ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

フォーカスのCDボックス・セット: HOCUS POCUS BOX 13枚組

2018年05月31日 | プログレ
久々にCDのボックス・セットを2種購入。その一つめはオランダのバンド「フォーカス」のHOCUS POCUS BOX。これは随分前から目を付けていたのだが、5000円を切る価格でベストを含む13枚のアルバムが網羅されている。
     

 フォーカスに関しては傑作のセカンド・アルバムMOVING WAVESを中心とした記事を過去に載せている(こちら)。それだけ思い入れの深いバンドであるが、私は彼らが70年代に残したアルバムしか聴いていなかった。その後、今世紀に入ってからトリビュート・バンドがきっかけで結成された新生フォーカスは全く知らない。Focus8からX(10)まで3枚リリースされているそうだが、改めてそれを聴いてみたいという気持ちもあった。そうした理由でこの格安ボックスを購入した。

 付属の英文ブックレットはバンドの歴史を大まかに述べている。中で、メンバーの交代に関する記述が興味深かった。まず、セカンド・アルバムMOVING WAVES時のベーシスト、シリル・ハーヴァーマンスは自分の演奏に全く自信が持てなかったらしい。他のメンバーのようなジャズ・クラシック的素養がなかったからだ。さらにギタリストのヤン・アッカーマンがベースのパートをほとんど弾くことができ、屈辱的な気分になった彼はバンドを去ったという。同じように、5枚目のアルバムHAMBURGER CONCERTで加入したドラムスのコリン・アレンも、バンドに合わないという理由でこの1枚だけで突然解雇された。ロック的なドラミングで結構私は好きだったのだが、今更ながらそんな事情を知った。

 さて、肝心の後期のアルバムであるが、唯一のオリジナ・ルメンバー、タイス・ファン・レアーが相変わらずの独特な歌唱を披露したり、テクニシャンの若手のメンバーが昔の名曲のフレーズを奏でたりと中々面白く聴けた。メロディアスな良い曲もあるので、これから聞き込むとさらにその良さがわかるかもしれない。

 言うまでもなく、70年代の作品はやはり素晴らしい!ちなみに一番お気に入りの曲は、Ship of Memories 収録のFocus Vである。そして、CDで持っていなかったMOTHER FOCUSを入手したことが一番嬉しい私である。

アナログ・コレクション: 帯付き国内アナログ盤アトール「夢魔」 ATOLL / L’ARAIGNEE-MAL

2018年02月24日 | プログレ
 以前にも日本のレコードやCD、本には帯がついていることに触れた。とりわけ海外アーティストによるレコードの国内盤「帯」は、日本人向けに作品の内容を一言で語る重要な役目を担っていると思われる。そこで、我が家の棚にある帯付き海外アーティストのLPを「ひとつかみ」紹介しようと思う。

 本日はフランスのロックグループ、アトールAtollの「夢魔」である。ヨーロピアン・ロックコレクション第2弾の1作としてキングレコードから79年に発売された。本作はアトールのセカン・ドアルバムで特にB面収録の組曲「夢魔」が素晴らしい。私は最初にこの曲を聴いたのは、以前紹介したFM東京の深夜番組「スペース・フュージョン」だったのではないかと思うのだが、とにかくフランス産の真にプログレな曲とその演奏力にノックアウトされた記憶がある。当然このレコードはすぐに購入した。

 アトールはVo,G,B,Key,Dsの5人編成である。このアルバムでは他にヴァイオリン奏者が参加し、テクニックと安定性のある演奏にさらなる表現力が加わっている。だが、何と言っても全編フランス語による歌唱が曲の摩訶不思議な雰囲気にとても合っているのである。ちなみにATOLLは環礁(環状に形成される珊瑚礁)のことでARAIGNEE-MALは「悪の蜘蛛」の意味。ジャケットのイラストと連動している。帯の紹介文は「イエスを超えたというフランスのNo.1バンド、アトール。この一枚を聴かずしてユーロピアン・ロックは語れない」。キングレコード洋楽制作部にいた?解説のたかみひろし氏の言葉かと思うが、私はそれほどイエスとの関連性を感じておらず、独自の叙情性と力強さを併せ持つオリジナルなバンドだと思う。しかし、聴かずして…は本当にそのとおり。特に組曲「夢魔」の冒頭は何度も耳にしたい美しさだ。

 それにしても70年代の終わりはこのようなプログレ作品がたくさんリリースされていたことに改めて驚く。ジェネシスが初来日したのが78年の11月、そして79年にはU.K.やキャメルが来日したからまだまだプログレ全盛の時だったとは思うが、そろそろパンクも台頭してきた頃ではなかったか。いずれにしても私にとっては良き時代の良き思い出の一枚である。
 (B面の演奏が終わった直後に、曲の最後の部分が一瞬不自然に繰り返し入るのが不思議。これはプレスミスなのだろうか??)

プログレ今日の1枚: MILLIONTOWN / FROST*

2018年01月04日 | プログレ
 先月は仕事が忙しく、一度もブログの更新ができなかった。気がつくとすでに2018年を迎えている。皆様、今年もよろしくお願いいたします。

 さて、昨年を振り返るとマイブームである中古レコード収集は変わらずで、特にイエスのFRAGILE US盤はその迫力ある音圧が印象的だった。プログレ関係では新譜としてはBIG BIG TRAINがコンスタントにリリースしていたのと、大御所KANSASのライブ盤が安定感ある演奏で素晴らしかった。その中で一番のお気に入りはSTEVEN WILSONで最新作のTO THE BONEは今もヘビー・ローテーションである。他に注目したのはビートルズのSGT.PEPPERのリミックスとビル・エヴァンスの未発表音源が2枚のアルバムとして発表されたことか。音楽的にはそれなりに楽しめた1年であった。

 そして新年第一弾のご紹介は2006年発表FROST*のMILLIONTOWN。アマゾン・ミュージックや動画投稿サイトを見ているとたくさんの未知のバンドに触れることができるが時々目(耳)を引くものに遭遇する。FROST*もそのひとつで、特にこのファースト・アルバムは曲がとても良い。各楽器の高度でスリリングな演奏に加えてメロディの叙情性が随所に現れ、これぞプログレという実感が持てる。アマゾンのレビューが高評価なのも頷ける。10年以上前にリリースされていたとは全く知らなかった。メンバーのジョン・ミッチェルは現在IT BITESでも活躍しているギタリストで、芸達者な人はバンドを掛け持ちながらも才能を発揮するものなのだと感心する。

 バンドはその後エレポップ風のサウンドに変化したそうだが、16年に発表されたFALLING SATELLITESの2曲目NUMBERSは80年クリムゾン風サウンドにポップさが加味されたノリノリの好曲である。アマゾンのプライム・ミュージックで聴くことができる。


思い出のプログレ・アルバム#11 ピンク・フロイド「狂気」 The Dark Side OF The Moon / Pink Floyd

2017年11月30日 | プログレ
 73年にリリースされた時、即愛聴盤となったアルバムである。最終的なトータル作品となるまで、何度もライブで演奏され試行錯誤が繰り返されたと言われていた。それだけに完成度の高いアルバムだと思う。ダイアログの挿入、効果音、シンセサイザーのシークエンス、変速拍子、途切れのない曲間など様々な試みの他に、サックスやバックコーラスの導入によりアメリカ的なポップさも加味された。中でも「虚空のスキャット」のジャズ的かつ美しい旋律での叙情性は私の感性を直撃した。

    
 それにもかかわらずレコードを買い求めたことがなかった。従って本ブログの「思い出のプログレ・アルバム」では過去に紹介していない。当時、FM放送で全曲が流れ、カセットテープに録音し聞いていたのではないかと思う。もしくは友人から借りたかのかもしれない。つたない小遣いは私にとってクリムゾン関係が優先で、同時期にリリースされた「太陽と戦慄」の方を購入したのだ。その後も一枚は手元に置きたいと思いつつ、ようやくアナログ盤を入手したのは2011年の9月である。リマスターされた音源での復刻盤で、完備した付属品の他に新たにサイケ風に装飾されたプリズムのポスタ−と高音質MP3ファイルのダウンロード・コードがついていた。

    
 一方、CDの方は最初の紙ジャケ盤を購入していたが、これはA式の厚紙ジャケットで、この度新たにE式紙ジャケが発売となった。帯も含めて発売当時を可能な限り再現したという国内盤仕様を無視することができず、結局購入。(ついでに紙ジャケの厚さの違いを写真で。このようにE式仕様で再発売された紙ジャケCDはレッド・ツェッペリンやEL&Pにもあり、結構買わされました。)音源的にはSACDサラウンド版も持っているので今更との思いがあったが、到着して聞いてみると2011年リマスター音源を使用したとのことで、最初の紙ジャケ盤より少しばかり音圧が高い。低音の厚みもあり予想外に良い音だった。
    

 本アルバムは付属品が豪勢なのも特徴だ。復刻LPも紙ジャケCDもサイズ違いではあるがその辺は充実しており、新たな紙ジャケの方も写真のとおり。
    

 月の裏側、プリズム、七色の光、ピラミッド、音のコラージュ、笑い声、心臓音、時計の音、「月に暗闇はない、あるのは暗黒のみ」ダイアログ、ブラック・ミュージック、ジャズ、スキャット、ロック、叙情性、そしてヒプノシスのアートワーク。これらがこのアルバム対して思いつく言葉だ。トータル・コンセプト・アルバムとして、サウンド面をひとつにまとめたエンジニア、アラン・パーソンズの手腕も大きかったのだろうと思う。音源を手に入れたのは遅かったが、過去にこのアルバムとリアルタイムで接することができたことは大きな喜びである。

ライヴ・アット・ポンペイ/デビッド・ギルモア(ブルー・レイ盤)

2017年10月07日 | プログレ
 この新作は映像版で見るべきである。2016年7月7日と8日に世界遺産となっているローマ時代の石造りの歴史的建造物「ポンペイ円形闘技場」で行なわれたこのライヴは大スペクタクル映像作品である。新旧ピンク・フロイドナンバー、ギルモアのソロ作品がバランス良く選曲されていて、その演奏はとても安定している。その中で見られるステージ上の円形スクリーンでのバリライト、あるいは会場中に走る多色のレーザーなどの照明効果は、かつての新生ピンク・フロイドp.u.l.s.e.ステージを彷彿させながらも、石造りの歴史的建造物全体がイルミネーション化し、久しぶりに画面に釘付けとなってしまった。

 ふと見ると、一人のキーボード奏者はグレッグ・フリィンゲインズではないか!マイケル・ジャクソンやTOTOのサポートなどで超有名な彼がギルモアのライブステージに立っているとはとても意外だったが、フロイド往年の名曲も見事に演奏している。そしてギルモア本人も長年の愛器であるブラック・ストラトキャスターに加えて、スティール・ギター、55年製の見た目が年期の入ったフェンダー・エスクワィアー、ギブソンのアコギ、ナイロンギターなどを駆使し、往年のギターサウンドを奏でている。5.1chサラウンドとしては、ライヴらしい広がりのある空間処理をしていて、時々入るダイアログは完全にリア音声。

 今回バックコーラス3名のうち一人が男性で「虚空のスキャット」では今までにない男声スキャットが聞かれたのも斬新だ。圧巻は終盤のRUN LIKE HELLからTIME~COMFORTABLY NUMBで、ここで会場が一体化した光の演出には「狂気(喜)」すること間違いなし。

 ピンク・フロイドとして同じ場所で演奏したのが45年前。今回このような歴史的遺産の中で聴衆を集めライヴを行うことには多くの課題があっただろうと思うが、この場所で新たな歴史を刻む見事な演奏となった。やはり、この新作は映像版で見るべきである。

スティーヴン・ウィルソン新作 “To The Bone” ブルーレイ盤

2017年08月30日 | プログレ

 スティーヴン・ウィルソンの5枚目のソロアルバム。本ブルー・レイ盤にはアルバムのハイレゾ96/24ステレオ・ミックス、同じく96/24ステレオのインストルメンタル・ミックス、そして5.1サラウンド・ミックス音源が収録されている。さらにビデオ素材としてはメイキングのドキュメンタリーとSong of I、PariahのPVを見ることができる。前作のブルーレイにあったmp3等ファイルのダウンロード・コードは今回は付属していない。
 さて、新作として11曲が収録されている。私は彼の全てのアルバムを聴いているわけではないが、今回もSWらしい曲が揃っていると思う。1曲目のTo The BoneからSW節全開で、後半のプログレ的な展開に早速のめり込むことができた。特に耳を引いたのはPermanatingで、とてもポップなアレンジの曲である。ビートルズ的な、いやビートルズの遺伝子を持つジェフ・リン的なサウンドでとても印象に残った。その他一度聴いただけで気に入った曲が多数あり、安心してSWワールドに没頭することができる。歌詞の内容を紐解きながら、繰り返し聴きたくなるアルバムだ。

 ドキュメンタリーでは録音の様子が記録されている。スタジオと思われる場所には楽器や、アンプ、エフェクターなどが山積みになっており、自ら楽器を弾く者にとっては興味を引かれるはずである。ドラマーのJeremy Staceyがスネヤ類が置かれている部屋を見て、とんでもないビンテージが揃っている!と驚く場面もあった。小綺麗なスタジオではなく、機材が散乱している普通の家のような場所でこのような作品が生まれたと思うと、とても不思議な感じがする。宅録をしている者にとっては励みになるのではないだろうか。

 なお、5.1サラウンドがブルーレイ購入の目的だったが、それほど派手な音の移動等は聞かれず、必要最低限の空間作りという印象である。まだ1度しか聴いていないので今後新たな発見があるかもしれない。

<追記>
 CDの方も購入し、さらに何度も聴いた。最初は気がつかなかったが、ハーモニカの音が随所“攻撃的”な音処理で入っており、このアルバムの特色のひとつであろう。ロック調だが想定外のコード進行がプログレする People Who Eat Darkness, 静かで美しい Detonation, ミサのような合唱が効果的な Song of Unborn などは頭から離れなくなった。それ以外の曲も含め、全曲が素晴らしい。完全にヘビーローテーションになっている。

アナログ・コレクション: エマーソン・レイク&パーマ−4枚のアルバム

2017年07月14日 | プログレ

 暑い!北海道では10日間連続真夏日という20年ぶりの暑さとのこと。札幌も今日は33度ほどあったそうで真夏日を記録した。大通公園のビアガーデンは来週開園だから、ちと早い真夏の到来である。そんな中夏になると思い出すことがある。エマーソン・レイク&パーマーの初来日が1972年の7月、ちょうどこの時期で、それに伴って来日記念盤として発売された4枚目のアルバム「トリロジー」を愛聴していたことである。あの頃も暑い夏だった。記憶が定かではないが、それまでに「タルカス」や「展覧会の絵」は聴いていたはずだ。だが、初めて買ったEL&Pのレコードは「トリロジー」だった。(詳しくはここで。)その後「タルカス」も購入したが、好きなバンドであったにもかかわらず、なぜか揃えたのはその2枚のみ。

 そしてこの度、狸小路(たぬきこうじ)にあるFresh Airさんの店頭ワゴンセールにて、ファースト・アルバムと「展覧会の絵」を見つけ購入した。どちらも国内初回盤(さらに「展覧会」の方は帯付き)で、記憶が40数年前にタイムスリップ。多少汚れがあるが許容範囲のジャケットを見て、そうそう、こんな作りをしていた!などの思いが蘇る。そして針を落としてみると盤の音質はなかなか良い。特にファーストの方は1曲目「未開人」から厚く重たいサウンドが聞かれる。2枚とも音飛びやノイズもなくアナログサウンドを十分楽しむことができた。

 すでに3人中2名が鬼籍に入ってしまったことが信じられない自分だが、リアルタイムを共に生きたことに感謝しつつ、あとは「恐怖の頭脳改革」がそろえば私としてはひと段落である。その彼らの5枚目は超ビッグになったELP待望のアルバムで、リリースされた時には楽曲の素晴らしさ(=良さ)もあり爆発的に受け入れられたものだった。実はワゴンセールにてその国内盤もあったのだが、買わなかった。ここまで来たらぜひ帯付きを探し求めたいと思ったのである。

アナログ・コレクション:プライベート盤LPジェネシス …live・from the mouth of the monster…(2枚組)

2017年05月11日 | プログレ
 ジェネシスのフィル・コリンズ・ヴォイス時代ブートレグ盤として紹介したい次のアルバムがこれ。録音が1978年10月のシカゴで、翌年初来日した彼らの「そして3人が残ったツアー」の模様を聴くことができる。つまりツアー・ギタリストのダリル・スターマーが初めて加わった演奏と曲目として、日本公演と重なる内容なのだ。音質もサウンドボード録音で良い。日本公演で演奏されなかったDANCING WITH THE MOONLIT KNIGHTなどもここではプレイされており、大変聴き応えのあるアルバムだ。

 記憶がはっきりしないのだが、恐らく来日公演に行った後で購入したと思う。その頃にはジェネシスのコピー・バンドもやっていたので、このアルバムをメンバーに貸してコピーの参考にした。特にRipplesなどは2台の12弦ギターの重なり方を解読するのに大いに役立ったものである。当時、何度も繰り返し聴いた貴重な音源である。(後の94年にこの公演の全曲版CDがイタリアのレーベルから出ている。)

アナログ・コレクション:プライベート盤LPジェネシス WHITE MOUNTAIN U.K. TOUR 1976

2017年05月07日 | プログレ
  

 ジェネシスのフィル・コリンズ・ヴォイス時代のブートレグ盤として名作なのはまずこの一枚。1976年のA TRICK OF THE TAIL ツアーとして、ドラムスにビル・ブルフォードが参加した時期のもの(公演場所・日付等詳細の記載なし)。これを購入した当時はオフィシャルのライブ・アルバムSECONDS OUTがリリースされていたが、ブルフォードの演奏は1曲のみの収録であった。そのため店頭でこれを見つけた時には即購入。サウンドボード録音のため音質も良く、また演奏が素晴らしい。特に初期のアルバムTRESPASSに収録されていたWHITE MOUNTAINが取り上げられていて、この曲の良さを再評価することになった。さらにクレジットにはないがFLY ON A WINDSHIELDが歌詞なしのツインドラムスで演奏されているのも感動的だった。
  
 A面B面びっしりと収録されているがLP1枚では全曲をまかないきれないだろう。そのため後に同じ日の音源のCD盤を探したが、「恐らく」これと思われるのが、ロンドンのハマースミス・オデオン、1976年7月10日録音盤。全13曲が収録されている。

アナログ・コレクション:プライベート盤LPジェネシス AWED MAN OUT-THE 1975 BRITISH TOUR

2017年04月29日 | プログレ
  
 ジェネシスの「幻惑のブロードウェイ」ツアー・ライブ音源の決定版はこれだと思う(Wembley Arena, London, UK, April 15 1975)。英国BBCの放送が元になっているのだが、演奏が素晴らしい。ゲイブリエルの歌唱もとても迫力があり耳に残る。全曲収録となっていないのが残念であるが、...EMPTY BOATSのようにとてもマイナーな曲を聞くことができ、私はこれをきっかけにこの曲が好きになった。このブートレグ盤も学生時代に西新宿で買い求めたものだが、後年確かNHK-FMでも放送したことがあり、その時はWATCHER OF THE SKIESが含まれていた。(エアー・チェックしたカセット・テープが残っている。)なお、同じライブを客席から録音したと思われる音源がこちらにアップされている。
※関連記事にどうぞ



アナログ・コレクション:プライベート盤LPジェネシス THE BEDSIDE YELLOW FORM (1974 CANADA LIVE)

2017年04月09日 | プログレ
  
 ジェネシスのブートレッグ盤はCDでは何枚か持っているし、今は動画サイトでもたくさんのパフォーマンスが公開されている。良い時代になったものだ。しかし、70年代の頃はこのようなプライベート盤だけが頼みの綱で、西新宿にひっそりある専門店に時々顔を出したものだった。ジェネシスではGNESIS LIVEというオフィシャル盤がリリースされていたが、そこに収録されていなかったアルバム「月影の騎士」の曲やSUPPER'S READYのライブ演奏を聴きたくてこの盤を購入したと思う。改めて聞き直すと客席から録音した音の悪さが目立つが、演奏のみならず曲前のピーター・ゲイブリエルの語りを聞くことができ、とても貴重な一枚であった。すっかりジェネシス・ファンになっていた私は、その後の大作「幻惑のブロードウェイ」ライブのブートレッグ盤などを求めて、西新宿には頻繁に通うことになっていった。

アナログ・コレクション:プライベート盤LP:キング・クリムゾン「"UN REVE SANS CONSEQUENCE SPECIALE"〜1973アムステルダム・ライブ」

2017年03月25日 | プログレ
  
 時々手元にあるアナログ盤(レコード)をアトランダムかつ簡単に紹介しようと思う。まずは、ご存じ名演と言われているクリムゾン1973年のアムステルダム・ライブを収録した1枚。元は英国BBCで放送された音源と思われる。学生時代に久しく探し求めてようやく購入した念願の一枚でもある。後年、このパフォーマンスは「ザ・ナイトウォッチ」というアルバム・タイトルでオフィシャル・リリースされた。そのオリジナル音源はあまりにも音が良すぎて、私としてはこのブートレグ盤のうねりのある音質の方が圧倒的に迫力に満ちていると思う。

アラン・パーソンズ・プロジェクト「怪奇と幻想の物語〜エドガー・アラン・ポーの世界」〜Blu-rayにはハイレゾ・ファイルDLクーポンが封入

2017年02月04日 | プログレ
 76年リリースのAPPファーストアルバム。私はこの作品をプログレと捉えている。特にB面のクラシック風なオーケストレーションを施された15分に及ぶ「アッシャー家の崩壊」はストラビンスキーあるいはラヴェルの音楽性を感じさせると同時に美しい旋律を持ったロック(それもバンジョーなども使用した)作品が共存した組曲で当初からとても気に入っていた。その作品を引き継ぐ最終曲のTo One In Paradiseも少年コーラス隊を効果的に導入した美しき佳曲で、まさにコンセプ・アルバムと呼ぶにふさわしい作りである。アラン・パーソンズはもともとレコーディング・エンジニアだったそうで、このアルバムを初めて聞いた時にとても良い音の録音だなと素人ながらに思ったものである。

 私にとってはそうした隠れた名盤の位置づけであるため、手元には3種類のメディアがある。リリース当時のUK盤LP、新たなナレーションが加わりボーナストラックも大幅に追加された2枚組CD、そして最近購入した5.1サラウンド収録のBlu-ray盤である。どれもそれなりに楽しめるのであるが、特にサラウンドは音が四方にぐるぐる回るという凝った作りではなく、単純に音の広がりを感じさせるミックスだった。そしてこれにはサイトからハイレゾwavファイルをダウンロードできるクーポン・コードが封入されているのが嬉しかった。こちらのファイルは96kHz/24bit仕様だが曲毎ではなく40分1ファイルの仕様なのがちょっと扱いづらいのだが。

 次作の”I Robot”もSF風の作りで結構好きだったが、その後はポップ路線が前面に出てヒットチャートを賑わすことになり、耳が遠のくようになってしまった。その意味でもこのファーストはとても忘れられない作品である。


【番外編】ショック!ジョン・ウエットンの訃報

2017年02月03日 | プログレ
 一昨年はイエスのクリス・スクワイアー、昨年はEL&Pのキース・エマーソンとグレッグ・レイクと、往年のプログレバンドの重鎮が死去した。そして、先月末にはジョン・ウエットンの突然の訃報が、、、クリスもグレッグもジョンも皆60歳代。まだまだ音楽活動ができただろうに、本当に残念でならない。ウエットン氏については、キング・クリムゾンへの加入が一番印象に残るが、その後もロキシー・ミュージックやユーライア・ヒープ、ウィッシュボーン・アッシュなどにも参加し、プログレのみならずロック・ミュージック全般にわたり存在感を示した。最近でもスティーブ・ハケット・バンドへのゲスト参加、そしてエディ・ジョブソンとのU.K.再現ライブでの活躍などは先月のこのブログでも紹介したばかり。1月11日の本人の声明では、2月のCruise to the Edge(クルーズ船でのロック・フェスティバル)と3~4月に北米で開催するジャーニーとのジョイント・ツアーに治療に専念するため参加を断念したこと、その代役は仲間のビリー・シャーウッドが行うこと、年の後半のエイジアのステージには必ずカムバックを果たすことなどが盛り込まれていた。(http://www.johnwetton.com/より。写真も)私としても先月の当ブログにてU.K.来日時のジョンの勇姿に思いを馳せたばかりだったので、少なからずショックである。心より冥福を祈ります。

カセットテープ・コレクション 〜 キャメル’79年初来日公演とFM放送と北玲子氏

2017年01月29日 | プログレ
 1979年1月23日、新宿厚生年金会館にて行われたキャメルの初来日公演が3月にFM東京にてオンエアされ、その時にナレーションを担当したのが北玲子さんであった。

 同月16日、渋谷公会堂におけるライブに私も出向いた。当時キャメルは「ブレスレス」というアルバムを発表し、そのツアーで初来日した。メンバーはアンディー・ラティマー( ギター、フルート、ヴォーカル )、アンディー・ワード( ドラムス )、リチャード・シンクレア( ベース、ヴォーカル )、デイヴ・シンクレア( キーボード )、ヤン・シェルハース( キーボード )、メル・コリンズ( フルート、サックス )の6名。あえて言うならば、キャメル+キャラバン+キング・クリムゾンが合体したメンバーでの編成。キーボードのピーター・バーデンスはもういなかったが、私はクリムゾンの関係でメル・コリンズ、そしてハットフィールド&ザ・ノースにいたリチャード・シンクレアをこの目で見られるだけでも嬉しく、大いに期待した。もちろんそれは素晴らしいライブであった。ツイン・キーボードの迫力、メルのジャズよりのサックス、リチャードの独特のヴォーカルとフュージョンチックなベース、MCも務めたアンディ・ワードのドラム、そしてアンディ・ラティマーの哀愁に満ちたギターなど大満足のライブだったのだ。

 後日、その模様がFM東京で放送されることになり私はとても楽しみにしていた。いよいよその日が来て、1曲目はブレスレスから「エコーズ」。ライブの興奮がよみがえる。ところが2曲目に入る前、パーソナリティの説明ではインストルメンタルの曲に言葉による物語を加え、解釈を施した、いうなら一つのお節介を試みてみた、ということで、「テル・ミー」〜「スノー・グース」の演奏のバックに、小説版スノーグースを読み上げるナレーションが重なって入って来たのだ。ライブの再現を望んでいた私にとっては本当にとんでもないお節介で、怒り心頭の状況に陥ってしまった。カセットテープにエアチェックをしたものの、それから数十年も耳にすることはなかった。

 今回押し入れから引っ張り出して来たカセットの山からこのライブ・テープを見つけて聴き直した時、ナレーションは後に同じFM東京にて開始された番組「スペース・フュージョン」のナレーターの北玲子さんだったということに気がついた。30数年経って聞くとすでに怒りの感情はなく、郷愁に満ちた新たな気持ちが込み上げてきた。恐らく北さんの声や語り方が好きな方々はこのオンエアが至福の時となったに違いない。今私もそういう気分になっている。

 それにしても驚いたのは、すでにこのこと(キャメル・ライブ放送に北玲子氏のナレーション)を話題にして動画サイトに上げている人がいるということ。世の中は広いと思う。