漕手のやんごとなき日常

~立教大学体育会ボート部の日常を漕手目線で~

最後なのでこれまでを振り返ってみました。 4年東城勇作

2021-10-04 00:06:40 | 感動大作

普段はあえてボートのことは書きませんが、最後なのでボートに対して僕が思っていること、思ってきたことをどストレートに書きました。
非常に長いですが、最後だと思って読んでくれたら嬉しいです。


2年生の終わり頃からコース沿いや荒川を走り始め、ついに3800キロを越えました。

この記録を見た時にかなりの時間が経ったのだなと感じます。

 

自分は今回のインカレ・全日本選手権が最後の大会になりますが、選手として出場することはありません。


1年生の自分が知ったら非常に驚くでしょう。
また、そんな自分を情けなく思うかもしれません。


これまでの僕は自分で言うのも恥ずかしいですが、比較的運動ができどのスポーツでも中心選手として活躍していました。
そして大会で活躍することがスポーツの意味だとすら考えていました。


入部当初は本気で日本一になることを目標に毎日練習に取り組んでおり、どんなにきつい練習でも同期や当時練習を見てくれていた山本さん(ちゃんうぃーさん)と一緒に切磋琢磨することが楽しくてしかたありませんでした。

 

しかし、1年生の終わりに腰を痛めてしまいそこから長いリハビリ生活が始まります。


痛みで動けず、その一方で同期はどんどんエルゴのスコアを伸ばしていき大会にも出始めるのを見ていると、「自分はもうあいつらに追い付けないんじゃないか」とか「自分の存在意義が見いだせない」などの不安や自己肯定感の低下に陥り、今まで経験したことのない絶望間に苛まれていました。


完全に腐っていた僕に当時同部屋だった榮原が「歩くことくらい出来るんじゃないの?」と声をかけてくれたのを鮮明に覚えています。彼は腐りきっている自分のことを思って声をかけてくれたのだと思いますが、そんなことを考える余裕のない僕は、同じく同部屋だった小林や一学年上の橋本先輩の目の前で怒鳴ってブチギレてしまいました。


豪、まじでごめん。


結局1年近くリハビリをしてもあまり良くならず、何度も退部を考えましたが同期の皆の前で部をやめる話を切り出すことができず、「それならCOXとしてボート部にしがみついてやろう!」と決意を固めました。


やっと挫折を乗り越えて新しい自分に生まれ変われたのでしょうか?


スポーツってそんなに甘くないんですよねぇ。


はい、ここでも挫折します笑笑。


COXって本当に難しいんです。
ぜひ漕手全員にやって厳しさを体感してほしいです。


まずラダーを切って艇をまっすぐ進めることが難しい。
そして、一生懸命漕いで余裕のない漕手に対して的確なコールをすることが非常に難しい。
自分では良いコールが出来たと感じても、相手がそう思わなければ意味がないので自分では改善点が分からない。
みんなが納得するコールなんてそんなの知らねーし!!


しかしこれ以上に悩んだことが、自分が漕いでいないことに対するもどかしさです。


漕手が苦しいけどクルー同士で一体となって漕いでいるなか、自分は漕いでいないという現実がどうしても受け入れられず、本当に本当に苦しかったです。


今になって言えますが、乗艇メニューが嫌で仕方なく早く終わることばかり願っていました。


唯一の逃げ道が走ることで、当時は狂ったように走りまくっていました。


周りの人は「練習後にも運動して偉いね!」と言ってくれましたが、そんなんじゃなかったんです。


ただ現実から目を背けたくて走っていただけなんです。


今はそれが習慣化していて走らないと気持ち悪く感じるくらいですが、あの時は自分でも考えられないくらい精神的に疲れていました。


精神的な辛さは3年生の間もずっと続いており、自粛中にわざわざ艇庫に戻って、当時の主将だった橋本さんに辞めることを伝えました。


橋本さんからは「それ、同期に言ってあるの?」
「同期にも言ってないのに俺のところに来んな、退部は認めないから帰れ」と言われました。


正直本気で腹が立ちましたが、あそこまで強くはっきり言われたことや、同期のことを考えるといつもは当たりの強い同期がなぜかすごく優しく温かく感じてしまい、気づいたら「もう少しやってみます。」と言っていました。


たぶん最初から辞めるつもりはなく、ただ自分の気持ちを聞いてほしかっただけなんだろうなと思います。


4年にもなると、その気持ちにも慣れ特にストレスに感じることはありませんでしたが、一方で他の部員に感じられない程度に熱量に差がありました。


このまま何も起こらず引退していければいいなぁと思っていましたが、そこにとんでもない1年生達が入部してきました。


普通入寮は入部から3ヶ月ほど過ぎ、陸トレにも慣れてきた時期にするものですが、彼らは新歓以前からボート部に入ることを決めており、4月には入寮し始めていました。


他にもわざわざ他の部活から転部してきた2年生もいます。


当初は、「どうせボート部の辛さを知ったら後悔して辞めていくんだろうな」と思っていました。


しかし彼らは強かったんです。


毎日しんどそうにトレーニングをしていますが、その度に「勇作さん!僕のエルゴのフォームを見てもらってもいいですか!」「一緒にランニングしてもいいですか!」「もっとボートを教えてください!」と積極的に声をかけてき、常に強くなることを考えながら向上心を持っている、真っ直ぐなボートマンでした。


ちょうどその時は佐橋HCに新人クルーの指導に回るか、同じCOXの小林と乗り比べをするか聞かれていましたが、彼らを見ているうちにインカレや全日本に出場するよりも、彼らと一緒に強くなりたいと思うようになりCOXとして新人指導に回ることを決意しました。


自分が漕ぐことしか考えてなかった1年生の頃と比べると、本当に考え方が変わったと思います。


正直彼らと出会ってなければ、こんな選択をすることはなかったと思うし、彼らが僕の狭い視野を広げてくれました。


後輩ながらも感謝してもしきれないくらいです(本人たちには絶対言わないけど)。


2ヶ月ほど練習を重ね出場した学連タイムトライアルは規模は小さいなれど、皆が全力を出しきり最高の思い出になりました。


びりっケツだったけど全然艇速は落ちなかったし、ラストスパートでめちゃくちゃ上がったから本当に楽しかったよ。


現在は東日本新人選手権が控えているため、僕は伴チャとして岸から声をかけることしかできないけど、日に日に良くなっている姿を見るとすごく嬉しいし楽しくなってしまいます。


いずれ全日本級の大会でメダルをかける姿を見たいです。
いや、絶対取ってくれるでしょう。

 


とんでもなく長い文章になってしまいましたが、言いたかったことは


ボート部に入部して、そしてここまで続けてきて本当に良い経験をさせていただきました。


あとは全員がメダルを取るのを見ることだけだなぁ。


残りちょうど4週間、皆で頑張ろうぜ!!!