
このアルバムではローランドのストリング・シンセサイザーが使われており、メロトロンとは違ったシャープなストリングス・サウンドを奏でているのも本作の味付けの一要素と思う。キーボードの進化は著しく、次作ではヤマハのCP80エレクトリック・グランドピアノが登場、そしてシンセサイザーはこの後ポリフォニック化され、バンドのサウンドも大きく変わっていくことになる。
手元のアナログ盤は国内初回のものと、UK盤の2枚。UK盤を入手するまでジャケットが薄いエンボス加工であることと、色のついた歌詞付きインナーが付属することを知らなかった。国内盤はこの頃もオリジナルに忠実ではなかったということだ。しかし、このアルバムで初めて歌詞の対訳がついたので、楽曲の理解を深めることができた。
さて、特に触れるべき曲がある。この時期に録音された Inside And Out である。これが実に良いのだ。アルバムには収録されず3曲入りEP盤としてリリース(写真はカナダ Atlantic EP1800 青色ディスク)された。前半の12弦ギターによるバラードは美しく、後半アップテンポに変わりシンセやギターソロが入るところもスリリングでカッコイイ。特にハケット先生のギタープレイは特筆に値する。当時のブートレグを聞くとライブでも演奏していたようだ。ジェネシスらしい曲でお勧めである。
そして、ハケット先生がスタジオ録音盤に参加したのはここまで。彼の脱退によりその後のジェネシスは違ったサウンドを作り上げていく。