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長崎・平戸のホテル「旗松亭」倒産の顛末-中国人実業家へ譲渡・「皇族ご宿泊」だけでは食えない時代

2019-09-08 12:11:50 | 九州の流通業界(商業・サービス)

 

倒産の前兆 30社の悲劇に学ぶ失敗の法則 (SB新書)
帝国データバンク 情報部
SBクリエイティブ

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旗松周辺には,史跡・史料館など徒歩圏内での観光地がある。オランダ商館跡(オランダ塀・オランダ井戸・常灯の鼻),松浦史料博物館,六角井戸,大蘇鉄, 平戸交流広場(じゃがたらお娘像),オランダ橋,平戸温泉あし湯,崎方公園(三浦按針の墓,ザビエル記念碑,市街地を見渡せる展望台)など。

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 長崎・平戸のホテル「旗松亭」倒産の顛末-中国人実業家へ譲渡・「皇族ご宿泊」だけでは食えない時代

 長崎・平戸の政府登録の国際観光ホテル「旗松亭」(きしょうてい)は,2017年に経営破綻し,1月24日,香港で観光業などを営む中国人実業家へと譲渡された。これにより社長は辞任,従業員は全員,継続雇用となり,創業から続く伝統は守られるという方針の下で再スタートを切ることになった。

 かつては天皇家や海外の王家が宿泊した格調高いホテルとして名を馳せたが,老舗は,なぜ身売りに至ったのか。帝国データバンク情報部著『倒産の前兆』(SB新書)「case28 経営改革が後手に回り,倒産」」(p236~p241)と,当時の西日本新聞記事から,倒産に至る経緯と原因をたどってみた。

1 結論-
・一時の売上回復に安堵し,従来の経営方針に戻ってしまった
・課題が先送りされ,最後まで抜本的な経営改革に着手しなかった

2 経緯
 旗松亭のピーク時の売上は20億円近くにのぼった。1990年代中頃を境に,団体客が減少し,売上は低迷する。その時点で即座に経営改革に取り組むべきだったが,一時的な売上回復から先行きを楽観視し,改革を怠ったとからジリ貧に陥り,経営破綻に至る。

「旗松亭」は,1969年8月に総客室数33室の国際観光ホテルとして開業した。長崎国体に際しては,平戸(ひらと)にご宿泊された昭和天皇をお迎えしている。その後も,1980年には浩宮殿下(今上天皇),1992年にはオランダのウィレム・アレクサンダー皇太子(現・国王),2002年には「全国豊かな海づくり大会」への行幸で,現在の上皇,上皇后両陛下がご宿泊された,格式高いホテルである。

  開業以後も増築・改装を重ね,本館増改築が完了した1987年には総客室数117室まで拡張。さらに,食事処,屋上露天風呂などへの投資も重ねた。だが,こうした設備投資を実施した直後から,集客減に見舞われる。修学旅行生 の減少に伴う売上の落ち込みに加え,景気低迷による一般客の減少,さらには交通アクセスの不便さも重なり,業績は降下し,ピーク時の1994年1月期の売上高は約19億円煮たいし,2015年1月期の売上高は約5億7600万円と落ち込んだ。だが,同期を底として,2013年1月期,2014年1月期と6億5000万円前後と上向く。
 経営陣は,これを底打ちの兆候ととらえ,「人件費等の固定費を抜本的に削減する経営方針を採用すべきであったのに従来の経営方針を継続した」(申し立て書より抜粋)。金融債権者や仕入れ先等に支払い猶予を要請し,“"人件費等の固定費を抜本的な削減”といああ根本的な課題解決への取り組みを先延ばしした。
 この,従来の経営方針を継続するという経営判断の誤りが命取りになった。2015年1月期の年収入高は約5億8200万円と再び減収に転じ,その対応が後手に回ったことから資金ショートを起こし,,2016年1月末の支払い決済の見通しが立たなくなり,民事再生法の適用を申請するに至ったのである。売上増で生まれたわずかなキャッシュで何とか資金をつないでいたが,根本的な課題解決を後回しにした結果である。
 経営陣が2期にわたって減収を免れたことを「底打ち」と見なし,先行きを楽観視し,改革を先送りしたことが命取りになった。

 出所:帝国データバンク情報部著『倒産の前兆』

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>>>2016/2/4 旗松亭7月までに再生案提示の意向 
                                     出典: 西日本新聞 http://qbiz.jp/article/79938/1/


 民事再生法適用を申請した長崎県平戸市の「国際観光ホテル旗松亭(きしょうてい)」を経営する旗松亭は2日,平戸文化センターで債権者説明会を開き,債務弁済率などを定めた再生計画案を7月までに長崎地裁佐世保支部に提出する方針を示した。

 申立代理人の弁護士によると,負債総額は約22億200万円の見込み。裁判所による再生手続き開始決定を待って具体的な再生計画案を練る。自主再建を基本方針としながら事業譲渡の可能性も検討するという。

 自主再建に向けて従業員約70人の給料や経費を削減し,雇用は可能な限り維持する方針。夏以降に債権者集会で再生計画案への同意を得て,10月ごろまでに裁判所の認可決定を目指す。

>>2016/2/ 長崎・平戸の「旗松亭」 民事再生法申請

                      phote:旗松亭のHPより

報道によると,長崎県平戸市の「有限会社旗松亭」(きしょうてい 平戸市大久保町2520)は,多額の累積赤字を抱え,2017年1月29日付で長崎地方裁判所佐世保支部へ民事再生法の適用を申請し同日,保全命令および監督命令を 受けた。負債総額は,推定で金融債務約20億円を含み約22億円。

1969年創業の同社は,平戸温泉で客室数90室の温泉旅館「旗松亭(き しょうてい)」を開業,修学旅行などの団体客をターゲットとして営業してきた。ピーク時の1994年1月期の売上高は約19億円。それ以降は,修学旅行生 の減少に伴う売上の落ち込みに加え,景気低迷による一般客の減少,さらには交通アクセスの不便さも重なり,業績は降下し,2015年1月期の売上高は約5 億7600万円であった。

だが,修学旅行生の減少に伴う売上の落ち込みに加え,景気低迷による一般客の減少も重なり業績も悪化し,自力での再建を断念し今回の措置に至った模様。

  

 

     ::::::::::::::::::::::::  平戸 関連情報   ::::::::::::::::::


平戸市(ひらどし)
 平戸市は長崎県北西部にあり,の平戸島とその周辺を行政区域とする市で長崎県と九州本土の市としては最西端に位置する都市である。旧平戸藩松浦氏の城下町で,鎖国前は中国やポルトガル、オランダなどとの国際貿易港だった。

 

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倒産の前兆 30社の悲劇に学ぶ失敗の法則 (SB新書)

 

 

 

SBクリエイティブ刊 帝国データバンク 情報部著

 

 

なぜ倒産 23社の破綻に学ぶ失敗の法則

 

 

 

 

日経BP刊 日経トップリーダー,帝国データバンク,東京商工リサーチ著

 

 

 

 

 

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