路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

雲の糸

2011-06-15 | 『灰縞さん・白石さん・栗坊・きつね』






沖縄は梅雨明けしたというのに、

九州北部は連日の長雨で

少々うんざりしていた。



長雨にストレスを感じるのは

何も人ばかりではない様で、

極度に濡れるのを嫌う猫たちにとっては

食糧調達が出来ない日が続く、

ある意味、死活問題でもある。

そんな梅雨の中日には、

腹を空かせた猫たちが、少ない陽を浴びる為に

濡れた地面を厭わずに、外を歩いていたりする。



そう言う私も、まとめ買いをするべく

買い物に出ていた。

昨夜の明け方からの土砂降りで、

漸くあがった雨は路面にいくつも水溜りを作っていた。



それを避けながらの不自然な蛇行を繰り返す帰宅途中、

『灰縞さん』に出会った。

彼は私に会えたのを喜んでいたのか、

雨が降った事(私が降らせた訳ではないが)を怒っているのか、

「ニャーォ」と「シャーッ」を交互に繰り返し

愚痴とも不満ともとれる鳴き声をあげながら

私の周りをグルグル歩き回った。

何を訴えているのかは解からないが、

「うん、うん。そうだね、雨は嫌だよね。」と、

声を掛けながら撫でていると

「シャーッ」の声が減っていった。




翌日、梅雨の中日はかろうじて一日続いた。

昨日と同じ場所で今度は『白石さん』に出会った。




すると、不思議な事に『白石さん』は

真っ直ぐに私の足元に擦り寄って来て

「ニャー」と小さく鳴いた。

気位の高い彼女はいつも私が手を出しただけでも激怒するのに、

余程この長雨が辛かったのだろう。

「なりふり構わず」な姿が、少し切なかった。



思わぬ窮地や、過度なストレスは

穏やかな人を怒りっぽくし、気位の高い人を弱らせる。

人と猫で決定的に違うのは、「自ら命を絶つ事」と

無意味に「互いを殺し合う事」かも知れない。




空から落ちた幾千、幾万の雲の糸は決して天に続く道ではないが

我々の命を繋ぐ「恵み」でもある。









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