路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

一匹狼

2008-01-04 | 『影虎』

二級河川の橋の横には都市ガスの太い配管がある。

その上を綱渡りの様に歩いて渡って来る姿は、威厳に満ちた虎の様。

夜にしか姿を見せない雄猫『影虎』は、余り鳴かないが、顔に似合わず声は可愛い。


川沿いで『小鉄』がいつも餌を貰っている所へ、二~三日に一度の頻度でやって来る。

野良暦の長さを物語る体の汚れ具合、その割りに人の言葉が解る様子で、

「食べて良いよ」と言われないと口を付けない。

食べ終えるとくるりと向きを変え、少し歩いた所で一度振り向き一礼し、

再び橋向こうへ帰って行く……礼儀正しさは、まさに武士だ。



橋向こうからやって来るこの先輩猫を怖がってか、

『小鉄』は気付くと道の向こうへ逃げ、こっちの様子をじっと伺っている。

『小鉄』と比べて顔の大きさが全然違う。

体も大きい。

何歳位なんだろう…野良猫の寿命は長くて三~四年、『影虎』は優に十歳は超えていそうだ。


最近は人も猫もユニセックス化が進んでいるのか、性別をぱっと見で判断するのが難しくなった。

その点、昭和の猫というか、

…昔の雄猫はやたら顔がデカイので見間違える事は余りなかった気がする。

『影虎』もきっと人間だったら、鬘の似合う時代劇のトップスターになれたかもしれない。

「座頭市」とか似合いそうだ。



残念ながら、最近では二~三日の逢瀬もままならない。

橋向こうの何処かで、どうか達者でいて欲しい。


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