うまさいと

お馬さんは好きですか?

香港國際賽事。

2005-12-05 23:17:49 | 競馬
色々とレースについての見解など御託を並べる前に書いておかなければならんことを思い出した。4レースの大体の勝ち馬の地域別の統計などについてのこと。一応香港には来ないであろう地域のお馬さんは除いて、香港に来る可能性の高い地域にしようかと。そうすると
英・愛・仏・独・伊・日・米・加・豪・新・澳・南ア
といった辺りになるかと。以前あったマラヤン競馬協会(マレーシア・シンガポールの統一協会みたいなもんだっけ)へのHong Kong C.への招待枠というのはもう既に無いでしょう。ということで、ここ数年では大体こういった辺りに限られるのかなという推測。「英・愛・仏・伊・独」を十把一絡げに「欧州勢」とするのは甚だアレなのですが、今は簡略化のためにそうしておきましょうか。南アはNational Currencyがいましたが、う~ん、デンマークも一応Dano-Mastがいたんだけど、今後挑戦は考えられないと思うので除外。ごめんね。


まずはHong Kong Sprint(HK-G1 T1000m)から。現在世界で一番スプリント路線(ここでは1400m以下と定義)が充実していると考えられるのは、香港と豪州だ考えられます。豪州、NZの生産馬がそのまま香港に入ってくるというのもまた何らかの影響を与えているのかもしれませんが、下級条件はマイル以下が多く、2000mを超える距離のレースはあんまり無いという印象。何しろ香港には短距離三冠と呼ばれるものまでありますので(今年から少しレースが変わりましたが)。香港におけるSilent Witness, Cape of Good Hopeや豪州におけるChoisirの出現で評価がグンと上がった感がありますが、元々の下地ができていた地域なので不思議ではないというところでしょう。また南アのNational Currencyが03年に2着、マカオのNatural Blitzが04年に3着していますが、前者の場合はその当時のTurffontenの1000mのレコードホルダーで、南アのハンデキャッパーが「これまで見た中で最強のスプリンター」という賛辞を述べていることで要は同国のSilent Witness級のお馬さんだったという結論に達します。後者はマカオ所属時代のオーナーがHKJCの人間ですが、持ち馬数制限に引っ掛かってマカオに預けたらしいという話なので、香港所属馬と変わらない(現に今は香港所属だし)ということからも参考外ということでしょう。G1に昇格してからの3年で地元勢以外に連対したのは一昨年のNational Currencyのみという、ほぼ寡占状態になっています。年の為に言っておくと、00, 01年と連覇したFalvelonは豪州馬ですよと付け加えておく。その両年で2着しているMorlucは珍しいアメリカの芝のスプリンターです。元々芝を走ってたタイプね。

ということで、主に注意すべきは地元勢と豪州勢といったところかと。また、日本勢が唯一良績を挙げていないレースでもあります。そういえばメジロダーリングが新潟でのレコードを買われて人気になっていた年がありましたが、情報量が多いことが返って向こうの競馬ファンには悪い方に作用しているということなのかもしれませんねぇ。


続いてHong Kong Mile(HK-G1 T1600m)。G1に昇格してからの4年で3回も日本勢が一番人気になっているという変わったレースです。その弊害(?)が「日本人が知ってる香港の情報よりも、香港の人が知ってる日本の情報の方が断然多い」ということ。もう一つ添えるとすれば、この路線で地元勢の層がスプリント路線に比べれば薄く、ローカルG1であるマイル戦の勝ち馬も「スプリント~マイル」という距離を得意としているお馬さんではなく「マイル~中距離」を守備範囲とするお馬さんが勝っていたりするわけです。Bullish Luckなんかもそうなんだけど。この問いに対しては、個人的には香港の三冠体制が関わっているのかなという気もするわけですが、そこまで三冠に対して熱い気配も伝わってこない(香港三冠は古馬のレース)ので、それは思い違いかもしれません。マイル路線となると香港は少し落ちてしまう印象があるのですが、Lucky OwnersやOlympic Expressなど、G1になってからの連対馬10頭の内7頭までが地元香港勢ということになっています。ちなみに残り3頭は00年の豪州の女傑Sunlineと02年の勝ち馬エイシンプレストンと04年の勝ち馬であるGodolphinのFirebreakです。今年の欧州においてのStarcraftの活躍や先のSunlineの例を見ていると、豪州において2000m前後で活躍しているお馬さんがこのレースに挑戦してくると狙い目と言えるかもしれません。

地元が「意外と」健闘しているレースなので、地元のお馬さんを軽視しないようにするのが吉かもしれないですが、但しこのレースが一番荒れることは間違い無さそうな気配がします。


続いてはHong Kong C.(HK-G1 T2000m)。2000mという距離は非常に微妙。この路線だと欧州や日本が強い距離でもあります。G1に昇格してからの6年を見ると欧州勢(UAE関連含む)が8頭、あとはレベルがまだ低かった99年にアメリカのRunning Stagが2着、01年のアグネスデジタル、02年にアッと言わせたPrecision(今年の5月まで走ってた辺りもっとアッと言わされるんだけどセン馬だしな)と04年の2着馬Bullish Luckという地元勢。これを見ると、欧州勢がいかに優勢かということがわかると思われます。日本のお馬さんで2000mを得意とするお馬さんがいればかなりの割合でJC→有馬という選択をするでしょうし、マイル~中距離が守備範囲ならば手薄な印象が拭えない(毎年日本勢が人気になっていることからも、気軽に遠征できるであろう)マイルに回るでしょう。アメリカの場合はSarafanがmethylprednisoloneをアメリカで投与しており、その残留の可能性があることから回避だなんてことも03年にありました(これより半年ちょっと前に南アのEventuailが同じことで出走取り消しになってる)ので、ちと遠征しづらいかもしれません。とするとやはり欧州勢に有利になると。さすがにこの距離になると少し豪州勢は遠征し辛いでしょう。Fields of Omaghの惨敗(あれはヴァーズですが)もありますしね。

とするとやはり狙いは欧州で成績の良いお馬さんということになりますが、2タイプが考えられます。Falbravの様な超一流馬(余談だが、このお馬さんがこの年のJCを回避したのは距離の問題と、権利の半分を購買していた社台の思惑であって、決して格云々の問題ではないはず。この回避以降「JC vs 香港」なんていう議論がよく闘わされるようになりましたけど、FalbravのJC回避については何にも関係無いだろうと推測)が来る場合と、Fantastic LightやAlexander Goldrunの様に「既にG1は勝ってるけど、ここを勝ってもう一伸びしたお馬さん」といった感じ。前者が来れば文句なしに勝つ可能性があります(FalbravとGranderaは比べちゃ可哀想で、むしろGranderaはこのレースの翌年春までのFactastic Lightと比較されるべき。同じことがPowerscourt辺りにも言えるはず)。だからこそ、欧州勢で「今後伸びそうなお馬さん」を探すのが一番面白いのではないかと考えられます。


さて残ったHong Kong Vase(HK-G1 T2400m)なのですが、香港にはこの距離のG1(ローカルG1を含む)が2つしかありません。今回述べているHong Kong Vaseと三冠最後のHong Kong Champions & Chater C.(HK-Gd1 T2400m)ね。スプリント路線で述べたように、元々2400mなんて距離に対応するようなレース体系なんぞにはなっておらず、国際レース4つの内でなぜかこのVaseへのトライアルが存在しません。ハナから勝つ気無いのがみえみえです。ついでに言っておくと、香港やその競走馬の主な生産地である豪州・NZにおける2400m以上のレースというのはレベル的に疑問符が付くこともあり、Hong Kong Vase(HK-G1 T2400m)での欧州馬の寡占状態や、アイポッパーがCaulfield C.(AUS-G1 T2400m)ですんなり2着に入ったこともまたいえるのかもしれないと。確かアイポッパーが2着に入った時に現地の関係者から「このままじゃ長距離路線はやばいよねぇ」といったコメントが出ていた記憶があるのですが、詳しくは覚えていません。G1に昇格してからの連対馬10頭の内、01年のステイゴールド以外は全て欧州のお馬さん。そりゃHKJCもやる気なくすよな。力の要る芝ですが、コースのレイアウトを考えると英国馬よりは仏国馬の方が合うとは思うのですが、00年Daliapour, 04年Phoenix Reachという英国勢、02年Ange Gabriel, 03年Vallee Enchanteeという仏国勢が共に2勝ずつ。とりあえず「欧州馬には逆らうな。でも何が勝つかは想像も付かない」といったところでしょうか。シックスセンスがどの程度の力を持っているのかはわかりませんが、勝負になるだろうという気はします。