うまさいと

お馬さんは好きですか?

ダンスさん、三度海を渡る。

2005-03-22 00:12:10 | 競馬
殿下とSeaBirdさんがゼンノロブロイの海外遠征についてそれぞれの見解を述べられていたが、私はダンスインザムードの海外遠征について書くことで、世間からの非難を回避、共にスーパーなお二人との比較を避けるという手段を取りたいと思う。つまりアレだ。最初から逃げ腰。

ダンスインザムードさんが安田記念後に今年も海外遠征を敢行するらしいと。候補に挙がっているのは7月31日のPrix d'Astarte(FR G1 T1600m:アスタルテ賞、牝馬限定のG1)。またなぜ昨年G1に昇格したばかりのこのレースなのかとよくよく考えてみると、社台との相性が非常に良いレースと言える。といっても、社台のお馬さんが遠征して・・・というわけではなく、向こうで持っているお馬さんが勝ったという意味なんだが。しかし、それでも

93 G3 Ski Paradise
96 G2 Shaanxi
98 G2 Mis Barbere
04 G1 Marbye

と4勝を挙げており、これはかなり相性が良いと言えるだろうと。Mis Barbereは確かタイキシャトルが制したPrix Jacques le Marois(FR G1 T1600m:ジャック・ル・マロワ賞)に武豊騎乗で出走していた気もするので、ご記憶の方も多いと思う。そういった意味も含めて、昨年のAmerican Oaks(USA G1 T9f)の無念を晴らす為にも今回の海外遠征と相成ったのだろう。あくまで一般論でしか語れないが。ここまではね。


じゃ、個人的見解に移る。


さて、「相性が良い」以外にどういった意味を持つ海外遠征なのだろうか。上で触れたが、ゼンノロブロイのInternational S.(GB G1 T10f88y:英インターナショナルS)遠征に寄せて、殿下は
「要するに、レベルに対して日本におけるギミックが少ない」
という発言をしておられるわけで。これはつまり、
International S.では「日本での知名度」と「欧州での評価」を量りに書けた場合、後者の方が高いので、出走馬のレベルを加味すると、一般の競馬ファンからは「何でわざわざ?」と言われかねないという解釈なんだと思う。

このレースの日本における知名度というのはもうゼロに近いレベルなんだろうと推測されるわけだが、それはPrix Maurice de Gheest(FR G1 T1300m:モーリス・ド・ゲスト賞)に遠征したシーキングザパールの時と同様であると言える。要するに
「あぁ、そんなG1があるんだね。でも、G1なんだからきっと凄いんだよね」
という程度なのではないかと。日本における海外G1の知名度というのは嫌になる位低いのはわかるが、それを逆手に取れば「どんな国のG1だって、どんなレベルのG1だって国際G1である以上は『海外G1獲ったんだ、凄いね』」と評されるとも言える。勿論、Prix d'Astarteはそこまでレベルは低くはないが。もう少し獲り易いところならイタリアなんかを選ぶだろうし。

ゼンノロブロイの場合と違うのは「年度代表馬が海外遠征する」というレベルでものを考えるかどうかという点に尽きるのではなかろうかと。「年度代表馬の遠征」なんだから、海外に興味が無い方々としては

Prix de l'Arc de Triomphe(FR G1 T2400m:凱旋門賞)
King George VI & Queen Elizabeth Diamond S.(GB G1 T12f:Kジョージ)
Dubai World C.(UAE G1 D2000m:ドバイWC)
Breeders' Cup Classic(USA G1 D10f:BCクラシック)
Breeders' Cup Turf(USA G1 T12f:BCターフ)

辺りしか許されないんだろうなという気がする。だからInternational S.ではあんまりなんだろうなぁと。欧州での評価と日本での評価には差がありすぎて、International S.もPrix d'Astarteも大差無いのだろうと。SeaBirdさんが書かれていたのは、一般の日本の競馬ファンの立場における考察という意味だったのかな、とも思う。でも、一度海外にハマると、ライトなファンの観点から書くのは難しいだろうなぁ。


話が逸れた。さて、このPrix d'Astarteの場合はどうかと言うと、牝馬路線の常とも言えるが、結構良いメンバーが揃っている。昨年はNebraska Tornado , Denebola辺りが参戦しているし、G2でしかなかった一昨年のメンバーだって、勝ち馬Bright Sky、不運続きだったSix Perfections、先日引退したMusical ChimesなんていうG1馬がごろごろしてるわけだ。この2年の出走馬レベルはかなり高いものだと言わざるを得ない部分もあるが、過去20年位の勝ち馬を見ると、G1馬かその後G1を勝つことになるお馬さんも半分くらい含まれている。94年のHatoofや83年のLuth Enchanteeの様に牝馬界の超大物の参戦も有り得るレースではあるねぇ。

では今回の遠征をシーキングザパールの時と比較すると、あの時は「昇格して日が浅いG1に挑戦」という考えが少なからずあっただろうし、何よりも報奨金制度という飴があった為に、ある程度の勝算があればチャレンジしてみるといった気概もあったのだろうが、現在ではその報奨金制度が無くなり、「勝ちに行くんだな」という印象が拭えない。勿論、遠征する以上は勝ちに行っているわけだが。

でもまぁ、夏のDeauville開催と言えば、7年前のG1連勝が思い起こされるのは私だけではないだろうし、あまり注目されていなかったテレグノシス、エアトゥーレの好走例もある。つまり、日本から「それなりのレベル」のお馬さんが遠征してくれば、間違いなくマークされてしまうということは覚悟しておかなければいけないとは思う。

このレースは基本として、夏のマイル戦線前の一叩き前の古馬と、Poule d'Essai des Pouliches(FR G1 T1600m:仏1000ギニー)辺りで人気したけどコケちゃった3歳馬が主軸になると考えられるが、では、レースレベル自体が抜けて高いのか(つまり、超凄いG1か)というと、昨年昇格した他の牝馬G1と比べても大差無いと感じられるわけで、サンスポの記事が言うほど、そこまでつらいことは無かろう。下手にRoyal Ascot MeetingのG2に突っ込んでみたり、Ebor Festivalに突撃するよりはいいと思われるよと。かといって「空き巣」と表現するのも適切ではない。昨年のノングレードから一気にG1に昇格した直後のAmerican Oaksよりは甘みが少ないという個人的見解でこの駄文を締めくくろうと思う。


なぜこの話題を取り上げたかというと、その日が私のばーすでーだったからに他ならない。これは後付け。