私に何か言いたかったのに・・

１８時、Ｋは立ち上がった。
私に近づいてきて、肩に手をかけた。
そして、二言三言、何かしゃべった。

私にはそれが何か、理解できない。
Ｋの目を見て、理解しようとしたが、
言っていることをわかってやれない。
それがなんとも悔しい。

言葉で会話できないなら、
Ｋの表情、感情、声色、・・・、
そういった微妙なニュアンスを
感じ取れればそれでいいのでは。

だが、それは私にはまだ難しい。
そこまで行けていないのである。

こういうことを言いたかったのか、
そう思って、こういうことか、
と聞くと、突然大きな声で怒った。

私の言うことは分るのである。
だから、私が上手く読み取って、
「イエス」と首を縦に振る動作を
導き出せれば、会話になるはず。

１６時にも、立ち上がった。
私は感じて、トイレに連れて行った。
１０分間、トイレの外で待った。
しかし、何も出なかった。

このとき一瞬思った。
パッドをつけようかと。
でもパッドを嫌がる妻。
日中だし、止めておこう。
様子を見ることにしよう。
リハパンに出してもいいか。
・・・・・・・。

結局、パッドをつけなかった。
Ｋの横に寝転んでテレビを観た。
うとうとして少し眠った。

１７時になっていた。
Ｋのお尻に手を当てた。
ズボンまで濡れていた。

１６時に行ったとき、
出して欲しかったのに。
それはＫに通じる話ではない。

この１時間、俺は何をやっていたのか。
Ｋの微妙な雰囲気を感じることが
できなかった。

パッドを付ければよかった。
うたた寝しなければよかった。
１６時３０分に行けばよかった。
どれもこれもみんな俺の問題か。

こんな気分のとき、
俺はどうあればいいのか。

おしっこが出てよかった。
そう思うことが一番気が楽になる。

長いゴールデンウイークも
明日で終わる。

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