鹿児島県を中心に宮崎,熊本県に出店する地域スーパー・タイヨーの動向が注目される。同社は,昨年7月、経営陣による株式買収、いわゆるMBOで大証二部及び福証の上場廃止に踏み切った。最近は,セブン&アイ・ホールディングスとの「資本業務提携」が取り沙汰されている。オーナーの清川和彦社長は,「同業大手との資本提携や保有株式の売却は有り得ない」と断言しているという。また,三井住友銀行から155 億円の融資を受け、MBOを行った経緯からして,「身売り」はにわかには信じ難い。
では,なぜ,こんな憶測が流れたのか。問題の背景は,タイヨーのみならず九州のスーパー地域スーパーは,全国展開する大手スーパーとの競争激化から,軒並み減収,もしくは売上が伸び悩みにある。 加えて,人口減少と高齢化,さらには過疎化に伴う市場の縮小という,厳しい経営環境にある。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計によると,鹿児島県の全45市町村の人口は,138万8852人と,2005年と較べ20.82%減となる。県下全市町で人口は減少する見通しであり,最も減少が著しいのは南大隅町で,2005年の約半数の52.2%に落ち込むと予測している。
参考までに,これまで,このブログで取り上げてきたタイヨーの経営動向,さらには同社が地盤とする鹿児島県の商業,そして九州における流通業界の動きに関する記事の一覧を,以下にリストアップする。
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┗■ タイヨーの動向に関する記事
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⇒⇒ 九州の流通業界 注目される動き・2 「M&A,タイヨー,セブンイレブン」 2014-03-05
⇒⇒ 鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣のMBO成立」・3 2013-11-03
鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣がMBO」・2 2013-10-22
鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣がMBO」・1 2013-10-20
⇒⇒ 鹿児島のネットスーパー タイヨー/ダイエーが競い合う 2013-10-20
セブン-イレブンの鹿児島進出で大苦戦のスーパー「タイヨー」・1 2013-07-04
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┗■ 鹿児島の小売業に関する記事
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・知恵に長ける 宇宿商店街振興組合の取り組み・3 2013-06-06
・知恵に長ける!! 鹿児島「宇宿商店街振興組合の取り組み」・2 2013-05-15
・知恵に長ける!! 鹿児島「宇宿商店街振興組合の取り組み」・1 2013-05-13
鹿児島国際大学での集中講義を終えて ーマーケティング論・15 「A-Zスーパーセンター」④ 2011-09-20
鹿児島の誇れる企業 山形屋 3 2010-10-29 ・
鹿児島が誇れる小売業 山形屋 スーパークッキー(薩摩川内市) 1 2010-10-19 ・
マルヤガーデンズにグッドデザイン賞 - コニュニティ発想が評価される 2010-10-08 .
セブン-イレブン鹿児島出店に関連して HCコメリの動向-1 2010-10-05 .
鹿児島地盤のミドリ薬品 マツモトキヨシHDの傘下入り 2010-04-02
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の価格調査-千葉県八千代市のスーパーと比較 3
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の価格調査-千葉県八千代市のスーパーと比較 2
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の価格調査-千葉県八千代市のスーパーと比較 1
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の事例を通じての問題提起6 住みやすく暮らしやすい鹿児島づくり
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の分析を通じての問題提起4 住みやすく暮らしやすい鹿児島づくり
・鹿児島のスーパー「A-Z」社 3 ー 県経済界への貢献・功績 大
・鹿児島県のスーパー「A-Z」社の事例分析を通じての問題提起 2
・鹿児島県のスーパー「A-Z」社の事例分析を通じての問題提起1
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┗■ 九州における大手小売業の動向
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コスモス薬品,純利益14%増と業績好調 2014-04-16
九州の流通業界 注目される動き・1 「JR九州,ケンコーコム,プレナス,シャトレーゼ,コジマ」 2014-03-03
九州流通業界 「食品スーパーを概括-1」 2014-02-06
九州流通業界のいま・これから No.2 「「マックススバリュ九州」 その2 2013-11-07
九州流通業界のいま・これから No.1 マックスバリュー九州 その1 2013-11-06
塗り変わる鹿児島のコンビニ勢力図 4 <セブン-イレブンの地域密着戦略> 2013-07-06
塗り変わる鹿児島のコンビニ勢力図 3 <ローソンの差別化戦略・ネット通販> 2013-05-29
塗り変わる鹿児島のコンビニ勢力図 1 <ファミリーマートの顧客囲い込み戦略> 2013-05-27
「存在感増すコスモス薬品!!」 塗り変わる鹿児島の小売業界勢力図-2 2013-01-05
JR博多駅ビル開業で客流出,大分・鹿児島市で影響大 2012-12-31
九州の小売業界を概括 2010-12-04
セブン-イレブン鹿児島出店に関連して HCコメリの動向-1 2010-10-05 .
セブン-イレブン 鹿児島進出 39都道府県目,200店目指す 2010-09-30
九州・激動の小売業界 その2 2010-04-19
鹿児島地盤のミドリ薬品 マツモトキヨシHDの傘下入り 2010-04-02
>>>イズミ 九州へ本格的に進出
広島県に本社を置くイズミの九州への本格的進出の動きも注目される。イズミの店舗数は現在97店だが、今後3年間で新店30店舗を出す計画である。2014年以降は熊本県、福岡県、広島県を中心に9店舗を出店することが決定している。
イズミは地方食品スーパー(SM)との提携に傾注しており,2012年には熊本県の中堅・(株)西紅を、子会社・ゆめマートを通じ買収した。イズミの支援を受けてニコニコ堂の小型店を継承したゆめマートは、熊本県内では最大手SMの1社に成長している。
※[ 2012年8月29日 ]
>>スイーツ店「シャトレーゼ」-鹿児島県3号店を出店
昨年夏,県内初出店したスイーツ専門店「シャトレーゼ」が2月14日,県道16号鹿児島吉田線沿いに「鹿児島吉野店」(鹿児島市川上町 約162平方メートル)をグランドオープンした。
1955年,山梨県甲府市で創業のシャトレーゼ http://www.chateraise.co.jp/ は,現在全国に453店舗を展開(2月7日時点)。契約農家から仕入れた原材料や,白州の名水などを使って自社工場で製造した商品を500アイテム以上取りそろえ,低価格帯で販売。アレルギー対応商品や糖質を抑えた商品なども品ぞろえしている。
◆株式会社シャトレーゼ ( Chateraise Co.,Ltd.)
・本社所在地:山梨県甲府市下曽根町3440-1
・創業:1955年12月 設立:2010年4月1日(新設分割)
・資本金:5,000万円
・事業分野:和洋菓子,アイスクリーム,パン,飲料の製造販売及びFC店の全国展開
・従業員数:単体 1,600名 (平成25年3月末実績)
・売上高 :単体 405億円 (2013年3月末実績)
>>>独禁法違反
数年前,私は,食品業界の有力メーカーA社の九州担当社員から,「鹿児島のスーパーとは取引したくない。生協を応援したくらいだ」とのぼやきを聞いたことがある。 その理由は,「無理難題のおしつけ」ということであった。事実,過去に鹿児島県内の有力小売業2社は,公正取引委員会から,その取引姿勢に警告,改善を求められている。こう したこともあって,かつては,「鹿児島の流通は10年遅れている」,ともいわれていた。
▼関連記事
→ 株式会社ニシムタに対する排除措置命令について(公正取引委員会)
→ 平成10年度の九州管内における独占禁止法の運用状況等について 株式会社タイヨーに対する件(平成10年11月27日警告)
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・ 佐川急便 グループ一丸で掘り起こす静脈物流の潜在ニーズ
・ 東京納品代行《センコーグループ》 海外ブランドも頼る価値追求のファッション物流
・ 丸和運輸機関 物流改善メニューでスーパーが抱える七つの課題を解決
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・ セブン&アイ・ホールディングス 現場を知り尽くすオムニチャネルの実証実験
・ ニトリホールディングス 海外調達から個配まで家具業界を制する物流ノウハウ
・ アスクル アマゾンを追撃するBtoC向け最適物流体制が始動
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・二つの高齢化が需要創出のチャンスを広げている
◎業界支援【メディセオ×インターシステムズジャパン】
・「ALC構想」で医薬品流通を刷新
◎中国レポート ・EC市場の急成長を支える、新興「宅配業」の物流戦略
◎特別レポート ・食品の有望市場・都市を巡る熾烈な小型店バトル
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【第1特殊】 進化する「近くて便利」
■セブンの進撃 <二つの競争力> セブンが向かう所に敵はあるのか
<スーパー侵食> 「普段の食事」をセブンが攻める
<視点>セブンプレミアムに見える生産重視の姿勢
<オムニ戦略> 鍵を握るセブンの「拠点化」
<視点> 物流の構築がオムニチャネルのポイント
<外食バトル> コーヒー激突「セブンvsマック」
<視点> セブンカフェの「先」に何があるのか?
<出店の脅威> 「質の高い大量出店」で独走
<商品戦略>
「近くて便利」の完成度高める
<差別化MD> 拡大するチルド「即食ライン」
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【第2特集】 大手3社の寡占化、「個店格差」広がる
■13年度コンビニ総決算
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【第3特集】景気浮揚で強まる採用競争を乗り切るポイント