路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

他人の二人

2010-10-27 | 『灰縞さん・白石さん・栗坊・きつね』






自宅から見下ろせる、とあるお宅の屋根に

いつも猫たちがたむろする屋根がある。



まるでローテーションでも組まれているかのように

日に寄って違う猫がいたり、連チャンで同じ猫が

ゴロゴロと寝ていたりする。

ある程度の距離(パーソナルスペース)を保って

ポツン、ポツンという具合に。

勿論、極端に熱い日、寒い日や雨の日は別だが。





『白石さん』の子供の『白子』を見掛けないなと思っていたある日、

屋根の上で白い猫と『栗坊』が寄り添って眠っていた。

『白子』かと思っていたが少しサイズが大きい。



良く見ると、『きつね』だった。



『きつね』はちょっと可愛そうな奴で、

たまたまなのか、運が悪いのか、いつも貧乏くじを引く

人に危害を加えられやすい猫で

体のあちこちに不信な傷が沢山ある。

得に顔、猫の可愛いふぐふぐ(髭のふくらみ)が

右側だけ無い。

どんな風に傷付いたのかは解からないが

人間を異常に嫌う癖は、その辺りに原因があるのだろう。

夜に自転車でご飯を持って来てくれる女性がいて

以前、その人には結構懐いてはいたが、

不運が高じて、またバカな誰かに悪戯されたらしく

その女性も再び警戒されているみたいだ。




いつも独りで、群れるタイプの猫ではなさそうだったが

親離れしたばかりの寂しん坊の『栗坊』とは何故か波長が合うらしく

全くの他人(他猫)なのに互いを舐め合い、

落ちる寸前の西日を全身に受けながら

やがて来る夜の冷たい風に備えるように

互いに温め合って眠っていた。




こういう光景を見ると、何だか解からないけど

やりきれなくて悔しくて、バカみたいに泣きたくなる。

弱い者は弱い者同士、それでも、寄り添って力強く生きている。







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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
抹茶こさんへ (rojineko)
2010-10-30 21:18:51
動物は虐待されても、
人のように「自殺」は考えないんですよね。

最期の瞬間まで生きる事を考えている。
だからこそ、余計に哀しくて悔しくてやるせない気持ちになるのかも知れません。
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願い事 (抹茶こ)
2010-10-30 01:34:41
こんばんは。

言葉に出来ないくらい
悲しくて、悔しくて、やるせないです。

虐待をなくすにはいったいどうすればいいのだろう・・・

動物たちはこの地球上から、人間がいなくなればいいと思っているのかもしれないですね。
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花ママさんへ (rojineko)
2010-10-28 11:55:23
動物を虐待する人が何故か絶えないのは
景気の悪さだけではないと思います。
人の中にある何かが壊れているのでしょう。

やつあたりされた『きつね』も不運ですが、
こんな風に虐められているのは『きつね』だけではないと思うのです。
だからきっと、訳がわからないけど悔しかったのだと思います。
返信する
Unknown (花ママ)
2010-10-28 01:31:26
悲しいことです。
胸が苦しくなりました。
愚かな人間を許せません!

でも、寄り添える相手がいるなら・・・・
と思ったのですが、まだ、続きが?
きつねちゃんが、また、優しい人に会えて、心を開いて、幸せになりますように。

すべての野良ちゃんが幸せになりますように。
寒くなって、ホントに心配になります。
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anooshkaさんへ (rojineko)
2010-10-28 00:15:44
このお話には続きがあります。
一見、微笑ましい光景の夕日のくだりが
物悲しい描写になってしまった理由が
更に解かると思います。

外で暮らす猫たちには厳しい季節になろうとしています。冬毛を生やすのには時間が足りない位に急に寒くなる今年の冬は特に心配になりますね。
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全ての猫を保護したい (anooshka)
2010-10-27 22:50:24
読んで涙しました。
特に、

>落ちる寸前の西日を全身に受けながら
>やがて来る夜の冷たい風に備えるように
>互いに温め合って眠っていた。

のくだりは胸に響きます。

動物虐待については、
たとえどれ程嫌いだろうと
自分より弱い生き物に危害を加えることで満足するなんて、
もう全く理解できないし、
はらわた煮えくり返る思いです。

急に寒くなってきました。
きつねや栗坊、
そして我が家の周辺の猫達の健康が気がかりな季節がやって来ます。









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