ラグランジュ・ポイント

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小学館新人コミック大賞

2017-03-19 23:36:35 | まんが・アニメ

『はくし病』
可愛らしい絵柄でグロをやるというギャップは良いが
救いがなさすぎる。作者のサディズムのようなものを感じる。
投稿時点で、画力もストーリーもプロ級だと思うが、
こういう人も平然と混じっているのが同人界隈の面白いところ。

『鉄壁女子』

オーソドックスな話ながら、絵も構成も上手い。
青春ラブコメとして普通にどっかの雑誌に載ってそう。
作者、これが描けるなら、他のテーマでも汎用的に
高レベルな作品が作れそうな気がする。

『宇宙人吉田の背徳儀礼』

一応SFというくくりにはなりそうだが、シモネタ要素の強いラブコメ。
週間少年誌に載せるようなライトな作風ながら、心の機微を
なかなか巧みに描き出している。

『雨男晴れ女』
投稿作品、ラブコメ多いな。王道ながら描きやすいのか。
僕が単にラブコメ好きなだけか。選者もコメントしてるけど、
確かに心がほんわかする。あんまり人生過酷な目に遭ってない作者
だけが描くことのできる性善説に立った優しい世界。
そういう漫画家が一定数は居るべきだと思う。
てか作者、東大文学部卒か。天は何物も与えるんやなあ。
連載作品、軒並み面白い。天才と呼ぶのは違うと思うし、
アホみたいに何でも器用にできる超人なのかな。何なんだこの人は。

『ハッピーニューイヤー』
良い。コンパクトかつ澱みなくストーリーが纏まっており、
他愛無いような会話にもスパイスが効いている。
化粧と素顔、本音と建前、低賃金のバイトと売春、
鋭い二項対立が人生の本質を炙り出している。

『ミサキ』
自らをも騙す多重人格っていう設定はありきたりだと思うが、
淡々としていながら、ウィットのあるやりとり、非情なラストシーンなど、
ウチヤマユージっぽさが見られて好き。あっと驚く意外性のある作品は
読んでいて楽しい。

あと、山本崇一郎の投稿作も読めて楽しかった。(駄作だったけど)

ところで、選者である漫画家の先生方、優秀作であっても
けっこう「佳作」としか取り上げてないし、漫画が描けることと
漫画批評が出来ることはあまり関係ないのだなあと。
出版社の予算の都合かもしれんけど、明らかに他より抜きん出ているのに
佳作という率が高すぎる。大勢に売れる商品としての価値と
作品の面白さは必ずしも一致しない、という事かもしれんけど。

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