路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

シーバのヒト

2016-01-08 | ★ほんの日常





いつも正月は人が少なくて猫の撮影にはもってこいなのだが、

今年の正月は何だか正月らしくなかった。

元旦からちらほら人が外にいたり、

二日目には普通にスーパーで買い物してる姿を見ると

何だか、正月らしさのかけらもない。




今年もちょっと運動がてら撮影に行った時の事、

『クロアン』に出くわす辺りで撮影していると

スーパー帰りのご婦人が足を止めた。



「こんにちは、猫好きなんですか?」



そんな会話から始まって、

実はこの辺りで『タンザ』を物凄く可愛がっていたのだが、

最近めっきり姿を見なくなったので悲しいと話してくれた。

やっぱりその方も猫好きらしく、

この界隈に出没する猫の顔をしっかりと覚えている。



私が知っているのは『きなこ』がちょと離れた場所で

前足を怪我していた事くらいだが、『タンザ』の行方は解らない。

『タンザ』も『きなこ』も雄なので、行動半径は結構広い。

年頃になれば、雌を求めて旅にも出るだろう。

割と懐こい性格をしていて、人に付いて行ったのかも知れない。

色々と想像が巡るが、真実は知る由もない。

唯一の救いは、この界隈には結構な割合で猫が好きな人が多く、

食べるには事欠かない事位だが。





目の前で誰かが置いて行ったカリカリを食べる『クロアン』と

必死でスリスリする子猫の姿を見ていると

その女性が鞄をごそごそして私に何かを手渡した。



個食パッケージの高級猫ごはん、シーバだった。

いつ『タンザ』に出会っても良いように、

いつもバッグに忍ばせているのだろう。




「これ、あげて下さい。」




そう言うと、女性はすっと立ち去った。

彼女の後ろ姿を見ながら子猫を撫でていると、

猫好きのご近所さんがベランダから顔を出した。



「アナタに、偉く懐いてるね。」

「いいえ、初対面ですよ。」






手に伝わる子猫の温もりと、女性がくれたシーバの小さな包みが

殺伐とした正月に少しだけほっこりさせてくれた時間だった。











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