「身の丈」経営,「身の程」人生

身の丈,身の程を知って生きる・・・・・

手塚治虫さんが遺したいまに通じる警鐘・・・。

2024-02-13 16:34:50 | 持続可能な社会づくり

 手塚治虫が胃がんのため死去したのは平成元(1989)年2月9日。没して早三十五年。昭和二十一(1946)年、十七歳でデビューして以来、マンガ七百余作品、アニメーション六十余作品、マンガの原稿総枚数はじつに、十五万枚以上にのぼる。
 科学者の目を持ち、冷静に観察、分析、判断を基盤として未来を洞察。終始一貫して生命の讃歌をうたい続けた。その内容はいまに通じる。先取り精神旺盛であっただけに、むしろこれからの時代にこそ、いっそう重要となってくる事柄が、詰め込まれている。

 その一端を、『ガラスの地球を救え』1996年9月 光文社刊から、抜き書きする。

 宇宙からの眼差しを持て p-192-199---抜き書き--
 独断と偏見に満ちた未来予測をひとつ述べてみましょう。
 日本人は、来世紀には平均年齢が九十歳を越え、八十歳までは働くようになり、また働かざるを得ないでしょう。若者の数が極端に減って、老人大国になるからです。医療は進みますからはとんどの病気はなくなりますが、脳の老化現象はやはり避けられず、精神障害や老人ぼけの人たちは、綿密な予防処置にもかかわらず増え続けるでしょう。
  (中略)       
 東京や大阪は、ニューヨークのように、たんなる経済都市として、流通、情報の中心であり続けるでしょう。しかし、さまざまな規制が強くなり、たいへん住みにくい町になっていくかもしれません。
 交通網は、全国的に極度の発達をみて、各地の幹線道路は網の目のように交錯し、その結果、各地域産業は振興しますが、同時にどの地方都市もステロタイプ化して同じような都市構造を持つ、特色のないものになっていくでしょう。その反面、開発工事によって自然林はますます破壊されて、日本全土のおよそ50パーセントの線は失われてしまうかもしれません。これは、人口増加と地域産業の振興を図ることを第一義とする結果避けられない悲劇です。

 男女均等法が徹底して、職場での女性の幹部進出はめざましく、少なくともアメリカ なみの数のキャリアウーマンが誕生します。しかし同時に育児を他人まかせにする母親 が増えて、結果として、従来の家庭というもののイメージがかなり変わってくるかもわかりません。
           (中略)
 ひとたび、そんな地球を宇宙から見ることができたら、とてもそのわずかを大切な空気や緑、そして青い海を汚す気にはなれないはずです。
 だから、ぼくは宇宙ステーションや月面で生まれ育った子どもたちに期待しているのです。
 彼らは生まれながらに、宇宙での人間の小ささ、力を合わせていかねば生きられないこと、そして、人間がいちばん偉いのではないこと、眼下の地球に生きる動物も植物も人間も、みんな同じように生をまっとうし、子孫を生み続けていく生命体であるのだと、まっすぐに受けとめることができるように思います。
 きっと彼ら未来人、そして宇宙人でもある子どもたちは、新しい地球規模の哲学を携えて、地上の人々に警告を発することでしょう。
 その時こそ、やっと人類は宇宙の一月になれるのかもしれません。

 以上は、マンガ家のぼくの独断と偏見に満ちた未来予測ですが、誰でも試すことができるし、マイナスの予測がつけば、是正するために、夢や生きがいとして未来へつなげていってほしいと思っています。
                (以下略)

 

 

 

 

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