九州流通業界のいま・これから 鹿児島県を地盤とする食品スーパーのタイヨー(鹿児島市)は,経営陣による自社買収(MBO)に成功したことで,東京証券取引所第2部と福岡証券取引所は上場廃止となる。 同社は非上場化により,「迅速かつ柔軟な意思決定を可能にする機動的な組織体制・経営体制を構築し,独自の事業戦略を検討・確立・実行し,強固な利益体質を確立する」としている。その目論見は,果たして実現可能であろうか。
私は,タイヨーの前途は極めて厳しいと見る。そ の理由・根拠は,「九州流通業界の今後」をテーマとして,このブログを通じて随時,書き込んでいくので,お読みいただきたい。同社の当面のライバルである「マックススバリュ九州」の現状分析と経営戦略を考察する。
◆ 「マックススバリュ九州」 (2)- 「ザ・ビッグ」で安売りに参戦
source:マックスバリュ社ホームページ
マックスバリュ九州は,スーパーマーケット業態の 「マックスバリュ」とディスカウント業態の「ザ・ビッグ」、都市型の小型店舗である「マックスバリュエクスプレス」に加え、小型ディスカウントストアの「ザ・ビッグエクスプレス」 の4業態を展開している。2010年8月からディスカウント業態の「ザ・ビッグ」の展開に着手し,反転攻勢をかけている。
なお,同社は他の地域スーパー各社が減収、もしくは売り上げが伸び悩んでいる中,2013年2月期連結決算では増収となった。この要因は,新規出店とともに,1人当たりの買い上げ点数の引き上げに取り組んだ成果が2013年2月期の業績に反映し,既存店の売上高が122%の増収となったことが大きく寄与している。
同社の克服すべき課題は,1店舗当たりの売り上げ高の低さにある。売上高(営業収益)を期末店舗の215店で割った2013年2月期の1店舗平均の売上高は10億円台に止まる。この数値は,ライバルのハローデイの約17億円、西日本鉄道の子会社・西鉄ストアの約12億円を大きく下回る。また,販売効率を示す3.3平方メートル当たりの年商の250万円は、西鉄ストアの277万円や長崎の地域スパーであるエレナの388万円と比べて,見劣りする。
その主因として,ライバルのスーパーと比べて生鮮の比率が低さがあげられる。2013年2月期の実績は生鮮四品の売り上げ構成比は34.3%とSMの平均とされる40%に届いていない。ちなみにハローデイは約50%を占める。
マックスバリュ九州のアキレス腱ともいえる生鮮部門が強化されれば,名実ともに九州のスーパーマーケットのトップに躍り出るであろう。
参考: 「激流 2013年8月号」 48~49ページ, 『九州流通業界最新勢力地図」 西川立一著
◆平成25年8月中間決算 売上高が前年同期比6.3%増の687億円
マックスバリュ九州の平成25年8月中間決算は、売上高が前年同期比6.3%増の687億円となった。 電気料金値上げや人件費の増加など経費がかさんだことから、最終利益は同49.88%減の3億円だった。
通期の業績予想(売上高1400億円、最終利益13億円)は変更しなかった。
◆関連ブログ アーカイブス
・鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣のMBO成立」・3
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・鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣がMBO」・1
・セブン-イレブンの鹿児島進出で大苦戦のスーパー「タイヨー」・1
・コスモス薬品の快進撃止まらず!!
・九州でのセブン-イレブンの存在-<地域大手のイオン,トライアルカンパニー,コスモス薬品をしのぐ規模>
九州流通業界最新勢力地図―新幹線全線開通で塗り替わる | |
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開 講 日 程 |
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第58回 2013年12月11日~12日 | |
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第60回 2014年12月09日~10日 | |
ね ら い |
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概 要 |
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