次の課題詩をよんで答える問題がテストに出て・・・ということで塾生たちに質問をもらった。
その場であれこれ話して「ア」でしょう、と答えたのだが・・再検討をしました。
春に 谷川俊太郎
1 この気持ちはなんだろう
2 目に見えないエネルギーの流れが
3 大地からあしのうらを伝わって
4 ぼくの腹へ胸へそしてのどへ
5 声にならないさけびとなってこみ上げる
6 この気持ちはなんだろう
7 枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく
8 よろこびだ しかしかなしみでもある
9 いらちだ しかもやすらぎがある
10 あこがれだ そしていかりがかくれている
11 心のダムにせきとめられ
12 よどみ渦まきせめぎ合い
13 いまあふれようとする
14 この気持ちはなんだろう
15 あの空のあの青に手をひたしたい
16 まだ会ったことのないすべての人と
17 会ってみたい話してみたい
18 あしたと あさってが一度にくるといい
19 ぼくはもどかしい
20 地平線のかなたへと歩きつづけたい
21 そのくせこの草の上でじっとしていたい
22 大声でだれかを呼びたい
23 そのくせひとりで黙っていたい
24 この気持ちはなんだろう
問4 2行目「目に見えないエネルギーの流れ」とはどのような力のことか。次の中から選んだ記号で答えなさい。
ア 春の訪れと主に芽吹き始めた生命力
イ 春になって体の内側からあふれ出す行動力
ウ 冬の間にため込んでおいた体力
エ 春の景色を見てふくらんでいく想像力
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
春という言葉からまず連想できるのは、「青春」という言葉です。青い春、若者たちの春。思春期、という言葉もあります。若者の春は、もの思う時期でもあるのです。
春は冬の間は死んだようになっていた、あるいは滞っていたあらゆる生命が動き出す、あるいは成長していくときです。
人間の若者はことさらにそういう時です。心身共に著しく育つときです。初恋をしたり、スポーツで競ったり、ライバルを持ったり、生涯にわたる親友と出会ったり。
何だか分からないけれど、自己の内側に性(生)への暴力的な衝動があることを知ったり、反対に死にたいと思ったり。
そんな矛盾を抱えた時が人間の春、青春です。
この詩は、こういうことを踏まえて読むといいかな、と考えます。
この詩の題「春に」ですが、春に・・・のあとが気になります。
春に・・・自分に変化?が起きている・・内側で何かが爆発している、激しく求めている、不安だ、何を?何が?
それを「この気持ちはなんだなろう」と呼びかけ、問いかけてけている。
人間の成長は正比例のグラフのようには行かないです。
常に「アンビバレンス(ambivalence)の状態です。
これは、心理学用語で、ある対象に対して、相反する感情を同時に持ったり、相反する態度を同時に示すことです。「両価感情」や「両面価値」、「両価性」などとも翻訳されるようです。が、そのまま「アンビバレンス」もしくは「アンビバレンツ」と使われますね。
青春とは、まさにこのアンビバレンツの極致といっていいかもしれない。
これを経て、落ち着いた「大人」になっていくのです。これは、生理的にいうとホルモンの働きなどが大人になる過程でバランスを崩しているのかも知れません。(反抗期が重なる)
さて問題に・・・・
4択の問題の場合は、これは違うというものが2つはあります。まず、それを落とします。
それは、ウとエです。
正解は、アかイ、どっち?
前述のようなことを前提として考えて、すぐに選択したのは「ア」です。どこに着目したのかというと「生命力」です。この詩のテーマは、生命力だからです(と私は考えています。命はアンビバレンツそのものです。生きていく先に死があるのですから)この詩のテーマは青春の生命力です。
しかしまてよ・・・その上の「春の訪れとともに芽吹き始めた」というのが引っかかります。これは隠喩として考えるなら、人にも他の生物にも「あり」の文ですが、隠喩を考慮しないならば動物的生命体ではなくて植物的生命体のことです。
これ、完全正当ではないな(聞かれた時には自信を持ってこれ、だよといいましたが(´ω`))
ムムム。じゃ イ か?
「春になって」体の内側からあふれ出す」はいい、ここは正しいと思います。
どこが違うかといえば「行動力」は違う。
青い春のまっただ中にある人は、行動はするかも知れないが、それは生命力に支えられての動きです。むしろ生命の本能に誘われてのうごめきに近い行動だと考えます。それがときに取り返しのつかない暴力になったりもする。
青い春の人たちの行動は往々にして内在して屈折して暴発することがある。
行動力という言葉の響きが持っているまっすぐで明るいものではない。
正解はないじゃないのよ。
ではつくります。
アとイを合わせます。
次が正解ではないでしょうか。
オ 春になって体の内側からあふれ出す生命力
以上。
水曜イッサ3グループの人たちに解説しました。
ア、イの両方が少しずつ正解ですね。
問5についてはまた次回にします。
その場であれこれ話して「ア」でしょう、と答えたのだが・・再検討をしました。
春に 谷川俊太郎
1 この気持ちはなんだろう
2 目に見えないエネルギーの流れが
3 大地からあしのうらを伝わって
4 ぼくの腹へ胸へそしてのどへ
5 声にならないさけびとなってこみ上げる
6 この気持ちはなんだろう
7 枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく
8 よろこびだ しかしかなしみでもある
9 いらちだ しかもやすらぎがある
10 あこがれだ そしていかりがかくれている
11 心のダムにせきとめられ
12 よどみ渦まきせめぎ合い
13 いまあふれようとする
14 この気持ちはなんだろう
15 あの空のあの青に手をひたしたい
16 まだ会ったことのないすべての人と
17 会ってみたい話してみたい
18 あしたと あさってが一度にくるといい
19 ぼくはもどかしい
20 地平線のかなたへと歩きつづけたい
21 そのくせこの草の上でじっとしていたい
22 大声でだれかを呼びたい
23 そのくせひとりで黙っていたい
24 この気持ちはなんだろう
問4 2行目「目に見えないエネルギーの流れ」とはどのような力のことか。次の中から選んだ記号で答えなさい。
ア 春の訪れと主に芽吹き始めた生命力
イ 春になって体の内側からあふれ出す行動力
ウ 冬の間にため込んでおいた体力
エ 春の景色を見てふくらんでいく想像力
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
春という言葉からまず連想できるのは、「青春」という言葉です。青い春、若者たちの春。思春期、という言葉もあります。若者の春は、もの思う時期でもあるのです。
春は冬の間は死んだようになっていた、あるいは滞っていたあらゆる生命が動き出す、あるいは成長していくときです。
人間の若者はことさらにそういう時です。心身共に著しく育つときです。初恋をしたり、スポーツで競ったり、ライバルを持ったり、生涯にわたる親友と出会ったり。
何だか分からないけれど、自己の内側に性(生)への暴力的な衝動があることを知ったり、反対に死にたいと思ったり。
そんな矛盾を抱えた時が人間の春、青春です。
この詩は、こういうことを踏まえて読むといいかな、と考えます。
この詩の題「春に」ですが、春に・・・のあとが気になります。
春に・・・自分に変化?が起きている・・内側で何かが爆発している、激しく求めている、不安だ、何を?何が?
それを「この気持ちはなんだなろう」と呼びかけ、問いかけてけている。
人間の成長は正比例のグラフのようには行かないです。
常に「アンビバレンス(ambivalence)の状態です。
これは、心理学用語で、ある対象に対して、相反する感情を同時に持ったり、相反する態度を同時に示すことです。「両価感情」や「両面価値」、「両価性」などとも翻訳されるようです。が、そのまま「アンビバレンス」もしくは「アンビバレンツ」と使われますね。
青春とは、まさにこのアンビバレンツの極致といっていいかもしれない。
これを経て、落ち着いた「大人」になっていくのです。これは、生理的にいうとホルモンの働きなどが大人になる過程でバランスを崩しているのかも知れません。(反抗期が重なる)
さて問題に・・・・
4択の問題の場合は、これは違うというものが2つはあります。まず、それを落とします。
それは、ウとエです。
正解は、アかイ、どっち?
前述のようなことを前提として考えて、すぐに選択したのは「ア」です。どこに着目したのかというと「生命力」です。この詩のテーマは、生命力だからです(と私は考えています。命はアンビバレンツそのものです。生きていく先に死があるのですから)この詩のテーマは青春の生命力です。
しかしまてよ・・・その上の「春の訪れとともに芽吹き始めた」というのが引っかかります。これは隠喩として考えるなら、人にも他の生物にも「あり」の文ですが、隠喩を考慮しないならば動物的生命体ではなくて植物的生命体のことです。
これ、完全正当ではないな(聞かれた時には自信を持ってこれ、だよといいましたが(´ω`))
ムムム。じゃ イ か?
「春になって」体の内側からあふれ出す」はいい、ここは正しいと思います。
どこが違うかといえば「行動力」は違う。
青い春のまっただ中にある人は、行動はするかも知れないが、それは生命力に支えられての動きです。むしろ生命の本能に誘われてのうごめきに近い行動だと考えます。それがときに取り返しのつかない暴力になったりもする。
青い春の人たちの行動は往々にして内在して屈折して暴発することがある。
行動力という言葉の響きが持っているまっすぐで明るいものではない。
正解はないじゃないのよ。
ではつくります。
アとイを合わせます。
次が正解ではないでしょうか。
オ 春になって体の内側からあふれ出す生命力
以上。
水曜イッサ3グループの人たちに解説しました。
ア、イの両方が少しずつ正解ですね。
問5についてはまた次回にします。