K-World (Kの世界)

アルツハイマー型認知症の妻K、
発病後18年目になります。
現在は介護療養型病院に入院中。
(夫Route463)

物言いついて取り直し

2010-05-16 10:27:13 | ケア日記
食べやすいサイズにしたトーストを
Kの口に運んだ。
Kは大きく口を開け、それを向かい
入れてくれて、おいしそうに食べた。

介助がなければ食物摂取ができなく
なったKの顔を見て、ふと思った。

「どうしてこんな病気になったのか。
もっと早く気づいてやればよかった。
戻ってやり直したいな・・・」

大相撲夏場所が行われている。
そういえば、相撲には「物言いついて
取り直し」という勝負審判による
判定がある。

「おれたちも新生活を始めたときに
戻って、やりなおしたいね。
そうしたら、この病気にならないよう
違った生き方をするのに・・・」
そんなふうに思った。

金婚式を迎えて幸せそうに語り合う
ご夫婦をテレビの画面で見た。

「少なくとも、言葉を話せた頃には
戻ってくれたら、それだけで充分」
真面目にそう願った。

しかし、現実はやり直しがきかない。

「私に課せられた宿命と受け止め、
過去にとらわれることなく、
未来に向かって、今の一瞬一瞬を
共に寄り添いながら、精一杯生きる
ことこそが、Kと私の幸せなのだ」
そう思ったら、気持ちがすっきりした。

わが家の金婚式は、まだ6年先だけど、
そのとき、二人が精一杯生きている
ことを願って、きょうを生きていこう。

現実と願望とのハザマで、気持ちが
行ったり来たりの私であった。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
その日暮らし (dekopon)
2010-05-17 14:32:29
こんにちは

金婚式まであと6年ですか。
ご夫婦の歴史もずいぶん密度の濃いものになっていると察します。
我が家は、銀婚式の記念で行った旅行中に、妻の異変に気づいたものです。それから7年が過ぎました。今では、要介護5で私や子供たちのことも忘れてしまいました。
「物言いついて取り直し」の気持ち充分わかります。妻に忘れられてしまったとき、また結婚式するかと言って子供たちに笑われたことがありました。言葉については独語が酷く、意味不明のおしゃべりが続くので、イラつくときもあります。介護サービスを本人が強く拒否するので、現在は何も利用していません。デイに行ってた頃は、帰ってきてから反動が出て困り果てていましたが、デイをやめて自由な暮らしが気に入ったのか、ずいぶん穏やかになりました。ずっと一緒にいて、一人になれる時間は深夜になります。それでも最近は、短時間であれば一人で留守番ができるようになりましたので、日中の一時間ぐらいは息抜きができます。この留守番で、ビックリするようなことがおきました。出かけて帰ってきて玄関をあけると、目の前にいた妻が「なんだお父さんか」と言いました。久しぶりにでたお父さんでしたから嬉しくなりました。こういう些細な事でも生きているを実感します。K様と共に寄り添いながらという気持ち痛いほど共感します。実は、私自身の心情として、一日を安心して寄り添いながら生活するという思いで、毎日のその日暮らしを過ごしています。この病気とかかわりを持ってから、あまり先のことを考えても仕方ないことを悟りました。だから、少し先のことを考え、その場面に適した行動で妻をサポートし、安心してその日暮らしを続けることが大事だと思っています。それには、過度の干渉をしないで見守ることも重要であることを感じています。
長くなってしまいましたがお許しを。

まずは金婚式ですね・・・・・

ご安全に
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Unknown (Route463)
2010-05-18 01:15:16
dekopon様

そうなんです。
今こうして妻を在宅介護できるのも、
夫婦の歴史があるからだと思います。

この病気になったのをさかいに、
離婚してしまった話を聞いたことが
ありますが、それもその夫婦の歴史が
そうさせたのでしょう。

縁があって、一緒になって、お互いを
尊敬し、助け合い、そして愛し合い、
歳月を重ねてきた私たち夫婦。

尽くしてくれた妻が、あるとき、
「アルツハイマー病」と診断され、
病名は告知しませんでしたが、
妻は自分の身に起きている異変を
感じていて、「死にたい」と口にし、
悩み苦しんでいました。

そのときから、妻を護ってやれるのは、
夫である自分しかいないと思いました。

いつ終わるとも分らない認知症の介護、
その負担は大きく私にのしかかって、
ストレスで潰されそうになりました。

そんなとき、私を助けてくれたのが、
家族の会でした。
同じ境遇にいる仲間を知ることは、
何よりも心強いことでした。

家族の会で、あるケアマネさんに会い、
その方が妻をデイサービスに連れて
いってくださいました。

はじめはひどく抵抗していましたが、
今では喜んで行ってくれるので、
ゴルフの練習など、私にとって約6時間の
息抜きができ、ストレス解消ができます。

排泄、食事摂取、着替えなどが全介助となり、
言葉ができなくなって、恐らく本人が
一番辛い思いをしていると思います。

dekoponさんがお出かけから帰って玄関を
開けたら、奥様が「なんだお父さんか」
とおっしゃったのは、感動ものですね。
これだけで介護の疲れが吹っ飛びますね。

これからもどうぞよろしくお願いします。
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