黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

池島炭鉱十年の変貌 03ジブローダー

2017-06-07 14:27:20 | 池島炭鉱
第二の軍艦島といわれる、
軍艦島と同じ長崎市にある炭鉱跡<池島>の全貌をまとめた、
『池島全景 離島の《異空間》』(三才ブックス)の発売記念として、
書籍に収録できなかった池島を、シリーズでお送りしたいと思います。

取材で通った2004年〜2017年の約12年の間に、池島がどう変わったか。
今回は、巨大な恐竜を彷彿とさせる重機<ジブローダー>です。

池島炭鉱の港にあるジブローダー

画像は2012年(平成24)夏のジブローダー。
ジブローダーとは、製品になった石炭を、
前回アップしたシップローダーへ通じるコンベアへ移動する産業機器です。

画像右寄りの下に写る、
四方に短い脚を張り出しているのが、レールを走行する下部構造。
その上に載る複雑な形の鉄骨が、回転式の上部構造。
左側に伸びる部分が、
石炭の集積するギャザリング・アームです。





池島炭鉱の港にあるジブローダー

ギャザリング・アーム側から見たジブローダー。
画像下部の左右に写る軌道を移動しながら、
必要箇所の製品炭を集積し、
上部構造と下部構造の接点付近より、
ベルトコンベアへ排出する構造です。





池島炭鉱の港にあるジブローダー

ギャザリング・アームの先端。
ツメのような形をした部分が、
左右交互に動作して、
貯炭場の製品炭を集積して行きます。





池島炭鉱の港にあるジブローダー

画像は上部構造と下部構造の接点付近。
少し壊れてしまっていてわかりにくいですが、
集積された石炭が漏斗状の構造物から下部へ落とされ、
ベルトコンベアへ排出されます。
左右には車輪も見えます。





池島炭鉱の港にあるジブローダー

そんなジブローダーの2012年(平成24)晩秋の様子。
上部構造の右寄りにある操舵室が、
傾いてしまいました。
この年の秋に池島を通過した台風で、
操舵室を支える鉄骨が傾いてしまったとのこと。
操舵室を囲う木製の壁も、
いくつか剥がれてしまったようです。





池島炭鉱の港にあるジブローダー

そして2014年(平成26)の春に訪れたときは、
すでに操舵室は撤去されていました。
木壁がワンポイント的にいい色添えであると同時に、
機器がどう操作されていたかを伝える操舵室がないジブローダーは、
少し物足りない気がします。

前回アップしたシップローダーのコンベア建屋と同様、
一度壊してしまったら施設は二度と元には戻りません。
切り落とす作業より溶接のし直しの方が、
多少費用はかかるかもしれませんが、
操舵室を撤去してしまったのは許せませんね。


“第二の軍艦島”といわれる、九州最後の炭鉱のあった池島の全貌を、
12年以上の取材と400枚超の写真で紹介する国内初の池島本。
『池島全景 離島の《異空間》』絶賛発売中!!



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