イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

微生物と共生することにより生育可能 サイハイラン

2014-11-22 19:45:22 | 趣味・特技
ラン科(Orchidaceae); サイハイラン属(Cremastra); サイハイラン(Cremastra appendiculata)
学名: Cremastra appendiculata
和名: サイハイラン(采配蘭)

 6月、森の中の道を散歩していたら、道路脇に薄いピンク色の花が咲いていた。20~30cmほど花茎が立ち上がり、10~20個ほどの花が総状に着いている。全体に地味な印象の花だ。道路脇の明るいところよりもむしろ林の中の薄暗い方を好んで生育しているように見える。草むらに隠れて葉は見えなかった。
 調べてみてサイハイランだと分かった。この植物は土中の微生物と共生する植物で部分的菌従属栄養植物の一種であるとのことである。葉は1枚だけ着けるが、光合成だけでは生育できない性質があり、土中の微生物との共生により従属的栄養を得ていると考えられている。従って、この植物を掘り起こして移植しても、偽鱗茎があるうちは順調に生育し、開花もするが、新しい鱗茎は形成されずに翌年は死んでしまう。
 鱗茎を、花が枯れて茎が残っている頃に掘り取り、外側の褐色のコルク質の皮を取り除き、細かく刻んでから日干しにして乾燥させたものを、生薬(しょうやく)で天麻(てんま)と呼ぶ(イー薬草ドットコム参照)。胸やけ、胃腸カタル、ひびあかぎれなどに効果があるという。また、卵球形に肥大した鱗茎は煮たり焼いたりして食べることができ、栗に似た味がしておいしいらしい。しかし、先に述べたように微生物と共生することにより生育可能な植物であり栽培が難しいためむやみに採取することは控えるべきだろう。


道端にサイハイランを見つけた。明るいところよりも、林の中の草むらの中にたくさん生えていた。(盛岡市太田、2014年6月7日)



同上。(同上、2014年6月14日)



花穂をアップ。(同上)



更にアップ。(同上)

幼木は巨大な葉っぱで草のように生える キリ

2014-11-18 22:54:25 | 趣味・特技
キリ科(Paulowniaceae); キリ属(Paulownia); キリ(P. tomentosa)
学名: Paulownia tomentosa
和名: キリ(桐)
英名: Empress tree, Princess tree, Foxglove tree

 キリはフジとほぼ同じ頃に咲く。フジの方がちょっと早いかも知れない。岩手では春になるとあちこちの道路脇でフジの花を見かけるようになるが、それよりもちょっと控えめだがキリの花も良く見かける。両方とも紫色なので、岩手の春はあちこちが紫色に染まる。
 花が終わりかけると葉が出てくる。大きな木の葉は広卵形で大きいが、特に若木の葉は巨大である。夏になるとよく道路脇に直径50cmほどもある巨大な葉の植物がニョキニョキと生えてくるのを見かけるが、これがキリである。キリではなく別な植物ではないかと思うほど巨大である。木ではなく草のようにも見える。とにかく成長が早い木だ。木材としては箪笥などに使用される高級目代として利用される。
 キリと言えば、学生時代にやった花札を思い出す。今ではやり方も忘れてしまったが、一升瓶やサントリーレッドの大瓶を脇に置いて花札をやり途中で訳が分からなくなって気がついたらトイレの脇で寝ていたこともあった。その花札の中の植物にキリも使われている。役札としては桐に鳳凰というのがあった。花札で桐は師走の札であり、ピンからキリまでというしゃれで桐が師走に配置されたという説もがあるそうだ。
 花が終わると細長い桃のような形をした果実がたくさん実る。秋になると果実が熟すが、中には翼のある小さな種子がたくさん入っている。果実が割れて、これらの種子が回りに飛び散って行く。一度これらの種を植木鉢に蒔いたことがあるが、発芽率は良く、無数のキリの芽が出てきたことを思い出す。


5月桐の花が咲き始めた。(花巻市浅沢、2014年5月10日)



同上



同上



6月になると葉が出てきた。(金ヶ崎町荒巻、2014年6月5日)



7月になると実が成った。(花巻市浅沢、2014年7月12日)



同上



同上



これがキリの若木。葉っぱが巨大であり、草のように生えてくる。(同上)


独特の形の果をつけた花穂をぶら下げる オニドコロ

2014-11-15 21:20:37 | 趣味・特技
ヤマノイモ科(Dioscoreaceae); ヤマノイモ属(Dioscorea); オニドコロ(D.tokoro)
学名: Dioscorea tokoro
和名: オニドコロ(鬼野老)

 山や土手等で良く見かける。葉は互生し長さ幅とも5~12cmの円心形~三角状心形で先は長く尖る。葉柄は3~7cm。雌雄異株で雄花序は葉脇から直立し淡緑色の6花被片の花を多数着ける。雄花には6個の雄しべがある。雌花序は下垂する。果は長さ3~5cmほどで上向きに付き3個の翼がある。果実には3室がありそれぞれに2個の種子が入る。
 マムシグサやノイバラなどに巻き付き、独特の形をした果がたくさん着いた花穂が垂れ下がっている様は野趣にあふれている。ジャングル好きの朕はこの雰囲気が大好きだ。


近所の土手でオニドコロの雄株を見付けた(花巻市桜台、2014年8月13日)



雄花をズームアップ。(同上)



釜石の大天場山でオニドコロの雌株を見つけた。マムシグサに巻き付き花穂をぶら下げている。(釜石市八雲町大天場山、2014年8月14日)



雌株の花穂。独特の形の果だ。(同上)



雌花をズームアップ。(同上)

岩手ではあまり見かけなかった オドリコソウ

2014-11-14 21:16:08 | 趣味・特技
シソ科(Lamiaceae); オドリコソウ属(Lamium); 種(Lamium album); 変種,オドリコソウ(L. a. var. barbatum)
学名: Lamium album var. barbatum
和名: オドリコソウ(踊子草)

 最初は茨城県行方市の田の脇でピンク色のオドリコソウが群生しているのを見つけた。岩手県ではあまり見かけたことがなかったが、花巻市笹間の道路脇の土手でやっと見付けることができた。ここ以外には未だに見つけたことがない。
 草丈は30~50cm、葉は対生し、長さ5~10cmの広卵形で先端が尖り、荒い鋸歯がある。上部の葉脇に白色から淡いピンク色の唇形花を密に輪生する。上唇はかぶと状、下唇は3裂する。中央裂片は大きく前に突き出し浅く2裂する。


茨城県行方市の田の脇で見つけたオドリコソウ。(茨城県行方市、2013年5月4日)



同上



花巻市笹間の道路脇の土手で見つけたオドリコソウ。今のところ岩手ではここでしか出会っていない。(花巻市笹間、2013年6月11日)



同上



同上。花をズームアップ。(同上、2014年5月19日)

栽培されたかのように休耕田に群生する オオイヌタデ

2014-11-13 22:16:23 | 趣味・特技
タデ科(Polygonaceae); イヌタデ属(Presicaria); オオイヌタデ(P. lapathifolia var. lapathifolia
学名: Presicaria lapathifolia var. lapathifolia
和名: オオイヌタデ(大犬蓼)

 オオイヌタデは休耕田や荒れ地で良く見かける。茎は分枝して高く伸び80cmから1.5m程になる。葉は長さ15~25cmの披針形で先が長く尖る。側脈は20~30対ありよく目立つ。節は膨れて赤味を帯びている。托葉鞘は筒状で膜質。花穂は3~10cmと長く、先が垂れ、淡紅色から白色の花を多数着ける。花被は
4~5裂する。
 オオイヌタデは時に休耕田でまるで栽培されているかのように群生していることがある。農家の方には迷惑な話だろうが、淡紅色の花が一面に咲いている姿は美しく秋の雰囲気を盛り上げてくれる。個々の花穂や花も野趣があって面白い。


休耕田に群生するオオイヌタデ。一面種を蒔いて育てたかのように群生していた。(宮城県岩沼市、2013年9月1日)



荒れ地に生えていた白いオオイヌタデ。白いのもきれいだな。蝶がとまっていた。何て言う蝶だろう。(花巻市南城、2013年9月3日)



こちらはそのすぐ近くに生えていた淡紅色のオオイヌタデ。(同上)



道路脇に生えていたオオイヌタデ。1.5m以上に生育していた。(盛岡市太田、2014年9月6日)



同上。花穂は長く淡紅色。(同上)



花をズームアップ。花被は5裂していた。(同上)