクスピア劇のようなムードになっている。
 少年時代のコアラ役は「サムシング」の製作の野村女子が着グルミを被り演じたが、中々可愛い・・・でも、その可愛い姿で女子中学生をレイプする役だからすさまじいッ!

 続いて裁判長役の西城秀樹さん登場、音楽に乗り演技して、さすが大物スターのオーラ。劇中のセリフは河崎監督のリクエストでは「傷だらけのローラ」のイメージだったそうだが、御本人が「ジャガー」風のセリフのほうがイイと意見し採用されたそうだが、裁判長が被告のコアラに向かって「もういい!何も言うな!」と問答無用なのがこれまたすさまじい!。
 続いて韓流スターの卵のイ・ホ君が来る。彼の芝居前に記者会見をやる事となったが、私も会見を受ける事となり、コアラ姿で河崎監督、エリローズ君やイ・ホ君達と並んでインタビューを受けたので、「ラブルス漬物株式会社、企画課課長の田村です!」とアドリブをかましたら受けた。・・・しかしイ・ホ君へのインタビューが「はじめての映画出演だそうですが、そのはじめての映画にこの作品を選んでしまったのは何故ですか?」てのには参った!「この作品を選んでしまった」はないだろう、まるではじめての映画にこの作品を選んでしまって失敗したみたいじゃないか!(笑)
 記者会見の後、イ・ホ君の日本へ来て初めての映画の仕事は、いきなりブルーバックの回 転台に乗って「うわ~ッ!」と叫ぶ演技。自分でやらせておいて河崎監督は「まったくの新人にこの扱い。どう思ってるんだろな。」だって(笑)

 その後お台場に移動しクライマックスシーンの撮影。夕方に朝日のラスト・シーンを撮り、夜までにアクション・シーンの準備。きくち英一さんもやって来て、アクション・アドバイスをしてくれると云うので心強い。
 エリローズ君は立ち回りのリハーサルを行っていたがイ・ホ君のほうはこの日初めて彼の動きを見る、が、韓流連中はお台場写真を撮りまくり、すっかり日本観光旅行気分になってるぞ!・・・で、活を入れるためにも彼にパンチ・キックをアレコレ披露してもらう。テコンドーをやってるとの振れ込みだが、やはりあまり高級者の動きではない。そこできくちさん、「蹴りやパンチの手足だけの吹き替えは、オレが演るよ!」と手助けしてくれた。
 
 で、ナイト・シーンはまず野村さんが撃たれるシーンから撮る。殺人容疑をかけられたコアラが脱走し、命を狙われるが、それをかばって刑事が身代わりに撃たれるというお約束シーンだが、コアラに抱き起こされた野村さんはしっかりとカメラ側を振り向いて起こされるように演技する。これが新人役者だとたいていカメラに後頭部を見せちゃうトコロなんだけど、さすがベテランのカメラ映りを計算した演技だ。
 そして立ち回りは先にエリローズ君の立ち回りから撮影。事前にリハーサルを行っていたので、予定通りの立ち回りを行うが、カメラを通すと演技の角度とかで微調整を行い、一部予定に無いアドリブも入れたが、エリローズ君はなんとか付いてきた。
 続いてイ・ホ君を交えてのアクション。こちらはきくちさんも参加。彼がスウェィ(体を反らしてよけるテクニック。)が上手かったので採用したりして殺陣を組み立てていく。しかし蹴りやパンチの手足だけの吹き替えは、一部きくちさんに演ってもらう事に。・・・スタッフからも「イ・ホよりエリローズ君のほうがアクション上手い。」という声が出てたなぁ・・・。
 結果アクション撮影いろいろいろいろやり、深夜2時過ぎまでかかってしまったが撮り切れず、河崎監督の判断で、後日スタジオで残りのアクション・シーンを撮る事になる。最期にイ・ホ君に覚えてもらう「シナンジュの型」を彼の前で披露。演武を終えると、きくちさんの拍手を頂けた。


6月25日(土)
  本日は下北沢のスタジオで部屋内のホラーシーンの撮影を一日中行った。場所が住宅街の中のちょっと入り組んだ場所だったので、助監督のケータイでナビゲートしてもらって到着したが、民家そのものがハウス式スタジオという変わり種スタジオだった。

 最初、OL役の山中めぐみちゃんがコアラに惨殺されるシチュエーションだが、斧で脳天をカチ割られるという豪快な最期を遂げる。派手に血糊が飛び出るスプラッターのカットとなり、監督も「なかなかよくいけたと思うが。」と云う。元々血みどろのシーンは嫌いだ!と公言していた河崎監督だが、この作品では「なにしろ怖いシーンが一番大切だからな。」と割り切り、画面一杯血しぶきを飛び散らさせていったのが、さすがプロ魂というもの!
 その昔「あしたのジョー」執筆にあたり、作画のちばてつや先生は「自分のマンガのキャラクターが血まみれになる作品など描きたくない。」というポリシーを持っていたが、原作者・梶原一騎先生はちば先生をボクシング観戦に誘い、「我々が描こうとしている『あしたのジョー』はリアルな本格ボクシング漫画だッ、そしてボクシングはこのように過酷なスポーツであるッ!『あしたのジョー』の殴り合いで血が流れないと、リアル感が失われ嘘になってしまうッ!!」と言い放たれた。・・・するとちば先生は、「あしたのジョー」の殴り合いシーンではもう、画面一杯血しぶきが飛び散り、そのすさまじい迫力とちば先生のプロ魂に梶原一騎先生も大満足したというエピソードがあったが、まさにそのちば先生同様のスピリッツを、河崎監督は継承しているといえよう。
 おかげで「山中めぐみ、なかなかいい芝居をした」と河崎監督も納得。

 コアラの声は声優の木村裕二君がアテてくれた。彼とも2000年の「恋身女子校生パティ」から長い付き合いで、「いかレスラー」をはじめ、私が演じたキャラクターの殆どを彼が声をアテてくれている。私と木村君とで一つのキャラに命を吹き込むのだ。
 昼食後、妻役のエリローズ君への虐待シーン。彼女がメイド姿になる。おおッメイド萌え~!ナウなヤングに今話題のメイド・コスプレ姿とは時流をいってるな!その上彼女に首輪を付け、四つん這いにさせて手を使わず床の皿に口だけで食事する様を眺めながらビール片手に満喫するのだから、コアラのゆがんだ趣味と本性が現れる、コアラってそーゆーヤツだったのかッ?
 それから彼女との格闘惨殺シーン撮り。監督と話し合い格闘の流れを決めるとスタッフに段取りを説明、そしてエリローズ君を呼んでリハ、本番へと撮影を移行させていく。
 今度は彼女が斧を振るって襲いかかるのだが、よけかわす時、大きく後ろ飛びしてテーブルに落下する芝居を提案。だが1回目は落下地点を誤りテーブルの端に落ちてそのまま椅子の角に背中を強打!思わずチーフ助監督の水内氏、「オイオイ、椅子とか壊さないでよね!」だって。人の事をりセットの椅子の心配するんかい!(笑)。
  また、誰かが「コアラにもウルトラマンのシュワッチ!みたいな掛け声があるといいね。」とか言ったものだから、木村君、その一撃を避けかわすときに「コアック!」と掛け声を入れる、っーッて、この作品ヒーロー物じゃないんだから(笑)。最終的に両者もみ合い同体で倒れ、どっちが勝ったか分からないシーンに仕立てる。

 外は記録的な暑さらしいが、一日中室内シーンだったので快適であった。


6月26日(日)
  会社でコアラ勤務の撮影。実際の某会社の一フロアーを借り切って使用させてもらう。OL達、重役達と、本日が一番キャストの数が多く、控え室が賑やかな出演日だな、24日(金)以上だ。
 待ち時間の雑談で、OL三人娘の山中めぐみちゃん達が「ガングロって、元々何がキッカケで流行りだしたのかな?」と話しているので私も割って入り「浜崎あゆみの白ayu黒ayuからじゃないの?」と言うと、彼女らはビックリ驚き、「ええ~っ?破李拳さんって、浜崎あゆみ、分かるのォ~?」と驚愕する!
 「白ayu黒ayu」とは浜崎あゆみのアルバム「LOVEppears」の宣伝で、彼女が白肌の他に上半身黒くして撮られたポスターの事だが、それが街中に出回ったので、当時コギャルのカリスマと云われたファッション・リーダーの彼女に影響された事も、ガングロ・ブームのキッカケではないのかな?と思う・・・というような事を言ったつもりだったのだが、どうも私はガチガチの硬派に見られているようで、「ちゃらちゃらした芸能人の小娘なんぞの話題など、聞きたくもないッ!」と言いそうなキャラに思われていた、そんな私の口から「浜崎あゆみ」なる言葉が出ただけでもあまりに意外で驚嘆すべき事のようだ。・・・ええい、私だって浜崎あゆみくらい知ってるぞ!アルバムもビデオクリップもDVDも持ってらい!(笑)

 こちら出番はプレゼン会議シーンから撮影。会社の重役達がシリアスに会議している中にコアラがいるのもおかしいが、私は演技の小道具としてハンカチも用意してもらい、汗を拭きながら必死に商品売り込みを賭けるコアラを演じる。ま、全身毛だらけのコアラに発汗機能があるかは知らないが(笑)。
 次にうさぎ社長との対話シーン。うさぎ役の安藤君が私に気兼ねして、どうも貫禄不足なので、彼に「俺より偉い社長役なのだから、もっと堂々と演じるように。」と指示を出す。・・・しかし普通の会社にいるコアラとうさぎが自然に働いている姿がこれまたありえないシュールさだ!(笑)。
 こうなるともう、スチールの金子カメラマンが悪乗りして、本編に無い、コアラを奴隷のようにコキ使ううさぎ社長や、キレたコアラがうさぎをボコボコにするなど暴走したシチュエーションを撮りはじめる。・・・でも、そんなスチールでも、エンディングでしっかり使用されたいたから、やはり河崎監督なんでもあり!だな。
 しかしドラマは淡々と撮っていくほうがリアル感が出て、なおかつコアラのシュールさも高まる。「こういう日がないとね。」と監督。
 午後から脚本の右田昌万さんやウチトラの人々やって来るが、なんかエキストラが緊張していたな。
 
  で、残念だが明日はスケジュールの都合で私がコアラを演れないので、ピンチヒッターとしてコアラ役は谷口洋行君に一旦バトンタッチ。


6月29日(水)
  夜、新宿スタジオで撮り残しの格闘シーン。
 スタジオへ到着して覗くと、谷口君がイ・ホ君に「シナンジュの型」を難儀しまがら教えているので、さっそくバトンタッチして私が伝授。

  それからアクション・シーンの撮影。衣装チェンジのタイム・ラグもあるので、コアラ役は谷口君のままにして、私は殺陣師としてそのままアクション演出を行う事に。イ・ホ君、何度も練習したが、本番でもやはり「シナンジュの型」は覚えられなかったが、河崎監督がカット割りで上手く繋げて演出するとの事。
 狭いスタジオの中なので、派手な動きは出来ないので、パンチ、キックのアップショットがメイン。エリローズ君もよくがんばった。彼女の戦いの熱演で、最期にコアラの鼻がモゲ取れてしまった!思わぬハプニングだが、メイキング的にはオイシイ映像だ(笑)。


 これで主な俳優たちは本日でアップ、しかし監督達スタッフは、渋谷でコアラ雑踏を歩くシーンや千駄ヶ谷で小物の血糊のカット残っているそうだ。それらを撮ってクランクアップ、お疲れ~。

8月31日(水)
  イマジカでコアラ課長の試写があるので観に行く。河崎監督に会うと「またへんな映画が完成。」と笑う。多くの関係者とマスコミに劇場ロビーは満員だ。
 フト見ると、声優界の重鎮・柴田秀勝さんの姿が。実は柴田さん、うさぎ社長の声を演じていたのだ。コアラの声を担当した木村君が柴田さんの事務所に入ったので、柴田さん、「木村がコアラの声演るなら、俺はうさぎでも演るか!」と、自らうさぎ社長の声を担当してくれたのだった。
 私にとっても柴田さんは、拙作「撃殺!宇宙拳」のレコード・ドラマで長官役を演ってもらったという縁があり、それから約20年ぶりの再会だった。それでうさぎ社長のスーツ・アクターの安藤君と共に御挨拶。
 
 そして上映。う~ん、なかなかありえないJ(和製)ホラーしてましたな!それにしても主題歌を歌うGO氏はホントーに上手くなりました。00年の「恋身女子校生パティ」の頃はまだモノマネしている域を出なかったが、最近はもう、子門真人そのものと化しているッ! ・・・でもあの歌とかわいいオープニングに騙されるといけません!(笑)本編ドロドロ話で楽しめました。

 その後飲み会の打ち上げに移行。皆様お疲れ様でした。

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