ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

思い出のプログレ・アルバム#4 「幻の映像/PFM」

2012年09月22日 | プログレ
(原題 Photos Of Ghost )  このような典型的なプログレバンドがイタリアに!?というのが最初の驚きであった。

 当時、レコードを購入する際には行きつけのレコード店では試聴が可能だったので必ず聞かせてもらっていた。「幻の映像」は、1曲目を聞き終えた時点で迷わず購入を決定したほど、私を魅了したアルバムであった。そもそもは、ミュージック・ライフ誌の広告に、美しくメルヘンチックなイラストのジャケット写真と相反する髭面のムサイ(?)メンバー写真が載っており、何となく興味を引かれたのだ。ところが、その時同時にキング・クリムズンを脱退したピート・シンフィールドのソロアルバム「スティル」が発売となる旨も広告に掲載されており、乏しい小遣い制の子どもにとってはどちらを買うべきか選択を迫られる重大な状況であった。しかし、私はPFMを選んだ。そしてそれは大正解だった。

 プログレ好きの皆さんはご存じのように、このアルバムは自国イタリアですでにリリースされた2枚のアルバムの楽曲をもとにピート・シンフィールドをプロデューサーとして迎えて製作された。1曲目「人生は川のようなもの」の出だしのナイロン・ギター、フルート、チェンバロによる合奏には度肝を抜かれ、これはロックじゃない、バロックだ!と一瞬思ったのが、次の瞬間プログレの極意全開の展開となり、激しさと美しさが同居する演奏にもう涙。とどめがメロトロンの重厚なサウンド。言うことなし。2曲目が有名な「セレブレイション」。この曲は最初からノリの良いロックで(実際は土着的なイタリアの民謡が基本となっているらしいが)かつ中間部の叙情的な展開を持つ、まさにプログレ好きの心を鷲づかみにする名曲。実際、私の高校生の頃にバンドができたのも、皆この曲をやりたかったからである。その他の曲も時にはクラシック的に、時にはロック的にと静と動が入り乱れながら構成された名曲揃い。特に「ミスター9ティル5」でのフレービィオ・プレモーニの超絶ピアノ・プレイはすごい。そうした高度な演奏テクニックと優れた楽曲、そしてシンフィールドの作る独特のヴェールに包まれ、この「幻の映像」はイタリアのロックバンドの素晴らしさを世に知らしめた記念すべきアルバムなのである。

<追記> 「晩餐会の3人の客」の途中で、ハープのグリサンド音が入ってくるのだが、一体誰が演奏しているのかと長いこと気になっていた。クレジットにも一切記載がない。数年前にソフトシンセ音源でM-Tron というのを購入したときにわかったのだが、あれはメロトロンの音源に含まれている(今風に言うとサンプリングされた)ものだったのだ。40年ぶりにひとつの謎が解明。


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